二つ
「降ろしてくれ。リカルド。」
「……嫌です。」
「私は!私があそこに行く意味が無いことを理解している!!!しかし、国を焼きにいく連中を黙って見過ごせるほど薄情では無いのだ!!!!」
「僕だって!!無駄死にを見過ごせるほど薄情じゃないですよ!!!」
「無駄死にじゃない!なりふり構わなければゲーの一匹や二匹ぐらい落とせる!」
「ラストレンさんならこの船から飛び降りてもなんら問題ない筈だ!それをしないのは!止めて欲しいからじゃ無いんですか!」
「……」
「僕に!蝉に会いに行こうって言ってくれたじゃないですか!」
「……すまない。私は私の国が好きなのだ。」
そう言ってラストレンさんは船を飛び降りた。今まで見たことの無い、決起迫る瞳だった。反動で船の後方が少し持ち上がった。
「まって!リカルド!止めて!」
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砂よけの外套は直射日光からも肌を守っていた。それを先程脱いだ僕の腕がどんどん熱を持っていく。ここから先は、時間と、誇りと、夢と、技術と、僕一人だけの、勝負になる。
軽くなった船の荷台に尾翼を取り付けて、さらなる加速をする。正直この速度になると目で見てから操作するのでは間に合わない。地平線までなどあっという間だからだ。この先必要ない船の外装を全て引っ剥がしながらの操作だ。水も食料も全て置いてきた。もういらないからだ。
風が運ぶ砂粒よりも、僕は、疾い。
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「私の我儘に付き合ってもらって済まない。」
「いいんです。存分に暴れてください。」
ラストレンさんは傍目に見ても異常なほどの熱を帯びている。この砂漠の真ん中で、蒸気を感じさせるのだ。
「すまないついでに一つ私の秘密を教えよう。」
なんだか私ばかりラストレンさんの秘密を聞いて悪い気がする。聞いてばかりなのもずるいし、リカルドが知らないのもずるい。
「オスク隊長殿が言っていた『白姫』というのは嘘なんだ。気を使ってくれていたのだろうな。」
逆に考えれば『実質教会の王』の方は本当という事になる。ろくでもなさすぎる呼ばれ方だ。
「本当は『灰姫』だ。」
そ言うとラストレンさんは持っていた大きな松明を体に摩り下ろし、火を付けた。
「下がっていろ。焼いて死なないやつは居ない。」




