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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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体験入学へ

心配だったプロキオンのことは、お父様が学院に使い魔ということで届け出を出してくれることになった。

私は魔力を扱えなくて、クラスも魔術クラスではなく普通クラスなのにいいのかしら?と思ったけれど、お父様が言うのなら大丈夫だろう。


眼鏡を取ったノアは、なんだか大人びて見えた。私の知っているノアでは無くなってしまったようで、声を掛けづらくなってしまった。


私達のよそよそしさに周りも気づいていたと思うけれど、誰も何も言わなかった。


そんな状態のまま、体験入学へ出発する日が来てしまう。


私は寂しさが溢れそうになる胸を押さえて、両親に笑顔でお別れをしてレオンと馬車に乗り込んだ。


乗り込むと共に黙り込んだ私をレオンはチラリと見ただけで、馬車のカーテンを開けた。


私は見るとも無しに流れる景色を見る。


森の近くを通りかかり、私は驚きに目を見張った。


森の一部だけ、白くなっていたから。

森の迷子達がそこに全部集っていたから。

だから、木陰からこちらを伺うノアが見えたのだ。


まるで、森の迷子達がノアを照らし出すようにそこにいたから。


それは一瞬のことだったけれど。


確かにノアだった。


「ノア…」

私は窓に張り付くようにして後ろの景色を追ったけれど、もうノアも迷子達も見えなかった。


馬車の中で、また泣き出した私をレオンは珍しく怒らなかった。

根気良く私の隣に座り、ノアの様にただ寄り添っていてくれた。

あの時の約束は本気なのかもしれない、と私は思い始めたのだった。



「ミアプラお姉様!レグルスお兄様!」

学院に着くと、二人が私とレオンを出迎えてくれた。

私はミアプラお姉様と女子寮へ。

レオンはレグルスお兄様と男子寮へと向かった。


あぁ、懐かしいわ。

学院の空気。

私は息を吸い込んで、辺りを見回した。

私はそこで、アンナ先生と目が合い挨拶をする。

「アンナ先生ごきげんよう」

私は笑顔で言ったのに、アンナ先生は固まってしまった。

あら?

お姉様を振り返ると、お姉様も怪訝な顔で私を見た。

それから慌てて私を庇うように前に一歩出て、アンナ先生に頭を下げる。

「ごめんなさい。妹が体験入学に来たのですが、先生と間違ってしまったようで。失礼しましたわ」

え?

だって、アンナ先生よね?

私の担任だったもの、間違えてなんかいないわ。

固まっていた先生は、ミアプラお姉様に謝罪はいらないと手を振る。

「確かに私はアンナです。アンナ・ルナンドです。先日までレアミラル公爵のお嬢様達に礼儀作法等を教えていましたが、学院への紹介状をもらいまして産休のキャサリン先生の代わりにやってきたところなんです」

ミアプラお姉様が振り返り私を見る。

アンナ先生も私を見つめていた。


あぁ。嘘でしょ。

アンナ先生、まだ学院の先生になっていなかったの?


どうしたらいいの?

私はキョロキョロと目を泳がせたけれど、救いの手は無く。

足元のプロキオンをかがんで抱きしめた。


「あら。あなた、使い魔持ちだったのね。その子、犬型の様だから先程私がむこうで話していたのが聞こえたのね。使い魔と意思疎通が出来るなんて、中々凄いことよ」

「え?あ、はい」


何だか良くわからないけど、アンナ先生が納得してくれたようでホッとした。


先生を見送ると、ミアプラお姉様は感心した様に私を見た。

「スピカ、偉いわね。プロキオンと心を通わせる程になったのね」

「え?あ、えっとぉ」 

プロキオンと心を通わせられるようになるとか、本当なのかしら。

でも、この子は私が淋しい時や泣いている時、いつも励まそうとしてくれている。

そうね、きっと私達心を通わせ合っているのね。

「はい。ミアプラお姉様」

プロキオンは使い魔ではなく、精霊獣だけれどいいわよね。

私は満面の笑顔でミアプラお姉様を見たのだった。








今年も読んでもらえたら嬉しいです


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