のらりくらりな転生者は歯牙にもかけない
R15は保険です<(_ _)>よろしくお願いします。
開花したマナ草から米粒ほどの花の蕾を丁寧に採取していく。慎重に、潰れないように。
マナ草は雑草だ。市井ならそこらじゅうに生えている。庭や畑でも草むしりの対象だ。太い根はどんな土にも適応し、世界中に生息域を伸ばしている。
薄い白色の蕾が100個ほど採取できた。
これを乾燥させ、すり鉢で粉にする。
その粉を薄い布で包み、煮沸した塩水にひたしてエキスを絞る。薄ピンクの液体ができた。
「パールシー・リフィール公爵令嬢」
呼ばれても返事はしない。教授寮であり各個人の研究室があるこの旧校舎に入室できる者など限られている。それでも返事はしない。これは私が長年かけて作り上げたパールシーの常識。
「作業が落ち着いたとみて声をかけたんだが」
足音が近付いてきた。ならばと次の工程、マナ草のエキスと相性の良い魔力を調べる。
【火】【水】【雷】【風】【光】この順に魔力玉を出していく。はっきりとした色が出るまで濃厚に。そこで近付いてくる足音がぴたりと止まった。よし。
声をかけられない状況を作れないなら、声をかけるのを忘れてしまう状況を作ればいい。
魔力玉とは薄い膜に覆われた、運べる魔力のことだ。通常かなりの魔力持ちでも魔法の行使でしか魔力を体外に出すことが出来ない。攻撃魔法然り、治癒魔法然り、明確な目的がなければ魔力を外に出せないのだ。
魔力玉を作った私は例外。目的もなく魔力を取り出す、それを運ぶという概念を作ったのも私。しかもこの玉、食べれるのだ。ちなみに腹は満たされない。魔力が回復するだけだ。
「ほう……それが魔力玉か」
あまり話し掛けないでというか、そんなに顔を近付けないでほしい。というかいつの間にそんな目前に。しかしそれは言わない。これはお前になど眼中はないのだと示す無言の意思表示でもある。
5つの玉に一滴ずつマナ草のエキスを落としていく。相性が良いのは【水】の魔力。エキスと混ざりあってマナ草の花の香りが漂う。
【火】【風】【雷】は混ざったものの相殺。【光】は弾かれた。
相性のよかった【水】の濃厚な魔力玉を一気に10個出す。ぎょっとした声が横から響いた。
先程と同じようにエキスを垂らす。すぐに香りが立つ。混ざったようだ。
ふわふわと浮く11個の魔力玉を手に、開けておいた窓に向かう。
1階を見下ろすと、待っていましたとばかりに学生達が手をあげて騒ぎだす。
「お久しぶりでございますパールシー様!伯爵家のアントンでございます!私に、私めに、どうか!」
「今日こそはシバル、私に!ってどけよガトフル家!横入りするな!」
「いえ私に、私をお使い下さいまし!このセシル、今回も命をもってパールシー様にお仕え致します!」
一際目立つ三人が名乗りを上げる。
何回か協力してくれた面子だ。
「リフィール様。ウイング子爵家子息、カインと申します。属性は【水】、先月の騎士試験にも受かり身心共々頑丈でございます。是非お使いいただければと」
水か。調度いい。
魔力玉を1つ、その人物目掛けて高速で投げ捨てる。よろけたものの受け取ったようだ。
「ならばカイン、お上がりなさい」
そう言って眼鏡を外し、前髪をかきあげる。
雄叫び、狂声、悲鳴、歓声、もう訳がわからない声が混ざりあう────私が転生したパールシー・リフィール公爵令嬢は、絶世の美女なのだ。
ドタバタと荒々しい足音が近付いてくる。
研究室のドアはいつも開けたままにしている。無頓着を印象づけるためだ。しばしの間をおいて、息の上がった声でカインが言った。
「はじめましてリフィール様。カインでございます」
騎士に相応しい体格とは裏腹に幼い目元と上擦った声が可愛い、私好みの男の子だった。しかも犬顔だ。物凄く可愛い。大事そうに両手で胸に抱えた魔力玉は特別に差し上げよう。
自慢じゃないがこの魔力玉は、最低でも1つで金貨1枚の値がつけられている。
「今回の拘束時間は2時間。10分毎にこの魔力玉を食べてもらいます。過剰摂取により魔力過多を引き起こしてもらうのが目的です。治療に20分。よろしいかしら?」
「は、はい!……あの」
「うん?」
カインが顔をひきつらせながら気にする人物に今日はじめて顔を向ける。
「イーグル王太子殿下。ごきげんよう」
「……ああ」
カインを椅子に座らせ、机に時計を置く。
先ずは1つ目を食べてもらった。
その後10分毎に食べるよう、気分が悪くなった時点で止めるよう指示する。
