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Wizards Storia外伝~天諭の豊刈~  作者: iokiss/薄倉
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其の二

――王国歴1463年 スルト北東部 ナサリオ


 ルストリア大陸北部に位置する、スルトという国は、中央の調停国ルストリアの次に武力を持った国である。この大陸における武力は、魔法、武器、策謀、使い手、地形の五つで表現されることが多いが、スルトの武力はそのどれもがルストリア以外の従属国とは頭一つ抜けている。

 その中でも、魔法の研究に関して言えば大陸内で最も盛んに行われており、プロ、アマ問わずスルトの各地で日夜、魔法研究が行われている。当然、中央のルストリアでも魔法の研究は行われているが、その数は非常に少ない。これは、ルストリア国内における法律によって、魔法研究を行うためにはルストリア軍に指定された書類を提出し、然るべき審査を受けたのちに、限られた者のみが研究を行うことが出来る、というルストリアの保守的な体制がこのような差異を生み出している。

 対して、スルトは自身を高める為、対外的に強くなるためであれば何をしても良いという国風により、一般的な家屋であったとしても、その中では研究を行っているなんてことは当たり前のようにあった。そして魔法研究を行う者の多くは、王城であるスルト城で年に三度行われる魔法の品評会に研究の成果を持っていき、国内での自身の地位を獲得しようと切磋琢磨しているのだった。


 イグナはミクマリノを出国すると、母の言いつけ通りにスルト北部にあるエレンス山で火の原魔結晶石に祈りを捧げた後で、そこから東にあるナサリオという小さな町のホーキンス魔法研究所へと向かった。ホーキンス魔法研究所の所長であるホーキンスは、母の原魔修道院の先輩であるオリビアの弟であり、イグナは母からもらった手紙をホーキンスに見せると、少し怪訝な表情を見せたものの、住み込みでの魔法研究を許可した。

 ホーキンスは炎を生み出す魔法を得意としており、研究も同様に炎の魔法に関わるものが多かった。また、研究所とは言っても一般的な石造りの家屋を改造した小規模なものであったが、初めての魔法研究を行える喜びを前にイグナがそれを気にすることは無かった。

 

 魔法研究に来て早くも半年を迎えようとしていた、ある日の午後。


「ホーキンスさん、ただいま戻りました」


 研究所の扉を開け、イグナがどこからか戻ってきた。


「お疲れ様、お茶を入れたけど飲むかい?」


 ホーキンスは長机の端で椅子に腰かけ、ティーポットにやかんからお湯を注いでいた。


「はい! いただきます!」


 イグナは、背中に背負った篭を下すと、長机のホーキンスの席とは逆の端側に座った。


「ほー。これは随分と豊作だったみたいじゃないか、重かっただろう、大丈夫かい?」


 ホーキンスはイグナが背負っていた篭を覗き込むと、その中にはたくさんの黒い石が詰まっていた。


「御心配には及びません! 少し腰が痛みますが、見てください! 今腰に手を当て、非常に弱い氷結魔法をかけています。私が住んでいた村で、腰を悪くした者がその部位に氷を当てていたので、それであれば直接……」

「ちょ、ちょっと待て、イグナ。今すぐそれをやめろ、危ない」

「危ない? そうですか? 僕だって魔力がぶれそうなときには、手を離せるから大丈夫ですし、何よりここが万が一凍ってしまっても、死ぬことは無いですよ?」


 とは言いながらも、素直に魔法を解くイグナを見てホーキンスは少しため息をついて言う。


「イグナ、お前の魔法のセンスに関しては、認めるよ。魔法の扱いのうまさに年齢なんて関係が無いってことは、お前を通してよくよく思い知らされたよ。だがね、全てが予定通り、全てが計算通りにいくことなんて無いんだ、万が一君に死なれでもしたら私は姉さんや、イグナートさんに顔向けが出来なくなってしまう。当然、私だって悲しいんだ、わかってくれるかい?」

「はい、わかりました!」


 元気に答えるイグナだったが、そんなイグナを見てホーキンスは目を細めて言う。


「バレないようにやればいいわけじゃないからな」


 と、念押しされるとイグナはサッと目をそらした。その様子を見たホーキンスは、マグカップにお茶を入れるとイグナの目の前に差し出した。


「しかし、イグナ。随分採ってきたな、お前の冷安士としての技術があってこそのこの採取量だ、一日にこれほどまでの火山岩を採ってくる八歳児など、この大陸広しといえどお前だけだろうな」


 イグナの研究所での新たな日課は、朝五時に起き、この研究所から南東にあるインセンディオ火口に行き溢れ出るマグマを冷却し持ち帰ることから始まる。これは、ホーキンスの妻の父、ホーキンスにとっては義父にあたるグーストという男の仕事の手伝いでもある。

