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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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突然の訪問者

洞窟の出口へ進んでいた時、プロキオンがふと見えなくなった。

「あら?プロキオン?」

立ち止まってキョロキョした私の足元をレオンが松明で照らす。

「いるじゃん、そこに」

つぶらな瞳で私を見上げて尻尾を振るプロキオン。

「あら。何でいなくなったと思ったのかしら」

あぁ、そうだわ。うっすらと白く光る気配が消えていたんだわ。

そう思った時「キャー!」っと言うシャーロットの悲鳴が洞窟内を響き渡った。

「ま、魔王よ!」

シャーロットの指し示す先には大きな羽を広げた黒い影が洞窟の壁に映し出されていた。

「いやーっ」

カレンも叫び声をあげる。

私は影の元、レオンに照らされているプロキオンの頭をしゃがんで覗き込むようにして見た。

「あら。プロキオンに何か黒いものがついてるわ」

指先ほどの小さな岩をそっと掴むと温かかった。

「スピカ嬢?!」

ケレイブ先輩とウィル様があせったような声をあげ私を照らす。

そのおかげで私は掌の中の物を良く観察できた。

「うわぁ。コウモリの形をした岩だわ。こんなに小さいけど影が大きく映ったのね」

それは先ほど見つけた不思議な岩に見えた。

黒いけれど七色の様に光って見えるし触ってみると温かいから。

「スピカ!大丈夫なの?」

心配そうなシャーロットに掌の岩を見せる。

「全然平気よ!だって見て。漆黒では無いわ。この子はキラキラしてるじゃないの。よくみて。この子はほらっ、キラよ」

私がそう言った瞬間ピカッと光が走って掌からフワリと小さなコウモリ型の岩が浮き上がり私の額に優しく触れた。

「え?あっ・・・」

流石に何度も経験しているとこれが何だったのかわかる。

「えっ?!今のはなに?」

「光ったわよね?」

シャーロットとカレンが好奇心に満ちた声で聞いてくる。

「えーと。何て言うか・・・名付けちゃったみたいな?!」

困ってレオンを見上げるけれどフォローは何もしてもらえず目を見開いて私を見るだけだった。

私は私の周りをくるくると飛ぶ小さなコウモリに呼び掛ける。

「キラ?」

親指の先くらいしかない小さなコウモリ型の岩だったはずなのに。

動いて飛び回るだなんて。

小さなコウモリは私の呼び掛けに返事をするように目の前に来てふわふわと飛んだ。

あぁ。

やっぱり私は名付けてこの子と契約をしてしまったようね。

小さなコウモリは見ていれば見ているほど愛着が湧いてきた。

そっと人差し指を差し出せばそこに逆さにぶら下がってくる。

どうしよう。可愛らしいわ。

お父様にキラも飼って良いかレグルスお兄様に魔法書簡を飛ばしてもらおう。

うっとりとキラを見ていると、ひきつった顔のケレイブ先輩に「害が無いのか?」と尋ねられる。

「何てものを見てしまったんだ・・・」

ウィル様も青ざめた顔でこちらを見ている。

「ええ。ほら、可愛らしいだけだわ」

私がキラのお腹を優しく撫でると、キラはうっとりと瞳を閉じた。

「た、確かにそうね。魔王にしては小さすぎるもの。可愛らしいわ」

「本当に。なんでかしら、可愛らしいわ」

シャーロットとカレンは同意してくれた。

「とにかく外へ行こう」

とケレイブ先輩に急かされて出口を目指す。


「あら。あの光りは出口かしら。帰りは早く感じるわね」

「そうね。知らない道を行くのは心細さのせいかしら?長く感じるわよね」


時計台に出た私達はアメリアと合流した。


「レグルスを呼び出そう」

ウィル先輩が魔法書簡を空に飛ばす。


魔法書簡はすぐ近くに落ちた。

あら。レグルスお兄様はここら辺にいるのかしら?それならノアのグループも近くにいるのかしら?

そう思っていると、人がわらわらと歩いて来る気配が。


あぁ。嫌だわ。


なんでかわからないけれど、その気配を感じて私は鳥肌を立てた。


先頭にはレグルスお兄様がいる。


そのすぐ後ろを歩くのは神官達の一団。


私は思わずレオンの後ろへ姿を隠した。


嫌だわ。

会いたくないわ。


私はあの人を知っている。

けれども思い出したくもない。


だって。

忘れなければ、空を登れなくなってしまうから。


私は鍵をかけたでしょ?


「スピカ?どうしたんだ?!」


レオンの声が遠くに聞こえる。


レグルスお兄様の声もずっと遠くに・・・。


世界が黒く塗りつぶされると思ったその瞬間。


「なんだ。本当に光っていないじゃないか」


神官の声に引き戻される。


私を冷めた瞳で見る彼をレオンの後ろからそっと見る。


紫の瞳も。紫の髪も。

ただ嫌だとしか思えない。


「アルヴィン、最初から言っているでしょう。スピカでは無いと」

「自分の目で見ないと信じられないタチでね」


アルヴィン。


彼は白い大きな鳥の精霊を肩に乗せていた。


「スピカ嬢、驚かせてごめんよ」


「急に視察にみえたんだ」

レグルスお兄様。

彼から離れて。


その人は嫌だわ。


私は無言でレオンの背中に顔をつけて口を利かなかった。











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