表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全天録  作者: AX-02
第二章 昼
97/261

先立ち

「何をした?」


 無傷の俺は剣の残骸を食らう。力は大したものではない、少なくとも目の前の天使よりは。


「何の事?」


 ラファエルは首を傾げ俺に近づく。それを俺は彼女の腰に手を当て、距離を取る。一応は敵対の立場であり、真意を掴んでないからだ。


「惚けるな。スルトが明らかに弱体化していたぞ」


 〈天使軍(キリエ)〉と抵触するからといって、星の守護者より天使が上だったとして、それを行った彼女は何なのだろうか。得体の知れなさで遠ざける。


「ゼルが勝って生き残った。ならそれでいい」


 俺の縛りは強固なのか? いや、首輪も紋章も消してある彼女を見るに、完全に俺本位ではないのだろう。

 

 天使は忠実なる神の奴隷。機械という解釈をした作品もあった程、神の為の無慈悲な存在。慈悲を司るラファエルは『与えない、奪う』も可能なのだが。

 果たして俺が生き残って神の益になるのか?そこをぶつけよう。


「教えてくれ。〈天使軍〉とは何だ?」

「文字通り天使の軍勢。ヴェラド神の元に残る数名を除き、全ての天使が集まる」

「……ならば君も」

「うん。でも〈軍〉じゃないから今は自由」

「それが例えヴェラドに反していても?」


 少し彼女は思案しているようだ。反するではなく無益の方が良かっただろうか。


「遍く全て、それは魔も範囲内。スルトも貴方の中で、共に癒される」


 成る程、結果論で反していなければセーフなのか。そういえばルシュフェルは、ユダガムをしていなかった。


 少し理解したが、やはり敵と言えば敵だ。仲を良くする訳に。


「んっ……」


 ラファエルが口内に舌を入れ込む。当てていた手を回し、空ていた方で彼女の頭を押さえる。

 数分はそのままだった。互いの呼吸と鼓動が合い、各々の性の匂いと波動が混濁する。しかし心は非常に穏やか。


「ぷはっ……好きにしていいのは、此処だけだよ?」


 恐らく外に行けば、天使や神が手を込ませずに、此方を見ることが可能になるのだろう。


「ふわふわのベッドがいいなぁー。押し倒されて、キスされて、それから……」


 物欲しそうな目と延々に合わせる。


[〈魔王(ゼノ)〉に〈熾天使(セラフ)〉がおねだりをしている。理想のワンプレイやぞ、据え膳を食うがよい]


 《内対(ククラ)》からのGOサインが出る。本当に裏がないようだ。

 ベッドへと変化させ、そこへ彼女を押し倒す。既に表情は恍惚としていた。


「受けさせて………ゼル…」

「NO.My engel.軍行動に支障が出るのは頂けない」

「意地悪……裁かれちゃえ……」




 [12:00]三時間、密に搾られて。『送って?』と言われたので、また二人密着で掘る。出るのはダンジョンでなく、海になりそうだが気にしない事だ。


「スー………スー……」


 天使の寝息に癒されながら上に進む。犬耳と尻尾も良かったが、この翼も良い。包まれれば、胎内のような快を覚える。


(妹の力を感じ、来てやったぞ?)


 ルシュフェルが内に来たようだ。一番、聞きたい相手には違いないので、内側へと行く。


「本当に天使ですか?」

「そうだ。疑いようもなく彼女はラファエルだ」


 堕天使からの天使の情報は信用出来る。彼女もまた一応は、神の敵なのだから。


「堕天使の召喚が原因ですよね?」

「闇が動けば、光の動くは当然だろう」


 考えなしに闇の消費を悪魔へ使ってしまった。その代償は、嫁との敵対である。召喚しなくても、イレギュラーなので、と消される可能性は十分にあるが。


「シュアが戻る事は?」


 地味に気にしていた事なので、聞いてみる。種族は戻れずとも、見た目や関係を戻したいのだ。


「シュアはラファエルの一面に過ぎないが、逆に言えば扱えるということ。だが、神の許しがなければ、貴様の傍にいる事は」


 ヴェラドのフットワークが、軽い事を祈るしかないのだろうか。とにかくラファエルとなったシュアが、手元にいる状態にする為の手立てを考える。考えても埒が開かない。結果としてヴェラドに全てが委ねられているのだから。



 海へと出る。暗く全てを認識するのに、時間が少しかかる。


「ウォウ」

「ヒサシーナ」


 〈キテル〉が待っていた。何て出待ちなのだろう、心臓に悪い。


「ヒカリノハドウ」

「俺の嫁からだ」

「ダメカ」

「当然だ。渡せない」


 ガチの邪神が〈熾天使〉を喰らう……想定される内、最悪の事態だ。絶対に渡せない。


「天使について知っている事は?」

「トップガシダイノチカラトシカ」


 四大属性になぞらえてあるそうだ。まぁ普通ではある。


「ワレノアイテハ リュウダッタカラナ ホカノシラヌ」


 あの〈龍〉を相手に消滅させられないとは、中々に恐ろしい耐久力だったのだろう。

 

 食えないと分かり、少しの会話の後に〈キテル〉は自分の住み処に戻る。


(ほぅ、奴を狩り残してしまったか)

(ルシ()()の知り合い?)

(数度も引き分けている)


 当時のルシュフェルが引き分けを続ける存在するか。それは強い。


(妹が目覚めるな、余は一度離れる事としよう)

(〈対天使(アンチエンジェル)〉はルシ義姉が頼りだから。お願いします)


 ラファエルの目覚めを、感知したルシュフェルが退場する。一応の切り札だからな、隠しておいて損はない。


「おはよ」

「おはよう」


 彼女に最後となるかもしれない、目覚めの挨拶をする。それを分かってか、彼女もまたしょんぼり気味だ。


「そういえば、何処にお出かけ何だ?」

「〈(ルナ)〉にイレギュラーの報告……あっ、ゼルだけじゃなくてサイフィさんのも」


 イレギュラーは正義であれ制裁されるようだ。可哀想な元皇帝、俺とそこそこ張り合ったばかりに、天使に滅ぼされるのだから。


「そう。じゃあ後で迎えにいくから」

「………うん。行って来るね」


 小鳥のキスをして、ラファエルは飛び立つ。


「……履いてない……」


 呟きの直後、氷塊が降る。羞恥も変わっておらず安心だが。


「夜が寒いなぁ」


 シュアのいない、夜の寂しさを感じてしまうのだった。

《内対》[盛りますねぇ!]

サイフィ「あと2つの要素で、奴のコンボが完成する」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