 グーストの仕事は馬の蹄鉄作りであり、インセンディオ火口から噴出する溶岩に鉄分が多く含まれている為、そこで採石を行っていた。採石された火山石は、ホーキンスが実験で使ったり、またはその副産物として鉄を生み出す。生み出された鉄を、妻であるクラウディアが街で売ったり、その鉄をグーストが蹄鉄に加工して売ることによって、ホーキンス研究所は生計を立てていた。


「あなた、イグナ、パンが焼けましたよ」


 そういって鉄板に乗せたたくさんのパンを持って、研究所に入ってきたのはクラウディアだった。その後ろからはグーストも付いてきている。


「おや、もうそんな時間か」


 ホーキンスが窓の外を見る。そこには、草木の生えない荒野にいくつもの岩がまばらに置かれてあった。これは、ホーキンスが作成した日時計である。それを見たグーストは、やや呆れた様子で言った。


「ホーキンス、そんなものに頼らずとも、今の時代機械仕掛けの時計があるだろう、見てみろ、ほれ」


 と、突き出された懐中時計をホーキンスは頑なに見ようとはしない。グーストは面白がって、ぐいぐいと見せつける。


「や、やめてくださいよ、お義父さん。そういったものに頼るのは自然に対して、ひいては魔法への冒涜にあたります」

「なぁにが、冒涜だ。人間は利用できるものなら何でも利用していくのだ。お前こそ、人間が積み上げてきた技術を冒涜しているじゃないか」


 グーストは、黙ってしまうホーキンスを嬉しそうに見ていたが、横にいるクラウディアがグーストの足を踏みつけると「痛ぁ!」と、足をおさえながら飛び跳ねた。その様子を皆で笑い合うと、それぞれがいつもの席に着き、クラウディアが皿に乗ったパンを配った。配り終えると、クラウディアも席に着き、それを確認したホーキンスが額に手を当て口を開く。


「我々を取り巻く万物に感謝し、(あまね)く全てを(もたら)す原魔結晶石に祈りを……」


 原魔修道院や、結晶石信仰の人々は礼節を大切にするが、ホーキンスはそんな中でもかなり敬虔(けいけん)な信者であり、古くから伝わる習わしを現代においても行う。先ほど馬鹿にしていたグーストもこれに関して言えば、ホーキンスの行いは正しいと思っている。

 イグナは、実のところ原魔修道院に務める母がいるにも関わらず、この儀式は祭りの時にしか見たことが無かったが、今となっては、一人で食事をするときも行わないと気持ちが悪い、というくらいには日常化していた。


「ところで、イグナ。お母さんには手紙返したのか? また来ていたぞ」


 ホーキンスはイグナに心配そうに尋ねる。イグナは、口に含んだパンを飲み込むとそれに答える。


「いえ……まだ何も答えが見つかっていませんので……」


 それを聞いたグーストが、イグナに言う。


「馬鹿者。子供が一丁前に何を言っている。一言元気だと伝えるだけでいいんだ。家族とはそういうものだろ」

「……はい」


 少し重たい空気が流れたことを察してホーキンスが切り返す。


「まあ、私から定期的に姉さんを介して無事は伝えているし、私から話をしておいてなんだけど、こういうのはタイミングもあるよな」

「……ありがとうございます!」


 その様子を見て、早くも食事を終えたグーストはホーキンスに言う。


「今日は、イグナを借りたいんだが良いか?」

「ええ、私は大丈夫ですが……」


 答えながらホーキンスはイグナを見ると、イグナは目をキラキラさせて頷いた。


「よし、それなら先に蹄鉄(ていてつ)小屋で待っているからな」


 と言った時には既にイグナはパンを全て口に押し込み立ち上がっていた。


「なんだか、嫉妬しちゃうなぁ」


 とぼやくホーキンスを尻目に二人はいそいそと出て行ってしまった。二人がいなくなり、クラウディアが食器を片付けていると、ホーキンスは呟く。


「しかし、最初はこんな子供を一人で送りつける親や村に驚いたが、ここまでしっかりしてると、村の人間の気持ちも分からなくはないな」

「そうですか? 私には子供に見えますよ。私は未だに思っています、あの村は異常だって」

「そうか? そうか……」

「ところであなた、明日は成果報告の日ですよ」

「わかっているよ。お前こそ、お腹の子供の調子はどうなんだ?」

「ええ、彫り込んだルーンとの呼応を感じるわ、明日見てもらって、この調子なら本部入りも……」

「本当か! でかした! よし、私も負けていられないな!」


 イグナはグーストの仕事を見ることが好きだった。


 グーストと共に『蹄鉄小屋』と呼ばれる鍜治場小屋にやってきたイグナは、たたき台の横にずらりと並べられた蹄鉄を眺めている。グーストは、近くの棚から麻布を取り出し広げた。麻布からは埃が舞い上がり、二人は軽く咳込んだ。広げられた麻布には、たくさんの蹄鉄の型が書き込まれていた。