「お昼時にごめんなさいね。空腹時じゃないと正確なデータがとれないの」
「いえ、私は大丈夫です!」
緊張しつつも、物珍しげに辺りを見渡すカイン。
「この研究室は初めてよね?ここは特別に炊事場もつけてもらってるの」
研究室の隅にあるピンク色のレンガで作られた調理台と流し台。壁も耐火材だ。
「はい。確か食堂に行く時間を浮かせる為だとお聞きしています。リフィール様は勤勉なのですね」
「パールシーでいいわ。研究に協力してくれた人は、みんな私のお友達よ」
アントン、セシル、ガトフル、シバル。他にも大勢。もう何度も助けられた。研究のことだけじゃない。彼等に居てもらわないと私が困るのだ。
さてと。戸棚を開けて白球根、赤根、緑菜を取り出す。前世の玉ねぎ、人参、ピーマンに似た香味野菜だ。
食材は鮮度を保つため全て薄い膜で覆っている。これは魔力玉を作るに欠かせない膜を利用したもの。私が作りだした、劣化を防ぐ保存膜なのだ。
「あ、の……パールシー様?それは、」
「ああ、これは研究とは関係ないの。今からシチューを拵えるから。カインも食べるでしょ?」
「ええっ!?」
「だってお昼食べるにしても2時間後だし、食堂も閉まってるわよ」
「……で、では。お願いします」
「フフ、いい子」
前髪ごと髪を1つにまとめ、エプロンを身につける。
今回使うのは赤身の多い白毛魔鹿と脂身の多い黒毛牙猪。それを一口だいに切り分けて熱を通す。
研究室という名目なので調理器具はもちろん、調味料もない。実は料理苦手なのだ。不便な世界だからこそ全て魔法による調理を施す。
保存膜は形をかえればフライパンやお皿の代わりになる。
火で炒めた野菜と肉。三角牛の血液と塩漬けしてふやけた豆、香鳥のレバー、そこに赤ワインをくわえてじっくりコトコト煮込む。
カインは調理過程を眺めながらも10分おきに
魔力玉を食べるのを忘れない。いい子。
付け合わせは何にしようか。
水芋を紅山羊のミルクで解して、あとは────それにしても視線が気になる……。
「王太子殿下。よかったら召し上がりますか?」
いつの間にかカインの横に座り頬杖をつく王太子に目を向ける。暇そうだ。食べるかどうか解らないが、どちらにせよお帰り頂きたい。
「いや、いい。そのシチューはカインの解毒薬なのだろう?」
「……よくわかりましたね」
「過剰な魔力を中和する三角牛の血液、内蔵の負荷を抑える香鳥の肝臓、自然治癒力を促す光塩と代謝を上げる力大豆の組合せ──付け合わせは水分の多い野菜と胃に優しいミルクなんかがお薦めだな」
「そうですね」
なんでお前がそれを知っているんだ。とは言わない。欠片も出さない。
水芋と紅山羊ミルクはやめて、胃腸薬に使う百黄卵でオムレツを作ろう。
「ご馳走様でした!」
「綺麗に食べたわね」
ペコリと頭を下げたカインのサラサラ髪を撫でる。猫ッ毛だ。犬顔のくせに。可愛い。
「あ、あの、食べ終えたら昨日の訓練で痛めた肩と手首も全快していてっ……いま凄く体調がいいです。それにとても美味しくて……あ、ありがとうございました!」
顔を上げたカインの頬を撫でる。つるつるだ。やはり百黄卵は薬にもなるが栄養も満点だ。
「そう。こちらこそ協力してくれて感謝するわ。何事も無くてよかった。カインは丈夫ね。またお願いしたいわ」
出口まで送りながら真っ赤になったカインに微笑む。将来は騎士か……いつか私が断罪されそうになったら助けてもらおう。
「はい!私でよければいつでもっ……パールシー様にこの身を捧げることを誓います!」
もう一度ペコリと頭を下げたカインの頭を撫でようとしたら、そこでドン!と拳が振り落とされた。私とカインの間に。
「そろそろ話がしたいんだが?」
カインは顔をひきつらせながらそそくさと去ってしまった。まぁいい。また来てくれるだろう。
王太子と向かい合う。あくまで形だけ。お前と真剣にお話する気はないんだよ、と内心どくづく。こちらを見つめる薄情そうな三日月色の眼がさらに細められた。アレだ、猫だ。野良猫。
「私なんかが王太子殿下の話し相手がつとまるか解りませんが、それでもよければ」
「パールシー嬢。私と婚約してほしい」
「私に言われても困ります。国王陛下とリフィール公爵閣下が決めることかと」
生粋の研究者肌であるお父様には伝えてある──私を王家に差し出したら今までの研究の成果を全て燃やすと。
