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Wizards Storia外伝~天諭の豊刈~  作者: iokiss/薄倉
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其の五

――王国歴1473年 トロン植物園 


「まぁ、気楽に咲くものだね。花っていうものは」


 イブリスがトロン植物園の熱帯エリアで、イグナと話している。


「気楽なのは皆一緒じゃない?」


 イグナが向かいに咲く、奇妙な形の花を見ながら皮肉を吐く。


「そうかね。私には時折皆が苦しんでいるように見えるときがあるよ」

「それこそ、気楽も苦痛も大差ないでしょ。同様に死に向かっているんだから」


 イブリスはイグナの返答に「ははは」と少しだけ笑うと、目の前の奇妙な花を撫でる。そして、少し何かを考えた後で言った。


「イグナはなかなか面白い男だな。私も長いこと生きているが、君と似た人間を知らない。性格上、性質上面白い男だと思うし、私のマグナにとても貢献してくれているという点でも私は面白いと感じているよ。どうだイグナ、そろそろ自分の研究室を持つ気はないか?」

「ええ、いただけるものなら是非に」


 とは言ったものの、イグナは内心喜んでいた。自身の研究室をもらえるということは実質魔導師になるということであり、このトロン植物園を中心としたマグナの施設を制限なく使うことができる。イグナが考える魔法の真髄、ひいては真の平等への道のりは既に外郭が見えている状況であった。この昇格は、イグナの目的にとって大きな一歩であることは間違いなかった。


「ふふふ、イグナ。一瞬上がった心拍数を瞬時に安定させるなんて、もはや君は人ではないのかもしれないね。道理で私が出会ったことのない人間だと思ったよ」

「勝手に心拍数を聞かないでもらえる?」


 イグナは笑うと、イブリスも同様に笑った。二人は植物園の奥へと歩き出し、奥にある噴水の手前まで行くと、床が沈みだし地下に潜行していった。


「まあ、一応研究所を与えるにあたって、明確に君の評価をするとなると、なかなか難しいよね」

「難しい、というと?」

「ああ、惜しい、とも言えるかな」

「……適正魔法のこと?」

「んん、ま、それもそうなんだけど。イグナ、基本的に君は強くない。戦闘能力に関して他の魔導師と比べて、格下と言わざるを得ない」

「……」

「んー、気を落とすことは無いんだよ。君は弱いからこそ手段を複数思考するんだ。それが、軍師イグナとしての才能を開花させたのだと思うよ」

「この組織に居ると、良い評価とは言えないね」

「ま、ここで私が言いたいのは、君の魔導師としての資質は別のところにあるんだよ、ってことさ。魔法同士を組み合わせたり、薬品を使ったりなんて、なかなか出ない発想だしね」

「嬉しさが半減して、悔しさが生まれたよ」


 イグナが本当に悔しそうに半笑いで言うと、イブリスは前髪をかき分けて言った。


「君に限ってそんなことは無いと思うけど、たまにいるんだ。魔導師になったから、人より優れた生物になれたと勘違いしちゃう奴がさ。私も含め、どいつもこいつも大したことも出来ない人間のくせにさ」


 珍しく怒気を孕んだ声で呟くイブリスに、イグナは少し驚いた。しばらくして二人が到着したのは、イブリスの研究室で、この部屋は主に魔導師達の会議などで使われており、戦闘が多い最近では専ら作戦室として使われている。あの一件以来、軍師としての活動も増えたイグナは、魔導師の中でも最もここを訪れる機会が多い。


「さて、今日君を呼んだのは魔導師になってみたら? という提案のためだけじゃないんだ。まぁ、適当に座って」


 イブリスが先に部屋に入り、四人掛けのソファーに横たわる。イグナはその向かいに乱雑に置かれている椅子の一つをイブリスの前に持っていくと、それに腰を掛けた。


「そういえば、イグナ、随分ルーン文字が増えたね、体。全部でいくつあんの? それ」


 イブリスにそう言われて、イグナは自身の肉体に触れ、どこに何のルーンがあるのかを思い出しながら言った。


「恐らく三十八文字刻んだかな。そのうち五文字くらいは必要が無くなってしまったけどね」

「まあ、そういうこともあるよね。私は、肉体や魔法を補助するルーンがいくつかあるだけで、共感できるというと嘘になってしまうが、魔法への探求という意味では理解できる」


