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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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授業参観

お父様からの魔法書簡の返事は、私の思う通りに進めて良いと認めてくれていた。トゥバンという名前をもらったのだけれど、ラベンダーちゃんと呼ばないと反応しないので、せっかくの素敵な名前を諦めることになってしまった。

私が安易にハーブの香りで呼んでしまったばっかりに、ラベンダーが名前になってしまった。

ごめんね、ラベンダーちゃん。

それにしても早くノアにも見せてあげたいわ。

あぁ、帰るのが待ち遠しい。



ラベンダーちゃんを見つけた次の日は、三大魔導士のおじいちゃま達が学院に遊びに来たりして、学院長が慌てて出迎えるハプニングがあった。


おじいちゃま達はせっかくの学院長の挨拶もそこそこに私のもとへとやってきた。

「スピカが今日も可愛すぎるのぉ」

「もって帰りたいけれどダメじゃろうか」

「去年まではこの手のひらにのるくらい小さかったのにのぉ」

おじいちゃま達の鉄板ネタのあと、私とハグを交わし、レグルスお兄様とも挨拶をしてから私の足元のプロキオンに目をやった。

「おおっ!」

「これがっ!」

「すっばらしいのっ!」

賢者のおばば様の様に子供のように目を輝かせてプロキオンを観察する。

しゃがんだり、寝転んだり色んな角度から。

おじいちゃま達も、こんなに俊敏に動けたのね。

「良かったら抱っこしてあげてください」

「ええのか?」

頬を赤らめるおじいちゃま達の嬉しそうなこと。

「うおぉっ。なんたるふわっふわの触り心地!」

「なんたる抱き心地!」

「なんたる馥郁たる香り!」

あ。

馥郁たるは、たぶんラベンダーちゃんの香りだわ。

プロキオンとラベンダーちゃんは仲が良く戯れたりしているから香りが移ったのね。

私もポケットに入れているせいかシャーロットになんだか良い香りって褒められたのよね。

レグルスお兄様をちらりと見ると頷くので、私はおじいちゃま達にこっそりと「馥郁たる香りはね、プロキオンではなくてラベンダーちゃんの香りだと思うの」と、ポケットをちらりと開いてキラキラ輝くラベンダーちゃんを見せてあげた。

おじいちゃま達は三人で素早く呪文を放つ。

あら。

クラスの中に居たはずなのに、おじいちゃま達とレグルスお兄様しかいない空間だわ。

「結界を張った」

「わしらしかおらん」

「ポケットのその子を見せておくれ」

背筋をピン!と伸ばしたおじいちゃま達を私は初めて見た。

レグルスお兄様をちらりと見る。

ラベンダーちゃんは、極力他者に見せないようにお父様に言われていたのだけれど、いいのよね?

お兄様が頷くので、私はそおっとポケットからラベンダーちゃんを出した。

今日もスヤスヤと心地よさそうにポケットの中で眠っていた可愛いラベンダーちゃんを指の腹で撫でる。

ふふ、可愛らしい。

おじいちゃま達の顔をふと見ると、三人は固まったように身動き一つせずに目を見開いてラベンダーちゃんを見つめていた。

「良かったらどうぞ、撫でてみて」

私がラベンダーちゃんを差し出すと三人は一歩後ろに下がった。

「流石に」

「それは」

「できん」

あら。爬虫類は苦手なのかしら。

こんなにラベンダーちゃんは可愛らしいのに。


拝み初めるおじいちゃま達。

可愛すぎて尊いというやつなのね。

ふふ。



その翌日はミアプラお姉様の魔術クラスを参観することにした。


私の通う普通クラスの授業は何をやるか、わかっているし、見学してもあまり楽しくは無いから。


ちょうど、魔法書簡の飛ばし方の基礎をやっていた。

先生の机まで飛ばすのだが、勢いが足りなく途中で落ちる物、逆に勢いが良すぎて先生に叩き落とされる物が大半だった。

でもミアプラお姉様は綺麗な所作で呪文を唱え先生の机に無事届けてみせた。

思わず拍手をしてしまった私。クラスの人達がこちらを見る。

ガタガタッと音がして一人の男の人が、椅子から半分体を落とし私を呆然と見ていた。

「ケイレブ・ダントン!また君は居眠りか?」

先生の叱責の声が飛ぶ。

わぁ、いけない。

私が拍手してしまったからよね。

シュンと縮こまる私をケイレブ先輩はじっと見ていた。

まるでノアが昔私を見ていた様に、目をすがめて。

ただ、信じられない物を見る様にずっと見ていたのだった。

読んでくれてありがとうございます

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