果実タルトと肩凝り解し薬と眼精疲労改善薬で餌付けた国王陛下と王妃様にも伝えてある──王太子妃になるなら公務に全力集中するから二度と研究はしない、薬も作らない、治癒もしない、料理もしない、二度と、な。
各高位貴族にも伝えてある──『愛孫は元気か?王太子妃になったら往診しないのでよろしく』『若返りのオールインワン化粧水作る時間があるのは私が独身だからです』『この魔獣を弾く結界石は私が死んだら消えるから。そしたらスタンピードが起こるね』と。念入りに伝えてある。
「君は何故いつもそうなんだ?」
「と、いいますと?」
「お茶会に誘っても来ない。夜会もキャンセル。いや、それどころかデビュタントすらしていない」
「前回のお茶会は魔力玉作成の仕上げに入っていましたし。夜会の当日は辺境伯が両足欠損とお聞きして再生しに行ってましたの。あとデビュタントは隣国でしましたわ」
「私の誕生宴や登城要請は?」
「宴はすみません。友達のセシルのおばあ様がウイルス性の肺炎で苦しんでいたので治療にむかいましたの。登城もごめんなさい。陛下に『隣国の友好国で発生した疫病の治療薬が完成したから届けたい』と出国してから謝罪のお手紙を送りましたら、そのあと表彰状が届きました」
それは額縁に入れてきちんとこの研究室に飾ってある。数々のトロフィーや賞状に埋もれてはいるが。
「その隣国が開催したパーティーに参加したそうだな。ヨゼフ王太子にエスコートされファーストダンスを踊ったとか?」
「たまたまです」
魔炎草を採取しに隣国に行ったら急遽開催してくれた晩餐会か。魔炎草500株も用意してくれたのに参加しないのも悪くて、つい。
「ヨゼフ王太子に求婚され、返事は保留したものの文通を続けているとか?」
「ヨゼフ様は高位再生治癒の権威です。薬学と免疫学にもお詳しくて色々ご教授下さいますの」
彼は犬顔なのだ。しかも隣国は王家の紋章が肉球のスタンプそっくりなのだ。手紙が可愛いくて仕方ないのだ。国外追放されたら助けてもらおう。
しばしの間、のち溜め息を吐かれた。
「俺がこの学園を一撃で粉々にする力を持った筋肉馬鹿で聡明なヨゼフとは真逆だから受け入れてくれないのか?」
「イーグル王太子殿下は食材を見ただけでその効力が解る洞察力に優れた名君です。その腕力だけでも新たに国を築ける程でしょう。二人を比較するのが烏滸がましいですわ」
お前が三年生になったら編入してくるピンクブロンド魅了持ちの元平民に骨抜きにされるからだよ、とは言わない。おくびにも出さない。
「せめてこの研究室から出たらどうだ。授業にも出ず引き籠って楽しいのか?」
「学長いわく、国一番の天才に授業を受けさせるのが申し訳ないそうです。教師に質問なんてしたら悲鳴が上がる程で」
お前と同じクラスで隣の席なのはゲームの知識で知っている。近付く訳がない。
「入学してから一度も教室に入っていないだろう?授業を受ける前に行われる洗礼の場にもいなかった」
「入学式には入りましたよ。全生徒が去った教室で最高位神官とお茶会をしましたの」
魔獣を遠ざける聖水ですらかなりの時間を要して祈りを捧げる神官。最上級の聖光水には及ばないが、真水に浸すだけで聖水にかえる聖石を予め作っておいたので100個あげたら咽び泣いて喜んでいたなぁ。良いことしたわ。修道院ルートになったら助けてもらおう。
「数々の免除やこの研究室を維持するにも研究者としてだけじゃなく生徒として学力も必要であろう?」
「試験は毎回きちんと受けていますよ」
試験官三人に囲まれた学長室でな。わざわざお前がいる教室には行かない。
「試験結果に毎回名前は無いようだが?」
「確か上位10名は広堂に貼り出されているみたいですね。今回も各教師の殿堂入りのサインを頂きましたので、合格ラインということでしょう」
首席女子は生徒会長の補佐にされるからね。おまけに毎年学園主催の年越しパーティーでは首席女子が女子代表として会長とコンビを組まされることもゲームの知識で知っている。試験結果がどうであれ私の名前を貼り出したら『貴方の偏頭痛を研究するこの手が止まるぞ』と学長には伝えてある。
重い、重い、かなり長い溜め息を吐き出した後に王太子は言った。
「来月摂政の退院祝いがある。一緒に行かないか?」
「まあ是非!回復されましたのね!それはようございました」
あいつ退院したのか。では摂政殿には胃薬を送るのを止めよう。あれは成分が特殊で、その素材の神の雫と呼ばれる水は1000キロ離れた神美山にしか涌き出ていない。私なら2分で同じ成分の水を作れるが来月はお見舞いを辞退して神美山までわざわざ採取しに行ってあげよう。
