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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
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戦いの機

「そろそろか。為になったぞ、家族のこと」


 義理の何々や叔父と伯父、迷子の男の子を僕と呼んだりの事だろう。前世界の受け売りを喋り続け、暇を潰しきった。


 前世界は前世界なりに蓄積のある技能や思想、思考、試行がある。不思議能力や遺伝子、生命、深海、宇宙の事となると類推が多くなるだけであり、それを一から魔法世界に伝える事の難しさ。

 魔力隠蔽がされていない状態では、箱の中の猫がどうなっているのかが分かり、矛と盾は『物体としての最強より、個体としての最強』を勧める。やはり前提が違うのだ。魔力の研鑽や集合により、誰しもが究極の量より質に、成れる世界なのだから。


「加護の一回の授与をする」


 配置は俺が夕日(?)を背に、ルシュフェルと対面する構図だ。次の朝日の時は逆になり、ルシュフェルに後光が出来上がる事だろう。


「受け入れよ我が力を。然らば眷属へと至らん」


 多少の予測はしていたが、何故、儀式となれば性的なものになるのだろうか。男女だから? それとも実力差を埋める為に? 俺の無意識を感じて? 疑問が尽きないが。


(心を鎮めよ)


 とルシュフェルからの御叱りだ。儀式中に疑問は、確かにいけない。


 魔力回路全てにルシュフェルの舌が入り込む。消しておいて良かった、あれにも一応は魔力回路が。


(理論上、其方は両性であろう? さあ、両性を出せ)


 何という事をしてくれるのでしょう。(シュア)を入れた事のない領域まで、彼女は入り込んできます。

魔力回路への刺激は、普通の物理的な刺激よりも強い。内臓、脳は苦しいし、強いものを与えられれば、至ってしまうものだ。


「日の出まで暇になったぞ。話の続きといこうかえ?」

「……お待ち下さい……」


 こっちの荒ぶりは良いのだろうか。腰を持ち上げれず、地面にうつ伏せになっている俺を、ルシュフェルはしゃがんで撫でる。


[盗撮に気付いて嫌な顔をしながら、なお続けているぞ]

(待って。サービス良すぎない?)


 サービスの良い悪魔……絶対的に裏がある時だ。人でさえそうだった。羽振りの良い時に限って、印象に残るような不正をしている。もしくは将来的に、こっちは大損あっちは大利が世の常。


 流石に悪いと思って立ち上がる。残念そうな顔をされ非常に困惑した。まさかの、普通に撫で回したかったのか?!


「無事であるな。では家で茶会と話だ」


 女子な要求に脳内が展開を始める。


 先輩の家へ行き、外を眺めれる場で飲み物を飲む。しかしその飲み物には不思議な薬が入っており、僕は意識が混沌とする。そんな中、先輩にとある部屋へ連れ込まれ……。


(完璧な筋書きだ)

[元はホの字]

(ゲでは?)


 毒されし《内対(ククラ)》は乗りに乗る。平常運転の為、先程のでは何もされていないようだ。

 ルシュフェルは辺りを見回していた。恐らくは、天使の襲撃を気にしているのだろう。いつ来てもおかしくないのだから。


 しかし、あくまでも家の提供をするのは俺。その雰囲気を味わうだけだ。

 

 ルシュフェルを席に着かせ、空を駆ける。


「ほぉ〈対巨人用戦機(ティタンキラー)〉に、このような改造を施すとは」


 白と黒の戦闘機と化した〈対巨人用戦機〉をルシュフェルが誉めた。この形から変形を可能とするまで、どれだけのミニチュアが犠牲になったのか。


[712だ]


 《内対》が数えていたようだ。何とも運命を感じる数字である。


「これの名は?」

「まだ付けてないですね」


 機体の名前を問われ、考え始める。

 天使への厄災となりうるこれ。白と黒の入り交じった機体と、俺がこれから手に入れる力………。


「今、付けましょう。〈XAX-01(セイメイ)〉です」

「独特よのぉ」


 堕天使を前にした名付け。効果はかなり大きくなるだろう。

_________________________________________________


「ねぇ……大丈夫なの?」


 マーシャは俺の心配をしている。ならば和らげるのが、俺のするべき事だろう。ゼノムの流れで消されそうだったとしても大丈夫だと。


「あぁ、問題ないさ。メインはあいつだからな」

「でも相手は天の使いなのよ?」

「行けると思わなくて勝てる訳がないだろ?」

「……」


 出来たのだろうか、身を寄せて来る。身分を気にしなくていいようになった分、こいつはより積極的になった。


「死なないでよね……」

「まぁ、いつ来るか分かったものではないな。気を付けるよ」


 そう言うとマーシャは目を閉じて、キスをねだり始めた。他の者は気を使い、夜空の星以外は誰もいない。

 唇がふれあい、これから深くなりそうなところで。


ィィイィィィイ


 機械が浮いている音がし、見ればゼノムの戦闘機があった。搭乗口に〈炎弾(ファイアバレット)〉を撃ち込む。この程度でどうもないだろう、苛つきの意思表示だから。


 搭乗口が開き、降りて来たのはゼノムと。


「余とも敵対するか?元皇帝」


 冒険者の時は、ルーシーと名乗っている堕天使だ。彼女を見ては、相性もあっただろうが彼女に勝てる、天使という存在に恐怖を感じてしまう。

 俺が黙っていると、興味を失ったかゼノムとの会話を始める。俺を見ている気配がない。力に自信を持ちたいのに、警戒されないのは辛いものだ。


「ほい」


 ゼノムから小さい水晶を渡される。何に使うのか全く分からない。説明を求める。


「何これ」

「対空砲とかの起動器」


 さらりと言っているが、いつの間にしたのだろうか。


「何時、何処においたんだよ」

「帰った次の日の朝から3日間。この島の至るところに、あ、起動してみたら分かるよ?」


 起動してみればゼノムの考えがよく分かる。島のあちこちに、追い込みと囲い込みの配置になるよう、砲が置かれてある。一番おかしいのは口径8.8mの砲が用意されていることだ。宇宙要塞が来る事でも想定してなのか。

 ともかくこの島が、武力そのものに変貌しているのは確かだ。


「お前……何がしたいんだ」

戦争(クリーク)だ。なぁルシュフェル?」

「意図せず代理戦争みたく……これも宿命かや?」


 疑問だらけでも話が進む。ゼノムよ、その名は付けてはならないだろう。ルシュフェル、絶対狙ってるだろう。言わない方が良い言葉しか出てこない。

Q ルシュフェルの性格どうした


A さぁ?


Q 冒険者勢はどうした


A 生きてますし、元気に活動してます

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