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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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お楽しみ会

体験入学の最終日はお楽しみ会だった。

全員講堂に集って、先輩達の出し物を見るのだ。

これは春に行われる学院祭の予行演習でもある。

普通クラスの出し物は合唱だったり演奏だったりする。

騎士クラスは演武を披露して迫力があるのだけれど。

やっぱり学院の華は魔術クラスの大掛かりな魔術ショーだ。

私は魔術ショーを見ながら、ノアがセンターを飾った魔術ショーを思い出していた。


突然降り出した雪。

その雪は細かく霧散して、虹に変わる。


よっぽど精密に魔力を操れなければ成功しなかっただろう、と絶賛された。

私は魔術の理論はわからないけれど、涙が出そうに美しくて見ていて優しい気持ちになれたのよ。とてもノアの魔法らしいと思ったわ。

それをもう二度と見られないのね。

あの光景を知っているのは私だけなのね。

あんなに胸に残る魔法だったのに。

沢山の人の感動と拍手を得た素敵な魔法だったのに。

私の記憶にしか残っていないだなんて。

いやね、また涙で前が滲む。


早くノアに会いたいわ。

ノアのいない淋しさがここぞとばかりに襲ってくる。

ノアのいない学院生活に、私は耐えられるのかしら。


歓声をあげる生徒の中で、私は1人声を出さないように涙を流していた。

私を案じるプロキオンを抱き締めて。

ラベンダーの香りが一段と強くなる。

ラベンダーちゃんも私を慰めてくれているのね。

あぁ、せっかくのお楽しみ会なのだから楽しまなければ。

「あの・・・良かったらこれを使って」

私の目の前に差し出されたのはハンカチで。

目を向けると横の席のカレンがそっと私を伺うように見つめていた。

カレンはやっぱり優しいわ。

「ありがとう。カレン・・あっジェンガーさん」

「カレンでいいわ。すごいわ、もう名前を覚えてくれたのね」

「私のこともスピカで」

ハンカチを受け取って涙を拭く。

「あなた感動屋さんなのね。舞台を見て泣くなんて」

「恥ずかしいわ。楽しいのにすごくお家に帰りたくなってしまったの」

「スピカ。私もよ。明日には帰れるのにホームシックで泣きそうだったの」

良かった。

私、カレンとも友達になれたみたいだわ。


こうして私の二度目の体験入学は終わっていったのだった。




読んでくれてありがとうございます

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