「えっ……お兄様!?一体ここで何を!」
開けっぱなしのドアから青ざめたアリスベル王女殿下が顔を出した。中等部は食育実習の授業だったのか、高級な金小麦の香り高いスコーンが入ったカゴを胸に抱いている。子猫みたいで可愛いなぁ。『私を王太子に近付けたら全人類の肛門が爆発して白亜期に絶滅した恐竜が口からスライムを吐いてネバネバが全てを飲み込むぞ』と有り得ない謎の報告をしているので、そして何故かアリスベル様はそれを信じていて、ありとあらゆる手段で兄との接触を避けさせてくれる最高の協力者である。
今日もお菓子を持って会いにきてくれた。王女はゲームには出てこない、だからこそ安心して友達にもなれた。たまに遠出したり互いの寮でお泊まり会も開く仲のよさだ。しかも王太子のスケジュールも分刻みで把握している。
そんなアリスベル様にニッコリと笑いかけて言った。
「爆発するまであと1分」
「いやあああ!」
王女に対して不敬極まりないが、その話をするときは自作の絵本を見せてふざけながら読み聞かせているので今のところ王家からお咎めはない。
「わたくしはこれからパールシーお姉様と女子会なのです!お兄様は午後はご公務があるでしょうに!遠慮して頂けませんか!」
「女子会?お茶会のことか?ならば私も同伴しよう」
王太子が同意を求めるように私を見た。そういえばベリージャムと蜂蜜バターがあった。早くスコーンと紅茶で味わいたいなぁ。
「爆発するまであと30秒」
「お兄様あああっ!」
「おいなんだ押すな、おい」
「10…9…8…7……祈りを捧げましょう」
「お兄様!早くう!早くううう!」
可愛い子猫と焼きたてのスコーンは午後のティータイムに癒しと潤いを与えてくれた。今日も世界は平和だ。明日も穏やかに過ごせますように。
高等部二年生の最終日。
私はある目的のため教鞭をとった。
講義室には薬学や再生学、医療に括った各ジャンルの教授や魔術士たちが生徒として席についていた。
「このように魔力玉と雑草であるマナ草を組合せることにより、土は拒絶反応もなく玉を受け入れ農地を豊かにすることができるのです」
「魔力玉による土壌の回復、か。作物に影響はないのかね?」
「それに関しては資料の53頁[人体による影響]をご覧下さい」
質問も受け付け、必要ならば目の前で実験もして見せる。さらにはデータも晒す。各個人でも研究の輪をひろげて欲しいからだ。
ここまでして得られるものは、最終学年での授業や試験はもちろん、社交界の各方面への全免除、あと好きなだけ休みが取得できる。流石にそれは支配者階級の域を越えていると強力な反対勢力が現れたが、協力者の助け船が出航した。
『パールシーお姉様が王家を冷遇している?それはお姉様と毎日のようにお茶を飲み、毎月お泊まり会を開き夜毎語り明かし、毎年旅行にも同伴する王女のわたくしに向かって本気で言っているのですか?オーホホホホ!皆さま片腹痛いこと!冷遇されているのは王家ではなく個人ではなくって!オーホホホホ!』
と、素晴らしいファインプレーを見せてくれた。マジ天使。陛下も王女との根強い繋がりに最後は納得してくれた。
あとは私が仕上げに入るだけ。
「ふむ。このデータは……!むしろ魔力玉を使った土地で獲れた作物を食べた方が健康になれるんじゃないか!」
「待て!魔力玉そのものを摂取することにより魔力が回復するが、このデータでは魔力玉を使った作物摂取による魔力の回復は見込めない!」
「むしろ都合がいい!魔力を持たない私なんかが魔力玉を摂取すれば吐き気に襲われるが、魔力玉を使った作物なら健康を害することなく安心して栄養を摂取できる!」
「なるほど!それなら魔力測定が出来ない未知数の幼児にも安全に尚且つ栄養豊富な野菜を食べさせられるな!」
「すごい!魔力玉!画期的!ヨッ!世界一!」
「さらにこのやり方で獲れた栄養価の高い作物を保存膜で溜め込めば、食糧の乏しい冬や飢饉にも対応できるんじゃないか!」
「土壌向上に雑草が役立つか……なら魔力玉にサンゴや海藻を組み合わせてみよう!もしかしたら同じ原理で海産物の質も上がるかもしれない!」
「これなら汚染されたゴミ山の土壌の回復にも役立つかもしれん!よし、我々は魔力玉複製の研究チームを立ち上げるぞ!」
「すごい!魔力玉!無限の可能性!ヨッ!宇宙一!!」
白熱してきた講義に合いの手を入れるように誉めちぎっている声は私だ。前世ではこれを自作自演ともいっていた。