「さて、イグナ、お楽しみタイムだ。本日は、こちらのサイズを作ります」


 グーストが指さした蹄鉄の型には、十一と数字が書き込まれている。グーストは、足元の蹄鉄を一つ拾い上げると、その型にあてた。


「ごらんください、こちらの蹄鉄、オーダーされたサイズよりも少し大きいですね、これは困りましたね、イグナ、どうしましょうか?」


 芝居がかったグーストの言葉にイグナは、同様に芝居がかった過剰なリアクションをとり、これは困ったという表情を見せる。


「では、イグナ。刮目!」


 グーストは手に取った蹄鉄に意識を集中する。そして詠唱を始めた。


「アルカルンドを駆ける馬よ マガスドルムの時詠(ときよ)みよ ガムラへ向かう道と ガイラへの手紙 重なり裂けろ デュプリカーレ!」


 詠唱が終わると、グーストの両手が緑色に発光する。そしてその発光する手で蹄鉄に触れると、まるで熟れ過ぎた果実のように蹄鉄はどろりと溶け始め、グーストは蹄鉄を持っていない方の手で溶けている蹄鉄に指を突っ込んだ。そして、それを素早く抜くと手には先ほどと同様の蹄鉄が握られている。一見する限りでは、何ら変化はない。


「さあ、ご覧あれ!」


 グーストは抜き取った蹄鉄を先ほどの型にあてる。するとどういうことか、先ほどでは大きすぎた蹄鉄が、ぴったりと収まっている。


「どうだ、すごいだろう。何度見ても見惚れるだろう」


 すかさずイグナは拍手をする。かれこれここに来てから五十回は見ているであろう、グーストの複製魔法。イグナには原理がわからず、興味と好奇心で爆発しそうだった。


「まあ、俺の複製魔法は不完全だが、だからこそできる蹄鉄屋の仕事というわけだ」

「不完全だなんて…… こんなにすごい魔法を持っているだけでも奇跡だよ!」

「そうか? そうだな! なっはっはっはっは!」


 グースト本人が言う様に、この魔法は不完全であった。それどころか欠陥と言っても差し支えないだろう。この魔法によって複製されたものは、原本よりも若干小さくなってしまい、原本自体はスカスカになって薄い皮膜だけが残る。誰がどう見ても欠陥であるが、グーストは長年この魔法と向き合い研究することで、この魔法を職業へと昇華させた。

 元来、蹄鉄のサイズは既定のものしか販売されておらず、馬の脚にぴったりと合わせるという感覚ではなく、大体あっていれば良いという程度の認識であった。そこでグーストは、自身の魔法の欠点である少しサイズが小さくなるという特性を活かせるのではないかと思い立ち、研究を重ねて現在に至っていた。


「まあ、そもそも、魔法本来の使い方など誰にもわからんのだ。俺のこの複製魔法だって、そもそもが、こういう使い方を意図して出来たものなのかもしれないし、こればっかりはご先祖様に聞いてみないことにはわからないことだな」


 イグナは顎に手をあて、何か考えている様子だったが、突然グーストを見上げて尋ねた。


「グースト、その魔法はいつ出来るようになったの? 誰から教わったの?」


 イグナが敬称を省いて名指しで呼ぶのはいつものことだったので、特に気に留めた様子はなく、グーストは目を瞑って昔を思い出しながら答えた。


「魔法は確か十二歳の誕生日の時だったな、誕生日に貰った杖を手が滑って落としそうになって、咄嗟に掴んだら杖の皮がズルンと抜けて、杖が一回り小さくなったのが、初めての発現だ。最初は消耗が激しく、様々な魔導書を読み漁ってこの魔法の完成を夢見たが、結局精度は上がったものの、性質自体が変わることはなかったな」


「ふうん。そっかぁ」


 イグナは再び考え事を始めたので、グーストはイグナのことはそっとしておき、蹄鉄屋としての仕事を黙々とこなした。その間、イグナはグーストの魔法を時より見てはまた考え事をして、少し手伝ってはまた考え事をした。


 イグナにとって初めての魔法研究の日々はあっという間に過ぎていく。


 気が付けば、ここに来てから一年が経とうとしていた。お腹を大きくしたクラウディアが、研究所の椅子に腰かけ、自身のお腹をさすっている。この平和な現象とは裏腹に、このホーキンス研究所は殺伐とした空気が漂っていた。その理由は、今まさにお腹をさすっているクラウディアとその夫ホーキンスの人格の変化にある。