 イグナは、胸元から大麻を巻いた紙煙草を二本取り出し、そのうちの一本をイブリスに渡した。二人は同時に魔法で火を着け口に運ぶ。


「イブリス、俺が知りたいのはそのあたりだ。あなたが、この団体に望むもの、設立の意図を知りたい。恐らく、こと魔法であなたほどの叡智に辿り着いている者はそういない。何を思って魔法を研究し、何を考えて俺たちに魔法の研究をさせているのか、教えてくれないか?」

「ん、いいよ。ただし、その前に君の目的も知りたいな。教えっこしよっか」


 イブリスが指を弾くと、目の前の壁が透明になり壁一面にトロン植物園南にある大海が広がった。


「まずはイグナ、君から教えてくれ。私の話など大したものではないけど、先に君の話が聞きたい」

「ええ、俺は……」


 イグナは初めて母親以外の人間に、幼いころに見た夢の話をした。イブリスは、頬に手をあて真剣に聞いた。


「なるほどね、たしかに啓示なのかもしれないね」

「全く疑わないんですね。俺の話は幼いころの経験に基づくもので、自分で言うのもなんですが、客観的に見ても妄言に近い内容ですよ」

「妄言! その発想は無かったな。しかしまぁ、仮に妄言だったとしても、今君はここにいるじゃないか。妄言を信じてマグナの魔導師になれたのなら、相当にすごい。だが、私の推測が正しければ、君は実際に啓示を受けているんじゃないかな?」

「だとすれば、俺は疑問に思っていることがあって、この啓示は一体誰からの啓示なんでしょうか?」

「んー、そうだね、ここまで言っておいてなんだけど、実は私はこの手の話を信じてはいないんだ。だって体験したことがないから。だけど、その経験をしたという話は基本的には信じるようにしている。だってそのほうが面白いだろう? よって、誰からの啓示かなんてものは見当もつかない、もしも頼って聞いてくれているのなら申し訳ないが」

「いや、俺としては既に見当はついてる。経験が夢で、当然俺しか見ていないものだから、証明のしようもないし、ただの与太話みたいなものだけど」

「いいじゃない、聞かせてよ」

「嫌ですよ。確証の無いものは口にしたくないので」

「あらそうかい? こういうオカルトはいくら歳をとっても心躍るものだから、興味はあったんだが、残念」

「それじゃあ、イブリス、次はあなただ」

「いいよ、っとその前に申し訳ないんだけど、風呂に入りながらでもいいかな? 先ほどまで、ルストリアの子たちと遊んでいたおかげでちょっと疲れてしまってね」


 イグナは「いいですよ」と答えたものの、この研究室には風呂などない。どういうことだ、と考えているうちにイブリスはシンプルな洋服を脱ぎ捨てると、床に手をあて変性魔法で風呂釜を作った。そして、天井を指さすとその部分に穴が開き、その穴からつらつらと水が零れてきた。どうやら、この施設内の配管を変性魔法で操り、水がこの部屋に届くようにしたらしい。

 イグナもイブリスに酷評されていたとは言え、マグナ内で相当な使い手となっていたが、やはり、ここまで手際よく魔法を扱いきるイブリスには感心するほかなかった。


「ふぅー、なかなかナイスな温度に出来たけど、イグナもどう? 一緒にお風呂入る?」

「いえ、俺はいいです」


 イグナはそう言うと、思わずイブリスの体を凝視してしまった。イブリスの裸など、長いことこの施設にいたとしても見れるものではない。


「あら、イグナ君。なかなかにスケベじゃない。私の体をじろじろ見て」

「あの、いえ、そんな……」

「冗談だよ、この体のことだろう?」

「……はい」


 イブリスの腹部から胸にかけて大きな傷があり、その傷は現在も少し出血していて、内臓がむき出しになっている。内臓があらわになっているにも関わらず、出血量が少ないのは、思ったよりも奇妙な光景で、イグナは死体を解剖して摘出した内臓の標本を見ているような気持ちになった。