とりあえず研究材料として魔力玉を辺り一面に100個ほど散らばす。
「皆さまご自由にお取り下さい」
「うおー!太っ腹!」
「これが魔力玉か!」
「俄然ヤル気が出てキター!」
何故か講義に参加していた王太子と目が合った気もするが、白眼を剥いていたので見間違いだろう。
今日も世界は平和だ。
あと一年、楽に過ごせますように。
三年生になって1ヶ月が経った。
王太子殿下は私の研究室に来なくなった。
実は1ヶ月前、窓から一階を眺めていたら王太子を見かけた。どんどんこちらに向かってくる。方角からいってこの旧校舎だ。
また何の用だろう?目視できる距離まで来たので声をかけようとしたら目が合った。それよりも、珍しく鎧を身に付けている。これから公務なのか。なら長居はしないだろうと思ったら茂みから飛び出した野生のピンクブロンドが王太子に抱き付いた。
「…………あ、野生……ヒロインのマリア・カテイシア男爵令嬢だ」
ゲーム通り編入してきたようだ。
思わずしゃがみこんで隠れる。
ボソボソと話す声も聞こえた。内容はわからない。しばらくしてそっと一階を見下ろすと、誰もいなかった。
それから、王太子を見かけることはなかった。
しばらくアリスベル様との平和なお茶会の日々が続いた。
「まぁ。パールシーお姉様は卒業後は世界中を旅するのが夢なのですねっ」
「うん。実は神美山に別荘を建てたんだけど、他にも旅行して気に入った場所があったら家を建てようかと思って」
設計図は既に完成している。
アリスベル様が泊まる部屋もあるよーと言ったら私が建てる予定の家の右に本邸を建てて左に別邸を建てて、ついでに前後に母屋と別荘を建てると笑顔で宣言された。子猫に四方囲まれた将来。悪くない。
「お姉様。また前髪が伸びてきましたわ。明日あたり、お切りしましょうか?」
「う〜ん、どうしよう。アリスベル様と同じパッツンにしようかぁ」
「うんうん。お姉様とお揃い。承りましたわ」
「あ、そうだ七色シュガーが手に入ったから、明日は金平糖を用意しておくね」
「まあ!わたくしそれ大好きなんですの〜。では明日はグリーン茶葉を持参しますわっ」
精神的に落ち着いた生活のおかげで、学園のことだけじゃなく将来のことも考えられるようになった。
そう、本当に、穏やかで……
アリスベル様が帰って一人になった研究室で窓から一階を見下ろした。
生徒もまばらで、たまに私に気付いた教師が礼をしてくれる。
マリア・カテイシア男爵令嬢。
攻略は順調のようだ。いわゆる逆ハーレムルートってやつか。予想してなかったわけじゃない。せめてもの希望としてお友達を募ったわけだけど、どうやらそれも居なくなったようだ。
翌日の午後、アリスベル様は私の研究室に来なかった。
子猫が大好物の金平糖……調子に乗って50kgも作ったのに。
保存膜に覆われた、ふわふわと浮く金平糖を眺めながら一人でお茶を飲んだ。外は雨が降っていた。
1日、2日、3日……。
旧校舎の午後は今日も静かだった。
私がお茶を啜る音だけが響いた。
窓の外は洗濯日和だ。
微睡んでいると足音が響いてハッと我に返り振り向いた。
「アリスベ……!」
「…………」
「王太子殿下、ごきげんよう」
「…………ハァァ」
なんだ?いま物凄い溜め息をつかれた。
それにしても王太子、汚れている。しかもこの前最後に見た鎧のままだ。
公務じゃなくなにかの討伐に行っていた?
そういやここ数日、アリスベル様が来なくなって王太子のスケジュールも把握できなくなっていたんだった。聞くにも会話は避けたい。
それでも、王太子が醸し出す気配がいつもとは違っていて、無言に耐えきれずに話し掛けてしまった。
「お疲れのようでしたらお茶でも淹れますが?」
王太子はぴくりと片眉を吊り上げた。
いらんなら別にいいけど。
「ああ……頼む」
とりあえず精神を落ち着かせる薬湯と筋肉を解す効果のあるハーブを数種類用意する。その間も、絡み付くような視線を感じて落ち着かなかった。
机に茶器を置き、生葉を乾燥させ、粉砕し、熱めのお湯でじっくりと成分を抽出する。お茶菓子は何を出そうか、その辺に浮いてる金平糖で済ますか、そう考えていたらすぐ目の前に王太子がいた。
ここで焦ってはいけない。予備動作もなく一瞬で移動してきたが焦ってはいけない。
菓子類が入った戸棚を開けようと後ろを向いたら既に王太子がいた。
ここで焦ってはいけない。まさか王太子死んだ?いま幽霊なの?
