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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

短編台本シリーズ

天使の飼育

作者: バケツから声
掲載日:2023/05/01


人間みたいな生き物を預かった。

可愛いんだよ、手足は無いけど大きな翼がある。

上司は、だるま天使って言ってたな。

喋る言葉は「あー」とか「うー」、時々震えて泣いて、ゲロる。

片付けは大変だけど、多分、俺がどうにかできることじゃない。

俺は彼女のボサボサの髪をとく。

さっき泣いてゲロったから、洗って乾かしたところだ。

「君の信者は君を探すのに血眼だったよ、君を攫った俺たちをすごく憎んでた」

綺麗な髪だ、陽の光を浴びてキラキラする。

「天使なんて、居ても居なくても変わらないのにね」

俺の言葉に彼女は首を傾げる。

俺の言葉は、彼女には難しいらしい。

信者がだるまにしてまで救いを求めた生き物は、翼が生えただけの隣人だ。

「悲しいね」

俺がそう言うと、彼女はやっぱり首を傾げた。

「俺そろそろ仕事行くよ」

帰りは何時になるかな、それまでにまた目を腫らしてないといいけど。

立ち上がろうとして、俺は動作を止める。

「・・・器用だね」


彼女の翼の先っぽが俺の手首を柔く握っていた。

振り払うのは簡単だけど、また泣いてしまうかもしれない。

「どうしたの?」

言葉が通じないことはわかってるけど、一応聞いてみる。

すると彼女は俺の手首を離して、次はその大きな翼でふわりと俺を包んだ。

正直、少し警戒して身構えてしまった。

「・・・なに?」

ハグ、だろうか。

ふわふわしてて、あったかい。

慣れないし、少し不快だけど、なんだろ。

「さっき、天使なんて居ても居なくても一緒だって言ったけどさ」

俺は無抵抗のまま、続ける。

「俺が死ぬ時、君が居てくれたらいいなって、君をはじめて見た時に思ったんだ」

多分、言っても伝わらないんだけど。

俺も、殺した信者たちに似た感情を彼女に持っているのかもしれない。


気持ち悪いな。


あったかくて、気持ち悪い。


そのまま気を失うように寝た俺は、数時間後上司にひどく叱られた。

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