接触
『保護した者たちは耳が長く…』
耳の長い種族?Marv4の時にはそんなものいなかった。いるのはごく普通の人間だけだ。
やはりここは俺の知っている世界ではないと改めて感じ、すぐさま対応案を出した。
「その方々も同じ国民のように丁重に保護するよう連絡しておいてください。各方面の司令官達にも同じように伝達を頼みます」
「了解!」
敬礼とともにまたすぐにその士官は走っていった。
全く落ち着けやしない、すぐに次から次へと問題が来るのはそう楽ではない。
「これが最高司令官の仕事か…凄まじいな…」
俺がそう呟くと、側にいたツバキさんはすぐさま声をかけてきた。
「いかがなさいましたか?同志司令官」
「い、いや。なんでもないです。なんでも…」
ーーー北方方面では、対空機銃や戦闘機が敵の物体に対しとても有効であると
証明され、工業地帯は一斉に兵器開発に力を入れ。道路には兵器を乗せた車両
がいくつも目に見えるようになった。
「同志司令官、こちらが我が軍に保護された方々の写真です」
車の中でそう言って見せられた写真には報告通りの耳の長い人種が映っていた。
「エ、エルフだ…」
つい口からそうこぼれた言葉に向かい側に座っているツバキさんは首をかしげた。
「この方々をご存知なのですか?」
「いえ、似たようなのを見たことがあるだけでして」
「現在調査隊が彼らの元に向かっていますので、これは現地にいる者達に任せるのが一番でしょう」
ありがとうとツバキさんに一言感謝を言い、窓の外を見る。
同じように反対車線から通る車を見て、ふと思いついた
石油の油田は残ったままなのか…?
もし仮に国家ごと転移したとしても、油田や鉱山なども一緒に来るのか?
資源の枯渇がどれほど国家に影響を与えるかは、どんな人でもわかるだろう
元の世界の歴史も資源の奪い合いやそれを手に収めた奴らが、力をつけたのは
当然の結果であり、国土の次に重要なものである。
幸い、連邦最大の油田は南方にあるベルダニア共和国にあり、連邦最大の鉱山も南方だ
今現在の危機は少ないとは思うが、石油は取れるのだろうか?
「ツバキさん」
俺の口調が真剣な様子になったと悟ったのかツバキさんの目も力強くなった。
「は」
「ベルダニアの油田は今現在も石油を産出できているのか、ジベニスタンの鉱山は健在かの安否を取りたいです。南方司令部にそう言ってもらってもよろしいですか?」
「承知いたしました」
そう会話を済ませた瞬間に車が停車し、ドアが開かれた
「同志司令官、最高司令部に到着いたしました」
まだ、やることが山のようにあることを実感し、止まることなどできないと心
が理解した。