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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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季節は巡る

おばば様の推薦状の話を皆に告げると屋敷は歓喜の声に包まれた。

「なんと!ノアが賢者候補になるとは!」

「カミーユにとってなんて栄誉な事か!」

賢者は聖女にも劣らぬ名誉ある立場なのだから、皆の喜びも当然の事。


ノアに抱きついて喜んだレオンは、嬉し涙を浮かべていた。


レオンはちょっと泣き虫よね。


私が他人の事を言えないけれども。


私と目が合うとレオンはハッとしたようにノアから離れて慌てて目元を手で払った。


ふふ。そんなに慌てなくてもいいのに。


私は聖母の様に優しく微笑んだのに、レオンは心底嫌そうな顔をした。




その後、私は試験に向けて真剣に取り組んだ。


だって、私だけ学院に行けないなんてつまらないもの。


心を入れ替えた様に熱心に勉強を始めた私。


結果は無事合格だった。


一緒に筆記試験を受けたノアは首席で合格した。


やっぱりね!と晴れがましい気持ちと、剣術ばかりに重きを置いていると思ったのに二度目の私よりも全然成績が良いなんて・・・という微妙な気持ちが半々だったけれど。


ノアとレオンと三人で入学を迎えられることになった喜びは前回よりも大きかった。



「うーん。困ったわね」

私は足元のプロキオンとポケットのラベンダーちゃん、肩の上のリズを順に撫でて愛でながらため息を零す。


プロキオンはいいの。

元々私の使い魔ということで学院に申請してあるから、連れて行くことに問題は無い。


ラベンダーちゃんは・・・まぁ、ほぼポケットで寝ているから人目に付くことは無いとして。


問題はリズよね。

プロキオンだけでも、体験入学の時目立っていた感があったもの。

今回リズまで連れていたら注目されすぎてしまうわ。

下手に注目を買って、王家に目をつけられるのは嫌だし・・・。

だからといって、この子を森へ置いて行ったとしても私を追いかけてきてしまうだろうし・・・。

どうしたらいいかしら?



日々考えても良い案が浮かばないので賢者のおばば様に相談しに行くと、答えは簡単に出た。


「リズはノアの使い魔ということにしたらどうかしら?今回ノアは魔術科ではなくスピカと同じ普通科に通うのだから、あなた達一緒に過ごすでしょう?割と誤魔化せると思うのよね」

「なるほど!」

「一応、入学までにノアにリズへ捧げ物を与えさせましょう」

「捧げ物?」

「この子はリス型の森の精霊だから木の実が良いかしら。ノアが毎日、何かしらの木の実を精霊が好む月光に一晩当て、それをリズに与えるの。そうしたらスピカにだけでなく、ノアの近くにも寄り付くようになると思うのよね」

「そのぐらいなら出来るからやるよ」

ノアも協力を申し出てくれた。

私はホッとしてリズに言い聞かせる。

「リズ。ノアがあなたの大好きな木の実を毎日くれるそうよ。学院に行ったらノアの傍に寄ってくれると嬉しいわ」

リズはまるで私の話を理解するかのようにじっと私の目を見て耳を立てていた。



私とミアプラお姉様の誕生日が巡ってくる。


聖女となったミアプラお姉様は王城に呼ばれ、国家の祭典として誕生日を祝われた。

そこには未だに婚約解消をされた私を面白可笑しく言う人達や神殿の人達も参加するので行く必要がないとお父様に言われたので私は領地に残っていた。


お客様を招かない屋敷の中での私の誕生会。

それはちっとも寂しいものでは無かった。

誰に気兼ねすることもなく、思うままにノアやレオンと踊ったりゲームをしたり、ご馳走を食べたりして楽しく過ごしたのだった。



そうして私達は入学式を迎えた。







読んでくれてありがとうございます。

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