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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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何もしたくないの

森から帰ると、レオンはミアプラお姉様を見つけて嬉しそうに駆け寄って行った。


「何よ。おばば様のところでは私に駆け寄ってきたくせに」

ね、と同意を求めてノアを見れば疲れたのか元気の無い顔をしていた。

「ノア?」

「え?あぁ。うん」

と、気のない返事をする。

「あのね、おばば様のところに一緒に行ってくれてありがとう」

「・・・スピカ。君は本当に未来を変えるつもりはないの?」

「えぇ」

「このまま、3年後に死んでしまっても構わないの?」

「それは・・・。勿論死にたくは無いけれども。でも、どうやって死んだかも覚えていないのよ。無理じゃない」

「何かを変えたら変わるかもしれないじゃないか」

「何かって?」

ノアは黙り込んでしまう。


「おばば様のところで話したの聞いていたでしょ。私はなんにもしたくないの。何にも変える気なんてないわ」


私はノアをがっかりさせているのかしら。


ノアはあの昔語りの死に戻りの聖女様を助けて支えるようなことをしたかったのだろうけれど。


「ごめんね。あなたの理想の聖女様のように出来なくて」


「そんなんじゃないよ」


そう答えたノアがなんだか寂しそうに見えて、私は未来の情報を教えてあげることにした。


「あのね、ノアは王立学院のあの魔術科にトップ合格してエリート街道をひた走りしてたわ」


身長がレオンよりも伸びることにはあんなに喜んでいたのに、さっきよりも元気が無さそうに見えるのはどうしてかしら。


「騎士科のレオンよりもモテてたのよ」

「へぇ」


「ノアが憧れていた魔術省にも卒業前に内定をもらっていたのよ」


私が声をかければかけるほど萎れていくのはどうしてなのかしら。


「もう!信じてないの?私のこと」


「信じてるよ。何もかも」


ノアは寂しそうに笑った。


なんだか私は胸がつまって苦しくなる。


「そんな笑い方、ちっとも可愛くないわ」

怒って言うと、ノアはぷいっと顔をそらす。

そうして、レオンを追いかけミアプラお姉様のところに行ってしまう。


「なによ」

ノアだって、ミアプラお姉様の方がいいのね。


ミアプラお姉様は私のように癇癪を起こしたりしないものね。


優しく笑ってお話を聞いてくれるだけで心が和むものね。


「私だってミアプラお姉様みたいに綺麗で優しくなれたなら」


ぽつりと言葉をこぼす。


そんな風にはなれないのに。


「スピカだって、かわいいよ」

うつむく私の前に現れたのはレグルスお兄様だった。

よしよし、と頭を撫でられ心がくすぐったくなってしまう。

「お兄様、私子供じゃないんだから。やめてくださる?」

「はは。まだまだ子供じゃないか」

あぁ、そうだった。私まだ13才なんですものね。

もうすぐ14になってしまうけど。

「誕生日が過ぎたら、ミアプラお姉様はレグルスお兄様と共に王立学院に行ってしまうのね」

長い休みにならないと帰ってきてくれないのが、とても淋しい。

またあの寂しさを味わうのね。

レグルスお兄様は今度17だから、最終学年になってしまう。

私とは入れ違いになってしまうのだ。

一緒に通えたら良かったのに。

ユリウス様もお兄様と同じ年。


私の知らないミアプラお姉様との一年間があるのでしょうね。

やっぱり、私が何かを変えたって未来は変わりそうもないわ。


今までと何も変わらずぼんやりと、時が過ぎるのを待つのよ。























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