 クラウディアに関して言えば、妊娠中の精神的な変化と言われてしまえば、そういうこともあるか、と思えなくもない変化であったが、週に二、三回夜間に徘徊したり、時折虚ろな目で魔導書を眺めたりと、以前の様子とはかなり異なる状況。一方ホーキンスは、魔法の研究により熱心になり、時折見せる苛立ちはまるで期日のある仕事を請け負っているかのようだった。

 グーストは、最初こそそれを茶化したりしていたが、あからさまに変わっていく二人に不安を覚えたようで、二人の行動を監視したり、イグナに聞きこんだりしていくうちに徐々に憔悴していった。イグナは良くも悪くもマイペースで、二人の行動に関して別段踏み込むことはなく、自身の研究項目が増えてきたこともあって、それなりに忙しそうにしていた。


 そんなある日の午後、研究所の扉からノックの音が聞こえた。


 イグナはいつも通り、扉を開き要件を聞こうとする。外から聞こえる幾つかの金属音に、訪問者が鉄製の装備を整えた人間であることを察知し、咄嗟に胸のポケットに入っている杖に指を触れながら、ゆっくりと扉を開いた。


「失礼します、スルト軍からの伝達でこちらに伺っております。事が事なので多勢になってしまい、申し訳ありません」


 扉を開くと、一人の軍人が大勢の兵士を引き連れて立っていた。イグナは軍から追われる可能性を危惧していた。イグナの背後でホーキンスが動いた音がした。イグナの内心は複雑であったものの、表情には決して出ない。


「どうしましたか? お急ぎのようですが」

「ああ、ホーキンスさんは不在か? まあいい。いずれ、本日中に町内会報でも詳細が届く手はずになっているが、どうやらこの付近でも出たらしいのだ?」

「出た、というと?」

「マグナ・ディメントだよ。君くらいの年齢でも名前ぐらいは知っているだろう?」

「はぁ」


 マグナ・ディメントは戦争が激化しているこの時期、数年の間に急激に勢力を拡大した新興宗教の名称である。主な活動は魔法の研究であるが、結果の為であれば手段を選ばず、成果の為であれば善悪の隔たり無く、仇なす者が現れれば徹底的に排斥し、立ち塞がる者が現れればそれを撃滅する。

 ある者には与え、ある者には施し、ある者からは奪い、ある者からは崇拝され、社会に断絶されながらも、社会に深く根ざし、確かに存在はあるものの、どれくらいの規模組織なのか、その根城は何処にあるのか、未だに判明していない。

 この世にあって、この世に無い、唯一無二にして有象無象。この大陸に住まう者で、この名を知らないものは、人の世を捨てた者か、相当なモグリである。


 あまりにも、ほおけた様子のイグナに対して少し苛立ちを覚えた兵士は、やや声を大きくして言う。


「ともあれ、マグナが現れたということは、この近辺の研究所に出入りしている可能性が高いことを示唆している。今は無くとも、いずれはこの研究所に来る可能性だってある。奴らは狡猾で、非道だ。スルトでは、他方向からやってきた暴力や脅威に、市民の安全が脅かされるようなことは、決してあってはならないことなのだ、わかるな? 呆けた少年よ」


 やや熱血が過ぎる兵士は、話しながらぐいぐいイグナに近づいてき、あと少しで鼻と鼻がぶつかるような距離まで詰め寄った。その後で、兵士は(きびす)を返すと、ぶつぶつとぼやいた。


「全く、マグナは出るわ、ベガは現れるわで、厄介事は続くな。おまけに、危機感の薄い市民ばかりで腹が立って仕方がない」


 危機感の無い当事者にも聞こえるボリュームで吐露した言葉に、イグナは看過できない人名について質問をした。


「ベガ、って、ルストリアの雷帝ベガ大尉ですか?」

「ん? ああ、聞こえたか。流石、魔法研究所に居るだけはあるな。お前さんの言う通り、あの『雷帝』だよ」


 雷帝ベガ、この名こそ、現在大陸内で最も話題の人物である。


 ルストリア軍の武力の要、全魔法使いの中でも最上級の魔法使い。知将としても名高い彼が出向いた戦は必勝で、戦場で微動だにせず敵を殲滅し、戦地は轟雷が響き渡り、辺りは焼け野原となる。その事から『雷帝』という異名がつけられた。


 イグナは、ベガという人物に大変興味があった。


「それで、雷帝はどこに現れるんですか?」

「ん? それがわかれば我々も苦労しない。何やらこの付近の火口近くに出没するらしいのだが、どういうわけか、見かけたのは女子供ばかりでな、信憑性としてもかなり怪しいものだ。少年、雷帝に随分興味があるようだが、常識的に考えてルストリアの軍人が許可なくふらふら現れて火口を密偵するなど、ありえない話だ。ただの噂だと私は思うが、戦争はいつも突然起きるもの、警戒し過ぎなんて事はないのだよ。いいか、くれぐれも探したりするなよ」