落ち着け。机に向きなおしたら既に目の前でクッキーを頬張る王太子がいたが物が食えるならまだ生きている。
「うろちょろしないで下さい」
「すまない。甘い焼き菓子が欲しかった」
「すぐにご用意しますから。座って下さい」
カップにお茶を注ぐ。
渡そうとしたらカップごと手を取られた。
いや、片手で包みこまれている。
大きくて筋ばった長い指だ。
鍛え込まれた手首が太い。
重なった手を見つめ続けるのも根気が要ったが、それよりもこの状態で視線が合う方がまずい気がした。
徐々に力を入れて引き離そうとする。
びくともしない。
「様変わりしたな」
「……なにがですか?」
今度は向こうから引き寄せる力が出てきた。
徐々に体が王太子に傾いていく。
「学園がだ。いやに静かだ。旧校舎に入る前は、よく貴族子息たちに睨まれたものだ。時には呼ばれたわけでもないのに王族という身分を使って生徒の出入りが禁止されている旧校舎に通うのは不適切だと直談判する者もいたが、今日は誰もいなかった。ときにパールシー嬢、」
「イーグル王太子殿下。お茶が冷めてしまいます」
このままではまずい。
そう思って目を合わせ話を遮ると、三日月色の眼がすっと細められ、手が離された。
さっと手を机の下に追いやった。
掴まれた箇所をさする。
もう目は合わせられない。
そこでガタンと音が響き、聞こえた方向に目を向けると──。
「お兄様!!」
憤怒の形相でアリスベル様がドアから顔を出した。
「戻ったならお茶会に来てくれと言った筈ですよ!こんな所でなにをしているのです!」
ずんずん近付いてくるアリスベル様の様子がおかしい。
「アリスベル様」
呼びかけるとキッと睨まれた。
「兄を誘惑して楽しいですか?」
「え」
「貴女がいると邪魔です!」
久々に見たアリスベル様は、私の知っている子猫じゃなく、王女毅然とした態度を崩さない、別人のようになっていた。
「……そんな」
アリスベル様の体を解析しても至って健康体で、おかしな点は見つからない。
嘘だ。
だってアリスベル様はゲームには登場しない、だからゲームの影響下には入らな───
「触らないで下さい!」
無意識に伸ばした手ははねのけられていた。
「汚い手で王女のわたくしに触れないで頂けます?わたくしはこれからマリアお姉様とお茶会があるのです。貴女なんぞに構っているほど暇ではないのです」
「…………」
唖然としていると、しばらくして足音が遠ざかっていった。
隣から茶を啜る音が聞こえる。
頭が真っ白だ。
なにも考えられない。
「あのような視認もできていない状態で……下手な嘘を。一体なにを考えているのやら」
その日の晩は…………泣いた。
泣き過ぎて横隔膜の痙攣が止まらず声を押し殺してえずいた。
魅了のメカニズムと書かれた、殆どが真っ白なノートを開く。
研究に手を染めるきっかけになった、そしてそれはいまだに魔力とは関せぬ未知の領域で──なんの成果も得られていなかった。
私は諦めにも似た気持ちでその研究に蓋を閉じた。
それから1週間。
柔らかな日差しがさし込む午後。
私が研究に勤しむかたわら、クッキーを頬被り茶を啜る音が響いていた。
「そこの扇型の定規を取って下さい」
「む……これか?」
「そうです」
「……取ったが?」
「こちらに持ってきて下さい。あと帰る時ついでに研究で出た廃棄物を焼却炉に持っていって下さい」
「……数日前から人使いが荒くないか?」
「諌めても糖分ばかり摂取するイーグル王太子殿下の血糖値が上昇せぬようカロリーを消費させているのです。高カロリーを好み座ってばかりだといつか生活習慣病を引き起こすでしょう」
「専門用語は解らない……当たりもきつくなってきたな」
王太子が定規を持ってきたついでに戸棚を漁りだした。まだ食うのか。
「飴に角砂糖……クッキーはもうないのか?」
「明日からはクッキーは持参して下さい。でなければ実験台になって頂きます」
「それは構わないが、クッキーを用意しておいてくれ」
構わないのかよ。
「……もうこんな時間か。対談に行かねば」
「はい。お気をつけて御公務に励んで下さい」
帰りがけきちんとゴミ袋を持って出ていく後ろ姿によしよしと思いながらも次の瞬間、前世で「晩飯にカレー食べたい」と言う出勤前の父に「じゃあゴミ捨てといて」と夫を顎で使う母の言葉を思い出し定規をぶん投げた。
それからまた数日。
先日、王家に私への上奏文が届いた。リフィール公爵令嬢は身分を濫用して下位の者を貶めている、学園から追放するべきだと。書いたのは摂政の息子シバルと騎士団長の息子セシルだ。洒落にならない身分を持つ子息から、もっと洒落にならないパールシー・リフィール公爵令嬢への上奏。わざわざ王家から私に『こういう遊びは学園の中でだけしなさい』と諫言がきた程だ。
今まで散々研究に協力してくれていたこの二人は私が研究室から出ないのを知っている筈だ。
わざわざこの私が研究室を出て下位を貶めている?本気で言ってんのか?
