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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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いざ七不思議へ

オリエンテーション当日まで、ノアと同じグループになれなかったことを引きずっていたのは私だけだった。

ノアはけろっとしていて、お互い七不思議を見つけられるといいねと私に笑って言った。

ノア抜きのグループを作ってしまったのは私なのに、なんだか寂しいわ。

レオンはノアのグループには負けないようにしようぜと息巻いていたけれど、どこで勝敗をつけるのかしら。



オリエンテーションの開催日は青空の広がる気持ちの良い天気だった。


朝の集合場所で、私はノアとレオンの所へ足を運ぶ。

「あの、あのね。ノア」

「おい、行くぞ」

ノアと話そうと思ったのにレオンに背中を押される。

押された先にカレンとアメリア、シャーロットがいて私達に手を振っていた。

私も振り返して、ちらりとノアを振り返る。

ノアはガーネット・シュア・スティン侯爵令嬢に声をかけられているところだった。

「・・・あ・・・」

「ほら、とろとろしないで行くぞ」

追い立てるように背を押すレオンは鼻歌を歌いそうなくらいにご機嫌だった。

まぁ今日は座学も無く、楽しい七不思議探しだものね。


私達を率いる先輩はケレイブ・ダントン先輩という方だった。


ん?ダントン?もしかしたら、前回私達を率いたピエール・ダントン先輩の親戚なのかしら?


ケレイブ先輩は、目を細めて私を見てくる。

既視感に首を傾げて、あっ!体験入学の時にミアプラお姉さまのクラスにいた方だわ!と思い出した。


あの時も、こんな風に私を見ていたわ。


私がペコリと頭を下げると、ハッとしたように目をそらしてしまった。


私、嫌われているのかしら?


その割にチラチラとこちらを見てくるわ。


何かを感じたのか、レオンが私とケレイブ先輩の間に立った。


「あー、七不思議探しだけれど、とりあえずどこから廻りたいとかあるか?」


あら。ケレイブ先輩は私達の自主性に任せてくれる人みたいだわ。


私はちらりと皆を見回す。


「どこからでもいいけどな」

とレオンが言って。


「私も」

とシャーロットが賛同すると、カレンとアメリアも頷いた。


それなら。私の希望を言っても良いかしら?


「あの。それなら私、洞窟の不思議な光を見てみたいの」


「じゃ、そこから廻ろうか」


あっさりとケレイブ先輩は頷いてくれたけれど、動かずに私達を見ていた。


どうやら先輩は率いて連れ回すのではなく、私達がどうするのか傍観するようだった。


いろんなグループが一斉に動き出す中で、学院の見取り図を広げて五人で頭を付き合わせて作戦を立てる。


「洞窟っていうなら、外だよな」

「でも、外に洞窟の記載なんて無いわ」

「洞窟っていうなら薄暗いイメージよね」

「私の領地にある洞窟は地下にあるの」

「怪しいところをマーキングしてみましょ」

わぁ、何だかこういうの楽しいわね。

うーんと、前回レオンはどこに洞窟があったって話してたかしら。


「そうだわ!北よ!そうよね?レオン!」

レオンは皆の視線を集めて、怪訝な顔で私を見返す。

私がどこで見たの?って聞いたら、北の方だって言ってたわ、確かに。

私が暇な時にそこに連れてってよって頼んだのに、普段は立ち入り禁止の場所だからダメだって言われたのよね。

私は地図を覗き込む。

北の方面で普段は立ち入り禁止の場所ってどこかしら?

「もしかして、ここかしら?北の古い時計塔」

もう今は使われていない古い時計塔は普段鍵がかけられていると言うから、ここなのかしら?

私が期待を込めてレオンを見ると皆もレオンを注視した。

レオンは舌打ちして上を見上げると「あー、そう。レグルス兄様から聞いた」と棒読みのように告げた。

「じゃ、そっちに移動しようか」

ケレイブ先輩が私達を促す。

北に向かって進む途中でたくさんのグループが各地に散らばっていた。

あぁ、あの花壇はこの近くだったかしら?

「他の七不思議はどこにあるのかしらね?」

「どこかしらね?」

ふふ。

他の所は私もケレイブ先輩のように傍観しよう。

不意に腕を引かれて振り向くと険しい顔をしたレオンだった。

レオンは私の耳元で「バレたらどうするんだ?前回の話はするな」と低い声で言った。

私は爪先立ちしてレオンの肩に手を置き耳元へ「気を付けるわ」と、小声で答えた。

レオンはバッと耳元に手を当てると私から一歩後ろへ離れる。

「え?」

「いいから!皆に遅れる!行くぞ!」

そんなに怒らなくても・・・。

私は軽く唇を尖らせて皆の後をレオンと追ったのだった。












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