「はい! わかりました」


――同日 インセンディオ火口


 あれからイグナは、なぜか裏に隠れていたホーキンスに兵士が言っていたことを伝え、何食わぬ顔で火山岩の採集に行くと言って研究所を飛び出した。

 ホーキンスは、イグナのことを気遣えるような精神状況ではなかったようで「ああそう、いってらっしゃい」とだけ言うと、奥の部屋に籠ってしまった。一部始終を見ていたグーストは「一緒に行こうか?」と気遣っていたが、イグナがこれから会うかもしれない人物のことを考えると、その出会いを邪魔されることが嫌だった為、丁重にお断りして研究所を出た。


 インセンディオ火口は、火口であって火山ではない。山の定義は非常に曖昧なものであるが、インセンディオ火口は溶岩を噴出し、今まさに山になろうとしている土地のことである。一キロほどある面積に、非常に熱い岩盤が構成されており、これを熱い方へ熱い方へと進んでいくと、まるで大陸から絞り出した膿のように、にゅるにゅると赤い溶岩が出るポイントがある。

 こここそが、インセンディオ火口であり、イグナはここに火山岩を採集しに来ている。火口付近まで近づくと、一般的な靴では歩くこともままならないような熱さになっていき、ひび割れた足元の岩盤の隙間からは、有毒ガスが噴き出している。その有毒ガスに、溶岩の纏う炎が引火するとその度に小さな爆発を引き起こしている。


「雷帝ベガか、いったいなぜこんなところに?」


 イグナはそう呟きながら、火口へと向かって歩き出していた。付近には、大きな火山岩がばらばらとそびえたっている。空はどんよりとした曇り空で、今にも一雨きそうな感じだ。まだまだ熱気もそこまでではないが、イグナは万が一にでも雷帝を見ることが出来るのではないかと、万万が一にでも雷帝の魔法を見ることが出来るのではないかと、心拍数は上がっていった。

 地中で溶岩が動き回る地響きが起こり、イグナの足に直接響く。と、ここで、イグナは突然足を止める。背後で小石を蹴るような、何かが動いたような音がした。ゆっくりとした動きでイグナは振り返る。


「……なんだ、コオロギか」


 イグナはぴょんぴょんと飛び跳ねるコオロギを見て、残念な気持ちと安堵の気持ちを同時に吐き出すと、再び奥地へと足を向けた。すると、背後から声がする。イグナは驚きのあまり声が出てしまい、振り返りつつ飛びのく。


「……なんだ、子供か」


 そこには、眼鏡をかけた端正な顔立ちにルストリアの軍服を纏った男が立っていた。魔法研究に携わる者であれば魔法研究機関紙や、新聞などで何度も肖像画を見る機会があり、イグナに関して言えば五歳のころにミクマリノの首都の祭典で直接見たことがある男がそこに居た。

 イグナは、先ほどは声が出てしまったものの、今度は声が出ない。ただ状況を整理することだけに集中している。


「こんなところに、何故子供が一人でいるのかはさておき、私がここに来ていることを知られた以上、処理する。悪く思うな」


 ベガは胸元から杖を取り出すと、意識を集中し詠唱を始める。イグナは、自身の命が危ういことに気が付きつつも、ベガの魔法を見ることが出来るという興奮から目が離せず、複雑な感動に瞳からは涙が一滴零れた。


「雷帝の名において命じる、

蒼天から訪れる死の番人よ 我が魔力に呼応し その身を顕現せよ

ディスカ エレクト!」


 瞬間、ベガの杖の先が光ると同時にイグナの背後にある岩が破裂した。その破片がイグナの脇腹にぶつかったが、大したダメージは無く、イグナは怯まずにまだベガから目を離せないでいた。


「……大した子供だ。次は当てる。良いな?」


 そう言うと、ベガは一歩、また一歩とイグナに近づいてくる。イグナは、胸元から杖を取り出す。


「雷帝ベガ、もっと見せてくれ。次はもっと上手に弾く!」

「いいだろう、死にたがりの少年に然るべき結末を届けてやろう」


 再び、ベガは詠唱を始める。イグナは、にじり寄ってくるベガを見つめている。


「ディスカ エレクト!」


 杖が眩く発光する瞬間、イグナは先ほどと同じようにポケットに入っていた火山岩の欠片に魔力を込めて放り投げる。すると、ベガの放った電撃がその欠片に命中し、軌道がそれ足元の岩盤に電気が逃げていく。ベガは、自身の電撃が二度も外してしまったことに驚きが隠せない様子で、じりじりと後退を始める。


 イグナは、ベガに対して言う。


「電撃魔法には、指向性の調整、演算が必須で、目標との間に魔力を通しやすい物や、電気を通しやすい物があると、その難易度は更に上がるんだよね。ここの火山岩には鉄分が含まれているし、溶岩自体魔力を帯びているから、どちらも条件を満たしている」