ムカつく。ムカついてちょっと前に隣国の友好国に手紙を書いた。修道院か追放か処刑されるから、そっちで仕事できるよう手配して欲しいと書き殴った。今日には返事が貰える筈だ。
そういや神官の息子からも訴状がきていた。私が偽の聖石を贈り神殿の聖水を汚そうとしている、とかだったかな?
ムカついて聖水に浸けるだけで聖光水に変化させる聖光石の研究成果は奴の代になったら渡さないことにした。
「殆どの貴族子息があの男爵令嬢に夢中になっているな。それも高位貴族ばかり」
今日も来ていた王太子が窓の横に背を預け、ガラス越しに外を眺めている。
マリアが近くにいるのか。恐らくアリスベル様もそこに……てか食べながら話すからクッキーのカスが床に落ちてるんだよ。後で掃除させよう。
「そうですね。アントン、ガトフル、シバル、セシル……カインまで」
名前を並べて呼ぶとどんよりと気分が落ちた。私の研究室に来て色々協力してくれていた連中は、みんなマリア男爵令嬢にとられた。
窓を開けて一階を見下ろす。
大勢がマリアを囲んでランチをしている。
もう誰も私に手を振らない。
てかなんで旧校舎があるここで食べてるの?食堂に行きなさいよ。
「あ!パールシー悪役令嬢!やっと出てきたわね!待ちくたびれたわ!」
目が合ったマリアが叫んできた。
あいつ転生者確定。
「助けてえ!いま睨まれたわ!わたしパールシー様にイジメられてるのお!」
「なんだと!おいリフィール公爵令嬢!マリアに手を出したら私が許さない!」
カインだ。腰の剣を引き抜き2階にいる私にむけてきた。犬顔が。キャンキャン吠えやがって潰すぞ。
「う!なんだあの凶悪な顔は!」
「こわ〜い!オバケみた〜い」
「見るなマリア!呪われるぞ!」
うるせぇガトフル。お前の持病の腰痛薬は二度と作らないと決めた。結婚しても夫婦の営みもできずに毎晩苦しみやがれ。お家断絶しろ。爆発しろ。
「なんだあの阿呆共は」
「近くで見れば王太子殿下もマリアを好きになりますよ」
ぶっきらぼうに言い切って踵を返せば腕を掴まれた。
「無いな。以前抱き着かれたが何も感じなかった」
それはおかしい。
ゲームでは婚約者に隠れて毎日マリアとお茶を飲んで毎月イベントという名のお泊まり会してラッキースケベでけしからん事してたじゃない。
「何故睨む?」
掴まれた腕を振りほどけなかった。解析すると以前より筋肉が増している。普段なに食ってんだ?あ、クッキーか。
「別に睨んでませんが?」
童貞が。かっこつけんな。どうせその筋肉はマリアを抱く為にあるんだから、さっさと魅了にかかって爆発しろ。
「……珍しいな。妹のことで苛ついてるのか?あれはお前の嘘を利用してまで側に居ようとする。あいつも、お前のことが大好きだからな……」
きょとんとしたのち、いつものように淡々と喋る目の前の男が耐えきれないとばかりに声に出して笑った。
「笑っているのは腹筋を鍛えるためですか?もう鍛えなくても充分でしょうに。ウフフ」
「はは、子供の頃からお前に相手されないのが悔しくて鍛えまくったからな。魔の樹海で死にかけてからメデューサの眼も妖魔リリスの誘惑も効かなくなった────だから期待して戻ってきたのにお前を見るとやはり胸が苦しいままだった。惚れてんだろうな」
また器用な。笑いながら真剣な声色とちょっと怖いくらいの眼差しに一歩引いてしまった。おくびにも……出した。
「……なら、お薬を作ります」
「薬じゃ治らん。なんとかしてくれ。襲いかかりそうだ」
そう言って王太子は手を横に振り落とした。魔力も使わず振りかぶった手の風圧だけでそれは窓からエアーカッターのように飛んでいき、木々が倒れる音とマリアの悲鳴が上がった。
急いで2階から見下ろすと見えない風圧はマリアの頭上を掠め、ごっそり髪を持っていかれて落ち武者のようになっていた。アレだ、お皿……河童だ。
「やだ可愛いかも」
おめめクリクリピンクブロンドの河童。
それでも魅了の力は健在だ。慌てふためく河童に跪く犬共。まるでお遊戯会。なんか面白いことになってる。
襲いかかりそうだって、襲ってるじゃない。あ〜あ、頭上に触って悟って泣いちゃった。可哀想に。
「こっち見ろ」
「え?」
そっと近付いてきた王太子の指が優しく私のおでこを撫でた。
パラパラと髪が落ちていく。
重い前髪を切られたと解ったのは、王太子にキスされた時だ。
「好きだ」
唇をつけたまま、その言葉は紡がれた。
えぇえ。離れた後も余韻が残ったように熱い、唇が、震える。
「パールシー嬢。今まで多くの男が貴女に身も心も捧げると誓った。近くで見ていてこれ程の想いを抱える者の多さに嫌気がさしたが……だが本当は捧げていなかったんだろうな。私はそうはならない。とっくの昔に捧げたものは、もう誰にも渡せないからだ。私の心は、貴女だけのものだ」
『愛しいマリア……私の心は、貴女だけのものだ』
それはイーグル王太子殿下の愛情度が限界値を超えた時に聞ける台詞だ。
三日月色の眼が熱を放つ。
キスされた唇が熱い。
近付いてくる。
どうしよう……どうしよう……。
「使い回してんじゃねーよ!!」
「…………」
「ゲームの台詞しか言えねーのか!このボンクラが!」
「…………」
ちなみにこの不敬満載な台詞は私じゃない。
いきなり現れた隣国のヨゼフ王太子殿下だ。
あ、私が書いた手紙を握りしめてる。
今日あたり返事が貰えると思ってたら、本人が来た。
「可愛いルーシー。僕の小リスちゃん。迎えにきたよ」
「……ヨゼフ、お前」
「テメーは黙ってろ!お呼びじゃねーんだよ!ったくタコが!」
あなた確実に前世持ち転生者だよね?
