通信と放送の統合 n.0
光インターネットの必要性、少なくとも10Gbpsなどの帯域幅が必要なサービスがどうしても思いつかない。大量のファイルをアップロードし続けるような状況も現実的ではないし、自宅から動画配信する場合でももっと狭い帯域幅で十分。自宅で多チャンネルのテレビ局を運営するとかでなければ光インターネットは充分条件を満たすけど必要条件じゃないよねえ。
ということで、この思考実験は終わり。
「通信と放送の統合」というキーワードが語られたのは何時のことだったろう。前に言われたのはCS衛星を使った放送サービス(現在の「スカパー!」)開始の際だっただろうか。現在ではインターネット上のIP放送絡みで語られているようだ。
テレビ放送を家で観る事自体は誰でもそう困らずに行える。設置は購入した店がやってくれるので、テレビの電源を入れればリアルタイムで放送されているものなら観ることができる。これが録画されている番組を、ということであればハードディスク内蔵テレビであればまず困らない。ハードディスク外付け、とか昔ながらのビデオ再生機から、となると適切な配線がされていることが条件になろう(ここで出来ない人が一定数出てくる)。最近流行のチューナーレステレビだとネット接続がされていればアマプラやNetflixあたりならそんなに困らない筈。
これが他のテレビで撮った番組を観たい、スマホで持ち出して観たい、などとなると途端に難易度が上がる。自宅内であればDLNA対応機器であれば観れる筈だが、インターネット回線の変更やWi-Fiルーターの変更などで一旦躓くとマニアさんでも手に負えなくなることもしばしばある。外出先で自宅のNASサーバに溜めてある映画を観たい、なんて気軽に言われた日には、たとえ親兄弟でも縁を切りたくなるね。
自宅じゃなくインターネット上のサーバに録画されて、それを自宅のチューナーレステレビや外出先のスマホで観るサービスがあれば一番手間がかからない。地上波番組自体がリアルタイムIP放送になれば家にテレビアンテナが要らなくなる。ネット上のサーバに番組録画の指示を出して長期に保存するも良し、地上波全番組がTVerなどに登録されていれば録画を意識することもない。
テレビにこのような統合サービスは現在存在しない(裏でやっているところはあるとも聞くが)。しかしラジオならば、radikoが近いサービスを行っている。地デジテレビ版のradikoがあったら、有料でも利用したい。またこれで地上波デジタル放送がIP放送に移行できれば、携帯電話に充てられるプラチナバンドを広く開けることができる。今のところ地上波テレビ放送をIP放送に転換したのは放送大学だけだが(BSは残っている)、放送電波を送り出すコストよりもIPに転換するコストの方が安いと気づけば、民放でも移行する局が出てくるかも知れない(IPアドレスを見て放送所単位より狭いエリアを狙ったCM送出が可能となる)。またNHKだって受信料と業務範囲の見直しが適切に進めば、紅白や高校野球中継、朝の連続テレビ小説、大河ドラマなどは有料のIP放送へ切り出し、受信料は本来のユニバーサルサービス料として低額に抑えることができる。
フジテレビが放送したタイタニックを録画するよう指示を出しておいて、そのままCM付きで観てもよし、差額を払えば4K版やセルDVD/Blueray版が観れる。こんな世界がやろうと思えば日本でも出来るのだから。通信と放送の統合x.0(xは2か3か4か)。