5·誰の物語でもない……
その時期、この期間だけ。
誰がためのサンタクロースは
けして、ひとりだけ……じゃない。
10月01日から~翌年の01月03日……。
三ヶ日まで期間限定社員として働くサンタクロースもいるのだ。
そのサンタクロースの名前は
カリオス·サンタンジェロ。
ーー
「真っ赤なおっ鼻の~♪トナカイさっんっは~♪」
か、トナカイさんは……鼻炎なんだよ。
コルゲンのませよか。
「いっつも♪みっんっなっの~♪
笑~らぁい~もの~~♪♪」
それは違う……
トナカイさん[田中·いな]さんね、本名。
でも……トナカイさんで良いか!
トナカイさんねぇ~芸人、コント?
漫才師希望だったんだって。
それで……笑いを提供してたんよ。
でも
でも、なんの審査にも通らずに……
今でもきっと諦めてない……カッコいいね。
「サンタさん、荷物全部積み終わったよ」
ん!トナカイさん
「おお!ありがとう!」
ありがとう
「でも、ハーレー(バイク)にリアカー牽引して……本当に行くの?サンタさん……」
トナカイ、君もか……。いいだろ
いいだろ別に……。
「いいだろ別に
サンタがハーレーに乗ったらダメだって誰が決めた?」
そう、誰が決めた……。
「いゃぁ~でも、その服は……赤の特攻服って」
超欄、ふく……。
服もか?
「いいじゃねぇか」
いいじゃねぇか、赤の特ぷく……。
「解ったよ。いいよ、それで」。
良かった。本当にトナカイさん、良かった。
今年のクリスマスは、真っ赤なハーレーダビットソンに又がったサンタさんが、クリスマス仕様に改造したリアカー引っ張って、それにトナカイさん乗せて……
曇り?空を飛び駆け回る!!
それから、それから目線は……目線は代わる。
ーー
ホワイトクリスマス……
こんな日に、雪なんて降るんじゃねぇよ……
しかも初雪……
先輩、高橋先輩から言われた。すぐに。
どこかの、国の北の方にある、とある港町。
その町のガソリンスタンドで働く若い男の子は……
そう、そう嘆いてた……。
その年の、どの年の?
いつもの年のいつものその日。
初雪……雪が降る日はいつもそんな感じだ。
時間はもう夜の8時を回っていた。
たくよぉ(まったく)
自分のタイヤ交換くらい自分でヤれやっ!!
そう
そう、北国の初雪の日はガススタ曰く、それ系列のお店では客のタイヤ交換ラッシュに湧く。湧く。
それに輪をかけての洗車、目も当てられない……
タイヤの[履き替え]
(ホイールからタイヤゴムを取り換える)
なら解るんがなぁ~……
それ以外の事くらいなら……
素人でも出来るんだろ。
そうボヤきつつも、男の子は作業の手を止めない……。
タイヤ、洗車、タイヤ洗車、タイヤ、洗車……
いつ終わろうとも先(終わり)が見えない?
実は毎年の事なので先(終わり)は予想の範疇にある。
ある、あるのだが……
「だっはっー!!どうして女ってのは(呆れ)」
(何故に男の子は呆れてる??)
男の子が嘆いた理由、それは、それは……
女性の乗る車輌は綺麗だ、キレイなのだが……
がっ!外見だけは……。
細部が物凄く汚いっ!!
小物やら[ファー(モコモコ)]やらヤタラ置く代わりにその……。
ミゾ、溝の方に物凄く埃わら菓子の食べかすやらが溜まってる。
つまり、あまり見えない所が汚いのだっ!!
オマケにこの匂いっ!!オマケに匂いが!
芳香剤や身につける香水に、+しての女性特有の、なんというか……がだ。
冬の洗車はガススタ·スタッフにとってはキツい作業のひとつだろう。
皹が止まない、やまない……。
そんなこんなで時間はもう夜中12時を回っていた。
そしてしばらく……
ーー
トナカイさんは見ていた。
「サンタさん、あの子(男の子)大変そうですね」
どこか?彼方から見ていたトナカイさん達。
「そうじゃのう……」
「どうします?これ……」
んんん?これ?…….
どうしようかのう?
少年達なら、もう既に騒ぎ疲れて眠るころ……なんじゃが
あの男の子は……成人したばかりじゃな。
それにしても……働き過ぎじゃ。
ー
ん?なんじゃ?女の子?あのガススタに?
そうか客か。
しかし、この時間帯にタイヤ交換した車を引き取りにくるとは、なんとも律儀というか何というか。
ん!!
そうだ!!
あの女の子に[これ]渡してもらうか!
◆♡
「え!?あれ?……お客さんっ!」
スタンド店員の男の子は思い……言葉を出す。
「あ~やっぱり、去年がそうでしたからっ!」
可愛らいし女性客はそう……こたえ。
男の子がそれを覚えていないのは仕方ない事で
その、女の子のお客さんは去年のこの日、初雪タイヤラッシュの事を覚えていたのでして。
「どうして??お客さん?こんな時間に?」
「引き受けの時、終了予定時間伝えていませんでしたか?それは……すみません」
そう本当に申し訳なく男の子店員は……。
夜中の1時をもう……悪いことさせちゃったなぁ~
心底その男の子は……。
真夜中にガススタまで来てくれた女の子に、そう思い
「いえっ!そうじゃなくて……その、お礼を言いたくて、その……去年の分も含めて。それと[これ]」
女の子の[これ]
男の子は[これ]を??
ん?お礼?と男の子はそう思い……
なんだろう[あれ]?
ーー
人間とは違う……
サンタさんとトナカイさんが、女の子に託した[これ]とは?
それを[これ]と、女の子から言われて、受け取った男の子……。
聖なる夜の[そんな♡]のお話し。
サンタさんが女の子に託した[それ]
読んでる緒方におまかせします。