「お前、一体何者だ?」


 一歩、また一歩とイグナはベガに近づいていく。ベガは杖をかざすことすらしない。イグナは続ける。


「最初の一撃で、この土地で電撃を放つことの弊害を考慮した魔法を放ってこないことに違和感があったし、僕の投石にも気が付いてもいなかったみたいだから、なんか変だなとは思ったんだよね。電撃魔法は、魔力の消耗も少なくないらしいし、僕は初めて見るから二度目を見させてもらったけど、まあ、こんなものか、って感じ」


 イグナは、ベガの目の前まで行くとその困惑の表情を見上げて尋ねた。


「君、一体誰?」


 ベガは、額から汗を流すと、観念したという様子で自身の後頭部を左手でパンと叩き、言葉を発する。


「リヴァン!」


 その言葉と同時に、ベガはグニグニとさながら粘土のように肉の塊になっていき、再び人の形に戻ると、イグナと同い年くらいの少年に変身した。


「お前、本当に何者? 普通逃げないか? あそこまでされたら。どうかしてんのか?」


 肉の塊から生まれた少年は、心底呆れたという表情でイグナに尋ねる。


 それに対してイグナは体をぶるぶると震わせて大声を出した。


「す、す、す、す、すごい! 僕はてっきりそっくりさんか何かだと! いや、当然魔法による幻影の可能性も考えたけど、幻影魔法の条件を満たしていないし、そもそも幻影だったら雷帝がこんなに弱いわけ無いし……」


「お、おう。なんだかよくわかんねぇけど、感動してもらったみたいで良かったよ。俺の名前はチャンゴ、お前は?」


「僕は、イグナ。ねぇ、さっきの魔法だよね、あれ何? どういうこと?」


「ま、まあ、落ち着けよ。あれは俺の変身魔法さ」

「変身魔法? 聞いたことないな、どのジャンルの魔法なの?」

「いや、詳しくは俺もわからねぇよ、この前突然使えただけ」

「突然! やはり、突然なんだ! どこで、どんなふうに?」


 興奮したまま詰め寄る初対面のイグナにチャンゴは顔をひきつらせたまま、魔法の発症について説明をした。


 チャンゴの話によると。チャンゴは原魔修道院直営の孤児院に住んでいるようで、先週いつものようにベッドで目覚めると、体が孤児院の院長になっていたらしい。状況に狼狽えていると、そこに教師がやってきてチャンゴが変身したと発覚。夜間に外部から何者かが侵入し、チャンゴに何かの魔法をかけたのではないかと大騒ぎになった。

 そうしているうちに、突如として魔法が解けチャンゴに戻るのだが、これが三日連続して続くと、いよいよこれはチャンゴの固有魔法であることが発覚した。それ以来、チャンゴは時間を見つけては孤児院を抜け出し、いたずら心から様々な場所でベガに変身して人々を驚かせていたらしい。チャンゴのいた孤児院には数か月に一回ベガが視察という名目で訪れていたため、容姿に関してはもちろんのこと話し方まで知っていたのが幸いし、ベガの変身は比較的容易であった。

 しかし、万が一にでも戦闘になってしまうと困ってしまうため、女子供のみをターゲットとしてこの魔法を堪能していたという。


「ま、お前が十五人目だったけど、ここいらで潮時かな。まさか、こんな子供に見抜かれるなんて、俺の限界も大したことなかったってことだな」


 と落胆するチャンゴに『お前だって子供じゃん』という言葉は抑えつつもイグナは言った。


「そんなことはないよ、チャンゴ。その魔法はかなり貴重だし、その精度はすごすぎる! きっとすぐにでも軍からスカウトが来るはずだよ!」


 というイグナの発言に、パァと明るい表情を見せたチャンゴであったが、その表情はすぐに曇る。


「スカウトなんか、まさかぁ……。マジで?」

「うん、マジ。多分遅くても三日くらいで来ると思うよ」

「えー? ほんとぉ?」

「だって大騒ぎになったんでしょ? ましてやベガ大尉が訪れるような孤児院だったら、未発見の魔法発現を隠蔽するなんてありえないしね」

「んー、いまいち実感がわかないなぁ」

「今日、僕の家にも軍の人が来たんだ。なんなら今から孤児院に戻ってみようよ!修道院の人がチャンゴの話をしてるかもしれないし」



――数時間後 ナサリオ外れ ナサリオ修道孤児院


「え、マジじゃん!」


 ナサリオの外れにある修道孤児院の近くの茂みに隠れてチャンゴは言った。なりゆきでついてきたイグナは「ほらね」という表情を見せた。


 現在、ナサリオ修道孤児院の前にはスルト軍の馬車が三台も停まっている。チャンゴは頭を抱えた。そんな様子を不思議に思ったイグナはチャンゴに尋ねた。


「どうしたの? 早く戻れば?」


 頭から顔に手を移動させ、指の隙間からイグナを見つめて言う。


「俺はさぁ、上昇志向とかないわけよ。とにかく、俺は働きたくないわけ。軍なんて、その逆じゃない? スルト軍なんて言ったらストイックを絵に描いたような変人の集まりだよ? 俺にはとてもとても。あー、終わった。俺の人生。詰んだ……」

