要求
短いです
話によると盗賊達はアジトの下に住み着いた蟲の処理に困っているらしい。
「そんなにデカくはねぇんだがなにせ数が多くて殻が硬い。どんなにメシを隠しても気づいたら食われちまってんだ。」
書斎の反対側からこちらを見定めるようにして見てくる。大男と書斎というのはこうも似合わないものなのか。
「オレは盗賊だが詐欺師じゃねぇ。なんとかしてくれたら義理は果たすぜ。」
「一つ聞いてもいいですか?」
「なんだ。」
「どうして僕みたいな子供に頼むのですか。」
頭領は少しキョトンとした顔になる。それから少し考えたあと。
「駄目でもともとだからだ。そろそろ引っ越そうと思ってたんだ。それが早いかそうじゃないかの違いしかねぇ。
お前じゃなくても良かったが、お前じゃ駄目な理由もねぇ。」
それから頭領は付け加えるように、
「アジトの場所を知ったんだ。失敗したらもちろん死んでもらうぜ。」
なんでも無いかのように言い放った。
「どうなんダぁー?出来そうかカぁー?」
開口一番に男は言う。
「わかりません。蟲を見てみないことには。」
それから男は不思議そうな顔をして。
「なんでオメぇはそんなに強気なんダぁー?盗賊に攫われるのは初めてじゃねぇのカぁー?」
舐められたら行けない気がするので気丈に振る舞ってはいるが、それとは別に理由もある。
「人間ならもっと恐ろしい人々から、それ以外ならもっと強い生き物から、それぞれ逃げてきたせいかもしれません。」
男はニヤニヤと嬉そうに笑いながら。
「そうだよナぁー。いるよナぁー?大砂海には盗賊なんかよりもヤバいやつらがうようよいるよナぁー?」
「…」
「オレぁウチジクってんダぁーよろしくナぁー?リカルドクンー?」