「この傷は、私にとっては持病のようなものでね。自前の内臓は私には無いんだ。今見えているのは、私が魔法で顕現している代替品だよ」

「なるほど、てっきり俺は先ほどまで交戦していたルストリアの仕業かと」

「そんなまさか。ルストリアのひよっこが何人来ようが、撃滅することぐらい赤子の手をひねるよりも容易いよ」


 イブリスは、先ほどまでスラム街最東部に新設した新たなマグナ本拠地『アスラ研究所』に出向いていた。その施設の責任者であるアーリーと、補佐であるジェニー、この三人で施設の中の設備の最終チェックを行っていたところ、突如としてルストリア軍が現れ、交戦になった。

 これは、先月ルストリアが新たに施行した法令「邪密教禁止令」によって邪教と定められたマグナは、新設の研究施設を建てることが許可されていなかったためであるが、これは雷帝ベガの策略であることは明白だった。あまりにもタイミングが良すぎたのだ。本来であれば、法令を施行するには早くても半年、遅ければ数年かかってしまうものである。

 それは、一つの法を定めた際に生じる矛盾が主な原因で、例えばこの度の邪密教禁止令も、定める基準が明白ではない上に、仮に基準があったとしても思想を縛るようなこの法令は、ルストリアが掲げる「自由と平和」に相反してしまう。それをこの一か月で無理やりにでも施行し、電撃的に新たな施設に攻撃を仕掛けるなど、恐らくベガをおいて他の人間には出来ない。

 しかし、イブリスもその動きには気が付いており、ベガに対する手は事前に打っていて、更には直接的な被害をなくすため、新施設で待機していたのだった。


「いや、今回の戦いはジェニーが活躍していたな。なかなかに面白い変性魔法を扱っていたよ。やはり、彼女の毒魔法は素晴らしい。アーリーも相変わらず、ルストリア軍とお話して、そのあと滅茶苦茶殺して、滅茶苦茶食ってたし、なんなら私が行かなくても良かったかもしれなかったな」

「ふーん、言ってくれれば俺が行ったのに」

「イグナは、二人の代わりに車輪運動の責任者をやってくれていたんだから、それだって大切な研究じゃない」

「車輪運動……そうだね」

「色々聞いているよ、車輪運動で出産中毒の母体に麻薬を摂取させて、精神を安定させたり、洗脳したりして、かなり効率を上げたらしいじゃない」

「あれは、モルモアラの薬の出来が良いので、富豪どもに売って資金源にするだけなのはもったいないなと思ってやっただけで、そもそも、これは薬を作ったモルモアラの功績だと思う」

「ふうん」


 イブリスは、湯に浸かりながら天井を見上げる。そして、やや血で汚れた湯で顔を拭うと、湯船の縁に肘をついてイグナを見ながら言った。


「ちょっと、話題逸れ続けてるけど、もう少し聞きたいことがある。いいかな?」

「この後チャンゴと街に飯を食いに行こうか、って話していたぐらいなので、いいですよ」

「あら、チャンゴ君不憫。ま、いいか。これは、私の話にも繋がってくるんだけど、イグナから見てこの大陸五国をどう思う?」

「各国の話?」

「うん」

「そうだな、いろんな国風があって楽しそうだなと思うよ」

「面倒くさがらないで」

「あー、うん、搔い摘めるほど熟知はしていないけど、ややアンバランスかもね」

「どのあたりが?」

「そうだな、ルストリアとラミッツの関係性であったり、ルストリアとミクマリノもそうだね。五国分国したはずなのに、もしかすると統合の道に行くのかもしれないな、とかは考えるかな」

「そうだね、イグナのいう通り、そこのバランスは非常に脆い。また各国に焦点を当ててみると、武器商会のあるラミッツがルストリアの平和を犯し、ルストリアの平和という名の圧力がスルトの国風の邪魔をしていたり、大陸の平和を守るはずのルストリアはシーナを救わない。このあたりが真っ先に出てくるね」

「如何に正義を振りかざしていようと、結局は人が作った法律なので矛盾は生じるし、それを行使するのも人だから、手心なんかも加わって、まあ、扱う人間にとって利益がでてしまうからな」