「どうして? 断ればいいじゃない。僕には荷が重いですって」


 イグナは、少しいじわるな質問をする。それを察することはなく、チャンゴは答える。


「いいか、イグナ。これはお願いじゃないんだ。スルト軍の徴兵は、国民皆が望んでいることであると同時に、俺みたいに望んでいない少数派の国民にとっては強制徴兵。断ることによってこの国で生きていくことはできなくなるのさ。その前にまず、このイタズラをメチャクチャ怒られるだろ。あぁ、最悪の日だぁ」

「ふふふ、そっかぁ」


 イグナが小さな声で笑う。チャンゴは少しむっとした様子でイグナを見つめる。


「お前、もしかしてまあまあ性格悪い?」

「そんなそんな。そんなことあるわけないじゃない。僕はこれから君を助けると言うのに」

「どういうことだ?」


 イグナはそう言うと、孤児院を離れ町の外にまでやってきた。チャンゴは誘われたわけでは無いが、イグナに付いていく。


「なあ、どこまで行くんだよ」

「どこまでだろうね。僕にもわからない」

「はぁ? イカれてんの? お前」

「イカれてる。確かに、そうかも。でもこうも考えられるよね。皆がイカれてる」


 イグナは足を止め、空を見上げる。チャンゴも同じように空を見上げる。


「ねぇ、チャンゴ。君の魔法は本当に素晴らしいものだ。なのに世界は君から自由を奪おうとする。そうだよね?」

「ん? んん。まぁ、見ようによっちゃぁ、そうなるか」

「それって変なことじゃない? だって優れた魔法や希少な魔法を持ってるほど、肩身が狭くなっていく」

「……」


 チャンゴには返す言葉が無い。昼の暗雲は既に晴れ、星々がざわめき始める。


「チャンゴ、僕と一緒に、いや、俺と一緒に来い。君の力はもっと自由であるべきだ」


 突然の誘いに、チャンゴは驚き声にならなかったが、沈黙を打ち破るためにやっとの思いでイグナに尋ねた。


「来いって、いったいどこにだよ? 俺たちの年齢じゃやれることなんて限られてる。ここから逃げ出しても、常識的に考えて、野盗なんかに捕まって売られるか、軍に捕縛されて研究されるか、そこらへんが関の山だ」

「ふふふ、だからね、チャンゴ。常識の外の人間にお願いするんだ」

「全く話が見えない。イグナ、どういうことだ?」

「チャンゴ、ここから先、話しても良いけど、それなりに覚悟がいるよ? いいね?」


――十日後 ナサリオ郊外


 ナサリオから南に歩いて十五分ほどのところに小さな林があり、そこにはかなり昔に放棄された原魔修道院の廃屋がある。元の建物が非常に頑丈に作られていたこともあり、雨風を凌ぐのに立ち寄ったり、住まう者が居てもおかしくはないが、不思議とそこに人が寄り付くことはなかった。それは、神秘的である原魔修道院の雰囲気と、自然に淘汰され朽ちていく建物の荒廃的な雰囲気が混ざり合い、非常に不気味であったからであるが、今日は何者かがランタンの光に照らされ影となって微かに動いていた。


「イグナ、本当に俺はどうにかなるのか?」


 廃屋に向かって歩いていく老人はしわがれた声で話しながら、年齢を感じさせないほどの速度で、先に歩くイグナに付いていく。


「チャンゴ、もう変身は解いて良いよ。その声だと、なんかやりにくいよ」


 あっ、という顔をしてチャンゴは自身の後頭部を左手でパンと叩き『リヴァン!』と言うと変身を解いた。どうやら、本気で変身していたことを忘れていたらしい。


「どうにかなるかは、君次第だけど、この十日間無事でいられたことが既にどうにかなってるんじゃない? 違う?」

「ま、まあ、確かにな」


 あの後、イグナはチャンゴに十日後この廃屋に来るように指示をした。しかし、既に軍が孤児院に張り付いている状況でどう十日間過ごすのか、という目の前の問題から解決せねばならなかった。チャンゴからすれば、話を突然打ち切られた挙句に何故十日後なのか、など疑問はあったが、それよりも先にイグナが道を示した。


