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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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帰って来るのはいつ?

「もうすぐだな。ミアプラねえ様帰ってくるの」

レオンがウキウキと嬉しそうに話すから、私は「レグルスお兄様もよ」と一言足す。

かれこれ4ヶ月ぶりくらいの日々、二人に会っていなかったから、私も指折り数えて二人が冬休みに突入するのを待っていたのだ。

プロキオンが、私の足元でじゃれるのでふわっふわの白い毛を撫でる。

二人はプロキオンを見たら驚くわよね。

こんなに可愛らしい生き物他にはいないんですもの。

「何鼻膨らませてるんだよ」

「レオン!あなたレディに対する言葉ではないわよ!」

本当にレオンったら失礼なんだから!

「何日に帰ってくるの?」

二人の言い合いにノアは我関せずの質問を挟んでくる。

「12月22日に帰省予定よ」

レオンとの不毛な言い合いはやめてノアと向き合う。

「学院を発つのは17日と手紙に書いてあったそうだから、22日頃だろうってお父様が」

そう話ながら、私は「あ」と口を押さえる。

「いけない!忘れてたわ!二人がギリギリ今年の内に帰れるかどうかだわ!お父様に魔法書簡を急いで送ってもらわなくっちゃ」


私が騒いで居間を飛び出そうとすると、お父様と偶然鉢合わせる。

「お父様、レグルスお兄様にサラウト河を通って帰るのはダメだと魔法書簡を飛ばして!」

「スピカ!」

ノアが慌てたように声をかけて来たから振り向くと、眉間を寄せて困った顔をしていた。

「スピカ、それはどうしてかな?」

何でそんな顔をするの?と不思議に思いながらもお父様に向き直り話の続きをする。

「だって、サラウト河に架かる橋が壊れてしまってレグルスお兄様達が足止めされて帰ってくるのが遅くなってしまうんですもの。私そんなの嫌。レグルスお兄様とミアプラお姉様と早く会いたいわ」

「そうか。ベンジャミン、そういう報告は上がっているか?」

背後のベンジャミン叔父さまを振り返って尋ねる。

「いえ。そういう情報は。ちょっと確かめて参ります」

サッと身を翻す叔父様を見送りながら、私は一抹の不安を感じた。

「ところでスピカはどこから、そんな情報を仕入れたのかな」

「えっ」

だって。実際にあったことですもの。

そのせいで、二人の帰還が大幅に遅れたのだ。

他のルートから帰れば少し遠回りだけれど、サラウト河ルートで足止めを何日もくらうよりもよっぽど早く帰れるはずだ。

でも、それをお父様に言う訳にはいかない。

不安の正体はこれだったのね。

だって、これを話すと言うことは私が死に戻ったことを明かさなければならないから。

「あ」

私は今度はノアを見る。

ノアの眉間は寄りっぱなしで。

そう、あなたはこの事を私に教えたかったのね。

一足遅かったけれど。

どうしよう、何か最もらしいことを捻り出さなければ。

「えっと。あの。そういう、夢を見たの」

我ながら白々過ぎてお父様の眼を見て言うことはできなかった。

チラ見したノアはあーあ、という表情を隠しもしない。

「夢ね。そういうこともあるな」

すんなり納得するお父様にびっくりだわ。

私がいつまでそんな夢見頃なお年頃なのだと思っているのだろう。


その後、ベンジャミン叔父様が魔法書簡で急ぎ河辺の町役人とやり取りをしたけれど、壊れた橋は無いとのことだった。


「それでもスピカがそんな夢を見たのなら、レグルスに他のルートを薦めておこう」

お父様はそう言って魔法書簡を飛ばしてくれた。




橋が壊れたのは20日のことだった。





読んでくれてありがとうございます。

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