「うん、イグナ、そうなんだ。当然例外は何事にも存在するから、この大陸には利益や、心情などお構いなしに、掟と序列だけを忠実に守るイカれた組織も存在するんだけど……。まぁ、この話はいいか。私がしたかったのは、ここら辺の話でさ、このルストリアの『法』という考え方と、私たちが日ごろ扱う『魔法』には共通点がいくつもあるんだ」

「……興味深いね。どういうこと?」

「お、やっぱり食いつくと思ったんだよね。そう、私が思うに『法』とは可変性のある掟だ。更に言えば『支配の仕方』と言い換えてもいい。現在大陸におけるほとんどの人間が、ルストリアの法律の支配を受けているということになるね」

「まあ、そうなる、かな」

「次に『魔法』はどうだろう。何かを支配しているかな。これは、大陸の生き物全てを支配していると、言えると私は思っている。例えば、その人物が扱える範疇を越えた魔法を継続して使えばオーバーフローする。こんなことは、この大陸の魔法使いは誰でも知っている。だからやらない。試すのは構わないけど、みんな死にたくはないものね。誰も望んでやりはしないだろう。これは魔の法と言えるんじゃないかな」


「……」


「ここからは、私の目的の話になるけど、私はね『掟』や『支配』が大嫌いなんだ。することもそんなに好きじゃないけど、されるのは何よりも嫌なのさ。ルストリアの法に縛られるのも、魔法という概念に縛られるのも、私を縛り付ける何かに対して、私は憎悪を抱いてしまう。だからね、私はこの世界を壊してみたい。掟を破壊してみたい。それで人が誰一人として幸せにならなかったとしても、私はそれをしたいんだ。一度それが出来るのなら、その後で私が掟として成り代わってやってもいい。それくらいには、人を愛しているからね」

「掟、法律、成り代わり。なかなかに面白い話だ。魔法の法則を作った人間がいるのなら、是非話を聞いてみたい。文献には一切その人物について書かれているものは存在しないけれど、まず間違いなく居るんでしょうね、最初の人が」

「そうだね、もしかするとイグナ少年に語り掛けた人がそれそのものなのかもしれないしね。ただ、もしそうだとするのなら、私はその『最初の人』とやらも気に食わないから殺しに行かなくちゃいけないな」

「ははは」

「そろそろのぼせてきたかな、風呂を出ることにするよ。チャンゴ君にも悪いしね」

「ああ、忘れてた。多分、チャンゴは車輪運動に協力しつつ遊んでいるから、大丈夫だと思いますけどね」

「そうかそうか、しかし、チャンゴの魔法もそうだが、特異魔法の遺伝は実現しないねぇ。ジェニーも、そろそろ焦りを感じているようだし」

「ジェニーが? そんな風には見えませんでしたが」

「そう? じゃ、私にだけ言ってるのかもしれないね。なんだか、特異魔法の遺伝の成功率を上げるには適正年齢があるとかで」


「あれ? 先月確か二人目のミハイルを生んだばかりじゃなかったっけ?」


「あれは生まれてすぐ死んでしまったよ。ちなみに私の知る限りじゃ、四人目だったと思うよ」


「そうか。やはり、あれは現実的ではないのかもしれないな。そもそも魔法分娩にしないのも何かのこだわりなのかね?」

「そうそう、彼女の研究の一つの結論として、きっちり体内で育てて、肉体を痛めながら生むことが重要なポイントらしい」

「そうですか。あ、生まれてくる子供全てにミハイルと名付けるのにも何か理由が?」

「それは、どうかな。理由なんかでは縛ることのできない、執念のようなものだったと記憶してるよ」

「つまり、魔法学的な根拠は無いと。やはりね」

「そんな否定的な気持ちになってやるなよ。少なからず、精神、心と魔法の影響については君がかなりの数の発見をして、事実それがマグナ全体の知見を高めた。その情報の行く先には、ジェニーの行っている奇妙な行動も、いずれ身を結ぶかもしれないじゃないか」