「実はね、ナサリオに住むバンズ爺さんが、昨日行方不明になってるみたいなんだ。だからバンズさんに変身すれば十日くらいバレないはずだよ」


 ナサリオのバンズと言えば、ナサリオの子供たちの間ではちょっとした有名人である。ナサリオの町の中で自作の紙芝居を披露したり、玉乗りをしたり、飴玉を売ったりと、スルト国内特有の殺伐とした雰囲気のちょっとした清涼剤として、町の人々に認知されていた。


「いやいや、居なくなったって言っても昨日のことだろ? 爺さんがいつ帰ってくるか分からないのに、家に住むなんて無理だろ」


 しかし、イグナはハッキリと「戻ってこないから大丈夫」と言った。


 ますますチャンゴは混乱したが、そんなこんなしているうちに軍に捕まってしまえば、話は終わってしまう。しぶしぶながらも、イグナの言う通りにすることにした。夜寝るときに魔法が解けて、それを軍の人間に目撃されてしまわないか不安であったが、三日もすると軍の人間が徐々に減り始め、それと並行してチャンゴに平穏が訪れていった。

 これは、イグナが様々なところでチャンゴという少年を火口で見ただとか、ミクマリノ行きの馬車に乗っているとこを見ただとか、そういった情報操作の賜物であったが、チャンゴにはそれを知る由はなかった。


 イグナは廃屋の中へと入っていく。チャンゴはそれに付いていくが、中から二人の人影が見えるとチャンゴは警戒し、イグナの背後からその影を注視した。


「イグナ、今日は遅かったな。まもなくいらっしゃるぞ。おや、後ろの子は?」

「ホーキンスさん、彼は僕の友人でありパートナーのチャンゴです。信頼できる人間なので、是非紹介したく連れてきました」


 二つの影はホーキンスとクラウディアであった。チャンゴは状況が掴めない。


「ちょっと、イグナ、どういうことだ?」


「君を自由にする方法。それはね、法外の存在、マグナ・ディメントに入会することさ」


 チャンゴは絶句した。マグナという存在にではなく、自分と対して年齢の違わない子供からマグナに誘われたことに対してだ。


「ホーキンスさんの本部行きが決まってね、僕もそれに付いていくことに決めたんだ。これからいくつもの拠点を回って、最終的にはシーナの本部へと行く。決して楽しいことばかりじゃないけど……」

「はぁ……そこまで話されたら、既に断る権利なんて無いじゃないか。あれほど強制されるのが嫌だと話した後で、また強制かよ。この話を聞いた以上、これを断ったら俺は口を封じられるんだろう?行くよ」

「チャンゴ、マグナはそんな小さなことをする組織じゃない。マグナとしては、知られても構わないんだ。別に隠していない。仮に、このままチャンゴが逃げ出して、軍を率いて戻ってきたとしても、それに対処すればいいだけだからね。もしかすると、その戦闘で新たな発見があるのかも」


 この会話を聞いたホーキンスはうんうんと頷いている。そんな様子のホーキンスにクラウディアは寄り添いにこやかな表情を見せた。ホーキンスは元よりマグナの研究員であったが、この度の火山岩におけるルーン付与の効率化の研究が認められ本部入りが確定した。

 これは、イグナがここに訪れてから火山岩の採取量が増えたことと、イグナの採取してくる火山岩の質が異様に高かったことが、この成果を生み出していた。イグナは、ただでさえ重労働である火山岩の採集に加え、それを選別してから運び出していた。イグナはこの研究所に来てからの一年間で、異常なまでの魔力検知を身に着け、それがホーキンスの評価に直結し、それを理解しているホーキンスはイグナを連れ子として同行させることを決めていた。


「負けたよ、何から何まで。ただ、ホーキンスさん。これだけは言いたい。俺は、マグナなんちゃらの意思だとかは正直興味が無い。単純に、このイグナの行く末が見たい! と、今思っちまったことが、入会の理由だ。助けてもらう立場でこんなことを言うのは失礼だけど、何事にも理由は必要だから言っておくぞ!」

 チャンゴは何故か胸を張って宣言をした。ホーキンスにはこの覚悟のような宣言は、まったくもって意味が分からなかったが、真面目な顔をして聞いた。まあ、何か才能があるのならマグナの研究に使えるし、才能が無くとも車輪運動には使えるだろうと踏んでいた。


 こうして、イグナは一年間お世話になったホーキンス研究所を後にする。


 ここから約半年をかけてマグナの息がかかった行商人と共にラミッツの遺跡を渡り歩いた。途中ラミッツの支部でクラウディアは無事出産を済ませると、クラウディアは体調不良からそのまま支部で療養することとなり、ここで別れた。


 スルトからラミッツ、ラミッツからシーナへと、二つの国境を越え一行はシーナの町、ゾマへとたどり着いた。

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