言葉遣いやばくない?怖いんだけど……。
「手紙読んだよ。僕の事を信頼してくれて嬉しいよ。ああっ……まさか一期のキャラ、それも絶世の美少女ルーシーに頼られるなんてっ……感激さ」
ヨゼフ王太子が私の手紙に頬被りしながら囁いてきた、それをイーグル王太子がぶん取った。
「なんだこの書き殴った字体は。パールシー嬢のものじゃないぞ。誰かが慌てて書いたな。それに名前の綴りが間違っている。ヨゼフじゃなくヨヨフになっている。これは偽のパールシー嬢が書いたヨヨフ宛の手紙だ──だからさっさと離れろ」
「脳筋がインテリってんじゃねー!!プロテインでも飲んでろ!」
「インテリ?プロテイン?ラリってんのか?」
語呂がいい。とてもいい。
よし、今のうちに逃げよう。
青筋だらけの虎顔と狼顔のタイマンなど金貰っても見たくない。
そそくさと研究室を抜ける。
とうとう魅了を防ぐ為の薬は作れなかった。フェロモンだとか色気だとか魔力を介さぬ能力は計り知れない。流石ヒロインだ。
それでもいい。私は悪役令嬢。でもヒロインに勝ったぞ。
まさかイーグル王太子が悪役令嬢に惚れるとは。逆ルートかよ。そんなのゲームに無かった。
──逆?そうか……魅了のメカニズム、もとい掛かった時の状態を把握するため研究を始めたが、そうじゃなかった。魅了にかかった者じゃなく、魅了そのものを断てばいいんだ。
旧校舎を出て目の前にいたピンク河童に高解析をかけた。
やっぱり魔力だ。魅了するにも能力とは別の極微量の魔力を使っている。
それならばとピンク河童にまるごと保存膜を張って魅了の流失を防いだ。膜は1週間で消えるようにしておいたのでそれまでにみんな目が覚めるだろう。餓死されると夢見が悪いので私の研究室にある食材を定期的に送るよう遠隔操作もしておいた。殆どが金平糖だが無いよりマシ。
保存膜の中で排泄はどうするって?知らんがな。想像したくもない。
「………えっ」
「……あ、れ僕たち」
「……って、ぎゃああ化け物!!」
「なんだこの禿げた女は!」
「触るな汚らわしい!!」
魅了が切れたのか、魔力が高い者から順に上がってくる罵声、怒号、雄叫び、悲鳴、もう訳がわからない。
マリアの近くに居たアリスベル様が私を見て青ざめた。
「ウ、ワアアアアア!!!!」
泣き崩れて倒れそうになっているアリスベル様をこれでもかというほど強く抱き締める。
「大丈夫!わかってるから!"別荘"で待ってる!アリスベルちゃん好き好き大好きー!!」
アウアウ状態の子猫は可愛い。とても可愛い。もっと抱き締めていたいけどもう時間がない。見上げた2階から破壊音が凄い。旧校舎爆発する。
保存膜を練って作ったホウキを跨いで急いで飛び立った。パンツ丸見えでもかまうもんか。
「ルールル、ルルル、ルールル〜♪ルールル、ルレ、ッブ」
くそう。噛んだ。高速で強い風にさらされているにも関わらず、まだ唇が熱い。
あのヒロイン、ゲームとはいえ学園でこんなことしてたのか。そりゃ落ちるわな。
あんな魑魅魍魎だらけの学園からはさっさと退場するに限る。
あとは野となれ山となれー。
ありがとうございました。