会談
「建国記念パレード?」
「はい」
副官であるツバキさんから出たその言葉は、初めて聞くイベントだった。
Marv4の時に、そんな行事はなかった。
「それが明後日に迫っているけど、この状況下では中止にすべきと議会が言ってる…」
「左様です」
「うん、それでいいと思う。議会の方にまた連絡しておいてもらえますか?」
速攻で議会の判断を了承し、コクっと頭を一度下げて敬礼すると。
部屋からツバキさんが出て行く。
ふぅ…と一度息を整え、執務室のソファに腰掛ける。
ジリリリリリリッ!!!!!
執務室に鳴り響くその音に少し苛立ちを覚えたが、休み暇などなかった
「休ませてぇ!」
そう言いながら受話器を取る
「司令!大変であります!」
その一言だけで、ーさらに面倒なことが発生したのだと、悟った
「ど、どうした?」
ゴクっと唾を飲み、耳に意識を集中させる
「北方より逃げてきた耳の長い者達のトップが、同志司令官に直接お会いしたいと申しております!」
トップが階段を申し込んできたのか…
それに俺はすぐに返事は出さなかった。この世界に来て初めて自分たち以外の
知的生物との接触。
罠の可能性も十分考えられたからだ。
といっても、やはりこの世界の現状を知ることは必要不可欠で、情報収集は出来るだけ穏便にしたいという思いもあった。
「そのお相手には、喜んで会おうと言っておいてくれ」
受話器をゆっくりとおろす、少々不確定な要素もあるが。行動は早い方がいいと元の世界では教わった。
早速、身だしなみを整え、服に勲章をつけて執務室から出た
扉を開けた先には護衛と国防長官のジューコフがいた。
「同志将軍、どうお思いですか?エル…耳の長い者たちの行動。罠でしょうか?」
護衛と共に長い廊下を歩く
「わかりません。どんな連中かも想像がつきません。まずは会って直接相手を見るのが一番です」
「全くその通りです」
ジューコフ長官と宮殿を出ると、そこには連邦の指導者たちが大勢集まっていた。
参謀委員長から内務人民委員長、外相やツバキさんの姿もあった。
制服と軍服に包まれた、老若男女の姿は圧巻だ
俺の存在に気づいた、全員が、引き締まった顔で俺を見た。
その目を向けられた時、自然と口が動き出した
「今回の会談では、できるだけこの世界の状況を得ることに集中して欲しい。無論彼らが我らを利用するなら、我々も彼らを利用しよう。友好的な者たちであれば、この異世界で最初の同盟が生まれるかもしれない。皆連邦のために尽力を尽くしてくれ」
俺のことが終わると同時に軍人は敬礼を、政治家はコクリと頷いた。
今回のエルフたちとの会談場所には西方にある、マタリア共和国内にある。ヴェネステラ宮殿での歓迎パーティ兼密会場になった。
ここは首都以外で唯一城壁に守られている場所で、まだ移動前の西方軍が滞在しており、なおかつ現時点では一番安全な場所だと言える。
夜になる頃にはエルフ側の者達も集まって来て、賑やかになっていった。
だがその裏で、俺と国防長官、外相、ツバキ副官、護衛の兵士2人とエルフの長である。ダーウェンという男と、その護衛の男女が一人ずついた。
「この度はこれほど素晴らしい歓迎を頂き、ありがとうございます」
非常に礼儀正しくそう申し上げた男は、我々が聞くよりも先に述べた
「申し訳ないのですが、すぐに本題に入らせてください」
一瞬で鋼鉄のような目が俺たちに向けられた、それは生命体が持てる最大限の情が宿った目だった
「現在我々は魔獣と呼ばれる未知の生物との戦争下にあります…」
来た!と言わんばかりに全員が目を見開く
「奴らは三ヶ月ほど前に突然空から現れ、私たちの同胞を殺害し、連れ去っていきました」
「魔獣とは一体?」
俺がそう聞くと国防長官がそれを止めた
「司令官、まずはダーウェン殿の話をすべて聞きましょう」
「わかりました」
「…魔獣たちは他の人間の国にも襲撃をかけ、全世界が相手をしている状況です」
全世界!?それに人間の国って………俺たち以外の人間がいるのか……
喜びと少しの不安が俺を襲った
「奴らはここよりさらに、さらに北の大陸から降りた悪魔です」
「ですのでどうか、お力を貸して欲しい。これは全生命の戦いなのです!!!」
必死に助けを求めるエルフの長に、俺はただ圧倒されるだけだった




