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何で私は戻ったのでしょうか?死に戻り令嬢の何にもしたくない日々  作者: 万月月子


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三大魔導士のおじいちゃま達

何だか私は自分で自分が嫌いになってしまいそうだった。

ユリウス王子にもミアプラお姉様にも態度を訝しがられているんじゃないかと気にかかる。


明日はいよいよ誕生会だと言うのに、私の気分はどんよりしていた。


けれども、それを吹き飛ばすように三大魔導師のおじいちゃま達が我が家に訪れた。


背の高いカルアおじいちゃま、白い髭がふさふさのルドルフおじいちゃま、ぽっちゃりしたお腹のトルッドおじいちゃまだ。


「あぁ、会いたかったよ。スピカ」

「私の可愛い輝く星。スピカ」

「私達のことを忘れて無いだろうね、スピカ」

この三人は国の魔術師の頂点に立つ大魔導師様達で、人々に崇められているのだけれど。

昔から何故か私を異常に可愛がってくれる。

「ご健勝そうでなりよりです。おじいさま達」


「おじいちゃま、と言っておくれ」

三人にじっと見つめられ、私は「会えて嬉しいです。おじいちゃま達」と言い換えた。


「あー、スピカが可愛過ぎるのぉ」

「持って帰りたいけれどダメじゃろうか」

「去年まではこの手のひらにのるくらい小さかったのにのぉ」

おじいちゃま達の鉄板ネタが炸裂する。


いつものノリで私にじゃれてくるおじいちゃま達。


元々辺境伯になる前は、お父様は魔術省に勤めていた。お祖父様が引退するにあたって魔術省を辞し、辺境伯を嗣いだのだ。


なので三大魔導師のおじいちゃま達は、お父様のかつての上司。

お父様は魔術省で中々の腕前だと可愛がられ鍛えられていたらしい。


私以外にもノアのことも可愛がっているけれど、もしかしたら私達が森の賢者のおばば様のところに行ける森に選ばれた者だからかもしれない。

三大魔術師のおじいちゃま達は賢者のおばば様に惚れているそうなので。

お互いが恋のライバルなのじゃ、と笑うのは鉄板ネタなのか、本気なのか今一つわからないのだけれど。


レグルスお兄様も学院を出たら魔術省に入ることを目指している。ノアもそれを追いかけて魔術省に入ることを夢見ている。

レオンは学院を出たら騎士として働きたいと言っていた。

そうしてお父様が引退を考えるようになったら、3人を呼び寄せ辺境伯領のことを勉強させるのだという。


未来ではお兄様は無事に入省できるし、ノアは入省が決まっていた。レオンは護衛騎士として守るのだと私に告げた。


そうだ。


思い出した。


レオンは卒業後は私の護衛騎士として守るのだと言ったのだ、あの時。


え?あれは婚約解消の後の話なの?

それとも前?


前ならばわかるわ。嫌いな私の護衛騎士だとしても、将来はユリウス王子と結婚して王族になるのだから、王族の護衛騎士。騎士の中のエリートだもの。


でも、いつだったのか思い出せないあやふやな感じ。


婚約解消後な気がしてならない。


そうだとしたらレオンは何故、何の価値もない嫌いな私を守る護衛騎士になると言ったのだろう。


どうして・・・。


「大魔導士様方、お早いお着きで!」

後ろからお父様が早足でやってくる。


その後ろにノアがいた。


ノアも大魔導士のおじいちゃま達が大好きな筈なのに表情は暗かった。


「カミーユ辺境伯爵、元気だったか?」

「相変わらず健在なようじゃな」

「スピカとミアプラの誕生会に招かれやってきたぞ」


「ありがとうございます」

お父様は嬉しそうに返事をする。


お父様の後ろにいるノアに目を止めると、大魔導士のおじいちゃま達は笑顔を消し悲痛な顔をした。


「あぁ、ノア。残念なことだ」

「けれども気を落とすことは無い」

「何故こんなことに」


私はびっくりしてノアを見る。

ノアは下を向いていた。


「ねぇ、ノア。何かあったの?」

「別に何も」

ぽつりと呟くけれど。


ノアは私に何も言うつもりが無いのがわかった。


「お父様?」


標的をお父様に絞るが、お父様は誤魔化すように「それよりも、大魔導士様達のお着きだと皆に知らせてきておくれ」と頼んできた。


大魔導士様達を仰ぎ見たけれど、3人はしまった!とでも言うように手で顔を覆って誰も私と視線を合わせてくれなかった。


「わかったわ。奥に知らせて来ます。ノア、行くわよ」


お父様があっ!と声を出したけれど、私は構わずノアの手を引き屋敷の奥へ向かって行った。


「いい?ノア。私に隠し事なんてできないんだからね」

無言のノアに諭すように言う。

「内緒のことはね、内緒にしている時間が長ければ長い程話すのが辛くなるのよ」

ノアはずっと黙っていた。

私よりも小さいノアは弟のようなものだった。

私にはお兄様もお姉様達もたくさんいるけれど、末っ子なのでノアを本当の弟のように可愛がっていたつもりだったのに。

可愛がりすぎて嫌われてたけれど。

どんなに言葉を尽くしても口を開かないノアに苛々が募る。

「もう!ノアなんて知らないんだから!」

癇癪を起こすように怒っても、ノアは口を引き結び何も言わなかった。

結局、私はノアから何も聞き出せず敗北したのだ。

















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