「そうですね、可能性は限りなくゼロに近いものですけど」

「ゼロじゃなければ、可能性は無限大なんだよ。私なんて先日、競馬場で大穴中の大穴をね」

「あ、そろそろ行きますね、イブリス、また話しましょう」

「うん、また話そうね。君との時間はなかなかに楽しい。約束はしないが、気が向いたら来るといい。私も気が向いたら行く」

「そうですね、気分次第でまた会いましょう」



――王国歴1475年 トロン植物園


こんにちは。チャンゴです。

今、私は、いや俺はまたしても大きくなった私室の隅っこの机で日誌をつけています。

この日誌というものを書き始めて二年は経とうとしています。

最初こそ面倒で、真面目に書くことはなかったけど、今はもう日課になっています。

慣れって怖いですね。さて、今日はとてもショックなことがありました。

それは、この日誌を書くように命じていたローハイトさんが、機密の管理ということで、僕が読み返せないように、どこかに封印をしてしまいました。

たまにあれを読むのが、この施設での少ない楽しみだったのに、ローハイトさん酷い。そもそも、この日誌を書くようになった理由ですが、それは俺の魔法の不調、というか俺自身の不調の為です。

魔法は相変わらず絶好調で、一目見た相手でも問題なく変身できるようになりました。

ローハイトさんに内緒だけど、実は新魔法も編み出せそうな雰囲気があります。

この日誌を読んでいるローハイトさんよー、秘密の魔法は絶対教えてあげないからね。

私の日誌を隠した罰さ。

イグナも褒めてくれた、とっておきの魔法だからね、すんごいぜ。

今日の出来事は、昨年ルストリア軍に壊滅させられたアスラ研究所が再建したこと。それで、私はアスラ研究所に配属になるとかで、もしかするとイグナと離れ離れになっちゃうかも、という心配が出来ました。

でもイグナは相変わらずいい奴で、イグナの研究室もアスラの方に移動させるように手配してくれたていました。

マジいいやつ。毎日、魔法の練習して、アーリーのとこで母体に種を植えて、薬飲んで、横になって、日誌書いて、これじゃ、俺の嫌いなストイックな生活じゃないか、というツッコミを入れつつ、この生活自体そんなに悪いものじゃないと、ここに公言しておこう。

何故なら、休みたければいつでも休めるし、出かけたいと思えば、誰かしらの付き添いはあるけど、大陸のどこにだって行ける。

金も十分にあるし、もし誰かに絡まれたとしても、今の俺には怖いと思えるほどの人間がそうそう存在しないしね。

特異魔法の練習の延長で、汎用魔法は全部覚えっちゃったし、あとは相性とかを見極められれば、多分かなり戦えると思う。

でも、俺がマグナ関連で闘争に加わったことは一度も無いんだなぁ。これが特異魔法持ちの特権。ここに来てからずーっと俺の魔法を研究してもらってるけど、そのほとんどが不明で、再現には至ってない。

つまり、この魔法がある限り、働かなくていいし、命の危険も無い。

いやぁー、持つ者は良い友人と、魔法の素養だよ。でも、もし自分の魔法が完全に再現出来たらと思うと、夜眠れなくなる。

そんな夜は、薬中の母体と遊んだりして気を紛らわすんだけど、迫りくる恐怖に耐えられなくなって、マグナの為に働いたりすることが増えた。

あ、嫌なこと思い出した。

ジェニーさんが車輪運動から離れた。代わりにマクレガーが担当に入ったんだけど、マクレガーは俺に対するあたりが強い。

子供たちに電気を流して、無理やりオーバーフローさせてるのはいつも僕なのに、俺がジェニーさんと寝たことを知ったマクレガーは、いつも俺に「それ以上、その変化魔法を使うな」とか言ってくる。

「お前のためにならない」とか心配してる風を装って、私から仕事を取り上げる魂胆が見え見え。

俺は、このマグナという組織が好きだし、何かの役に立ちたいと考えているのに、そんなに特別かね、誰が誰と肉体関係を持つことが。

ま、僕の場合はマグナ、というよりかは、イグナと一緒に入ったこの団体に愛着がわいたって感じなのかもな。

おー、結構書いたな。

来週から、アスラだ。それまでには、少しでも体調を戻して、新しい研究所でイグナみたいに何かの成果をあげてみたいな。

お読み頂きありがとうございます。

励みになりますので、いいねやポイント評価を頂けますと幸いです!


小説のプロローグCG映像を公開中です!

是非見てみてください!

https://youtu.be/Jhc0wLs5Z9s

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