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逆ならよかったのに

 朝からハプニングがあったが目覚めはすっきりである。

 驚きすぎて目が覚めたせいなのだが、ともかくとして眠気は残っていない。

 ガクブルでサシャに一線を越えていなかったか聞くが、真っ赤な顔をして頷かれたのみである。

 どっちだ。この反応はどっちなんだ。

『一応答えておきますが、何もありませんでした』

 アイは夜中起きていたのか?

『いくつか実験をしました。それは後で報告をするとして、まずは朝食を食べませんか?』

 知らない間に実験とか何か嫌な予感がするが、まあいい。

 アイのなんでもアリぶりというのは短い時間しか一緒にいないが散々目の当たりにしたのだ。もはや驚くまい。

 ユーマは思考を切り替えて朝食を食べるべくベッドから這い出る。服が見当たらない。どこへいったのやら。

『そういえば先ほどの映像は保存済みですのでいつでもご覧になれますよ?』

 先ほどのというのは起き抜けのサシャの姿のことか。

 思い出して顔が赤くなるが即座にそれを打ち消す。

 だがその努力はアイが一蹴した。

『これですね』

 脳裏に再生されたのは、一糸まとわぬ姿のサシャが恥ずかしそうにシーツを胸元へ手繰り寄せる姿である。

 上目づかいがさらにポイントである。

 すごく良い。じゃなくて、お前なあ!

『血流の集中を確認。なお朝の生理現象も確認しておりますので、男性機能の異常はないとみていいでしょう。というよりも強すぎる可能性のほうがありますが』

 ぐっ。なんかこの健康管理は嫌だな。というか強すぎるってなんなんだよ。

『十二、三の少女におったてる事実に対する見解ですがなにか? 強すぎないのでしたらマスターはいわゆるロリコンという種類の人種だという疑惑が出てまいりますね』

「ロリコンちゃうわ!」

 魂の叫びであった。

 そのせいで『まあ女性経験のなさからくるものでしょうが』というアイの言葉はユーマには届かなかった。

「なんだ! ユーマどうし……」

 扉を勢いよくあけて入ってきたサシャが一瞬で凍り付いた。

 みるみるゆでだこ状態となったサシャの視線は全裸のユーマの一部分へと向けられている。

『最大硬度を確認。露出の気もありましたか。マスターの隙のない守備範囲に感服する次第です』

 ユーマはゆっくりと、亀のごとき速度で座り込む。もはや何から手をつけてよいのか理解できなかったのである。ただ、手はサシャの視線から守るように伸びるが、男としてはうれしいやら悲しいやら最大硬度のソレは隠しきれていなかったが。

「違うわ!」

 二度目の魂の叫びであった。


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