突入6
前回、やりたかった事の一つ
箱から変形が出来たんだ。
因みに倒したりしても起動するけどその時は、上下反対が一番遅くて、次に側面、次に仰向けうつ伏せ、最速が前回の頭が上の場合だよ。
サイフィ、《内対》「[覚えしかない]」
〈機竜〉のサイズは閉じ気味の翼を除いて、おおよそ20m程度。尻尾が短めで投げ対策がされており、その身は磨き抜かれた銀で覆われ、目はサイバーゴーグルそのものだった。
「ギ」
「散っ!!」
〈機竜〉の唸り始めを警戒し、散るように指示する。全員、反応が間に合い思った方へ飛ぶ。
「ィィ」
続く音で床から棘が生え始め、その上で爆発が起こる。知能がそれなりにあるようだ。
硬さにより耐え抜き、データ収集の後に敵を殲滅……。
「短期決戦だな!!」
[そんな場合に長期化するんですよね~]
理解がやはり深い《内対》だった。主張と実際の差が面白く、差をどれだけ埋めれるかも見物である。とでも言いたいのだろう。
実際にその埋める作戦立てるのは、お前なのだが。
「ゼノム!! どうする!!」
〈光球〉を弾きながら、サイフィが作戦を聞いてくる。正しくセオリーのように。
(《天地一体》で奴の身を出来るだけ解析する。隙を稼げ)
〈思考加速〉併用〈念話〉を全員に通した。頷き、まずはシュアが。
「〈防壁弾〉」
防御の悪用弾を〈機竜〉の目に射出した。半物理の魔法をどう奴は捌くか。
「ガァ"ァ"ァ"」
咆哮のような大音量。それだけでシュアの〈防護結界〉が剥がれ、残るは速いだけの石。
「…」
シュアは守りや回復系統に自信が大きかったようだ。守りは類推だが、まさか咆哮で破られると思っていなかったのか、顔が厳しい。様々な遊びをした俺が見覚えないくらいに。
「小型のを発見!」
忍者がそう言った瞬間、空気の発射音が聞こえる。面制圧兵器が放たれたようだ。
光線が入り乱れる戦場と化す。小型機の挙動は俺には分かるが、他が追い付けていない。この数の雷速を完全に見切るのは、まだのようだ。
「ギッ!!」
〈機竜〉が吠えようとしたのを、空気圧で封殺する。
このような訓練はしてやれなかったからな。間に合わないのは仕方ない。
俺は銃を構える。いつもの拳銃でなく、ライフルのような長さの。
「〈雷線銃〉」
魔法世界ならではの、前世界の威力より上で小型化された兵器を使う。
互いや〈機竜〉の関節部に当たらないような、立ち回りと判明し追えるのであれば、恐らく自動な小型射撃機は落とせる。
先を読み、弾を置いていけば当たる当たる。二つは光線を逆流して落とした。
残り4つになった時。
「〈影縫い〉」
忍者さんが、サイフィの入れ知恵技能を発揮し〈機竜〉の動きをかなり鈍らせる。
機を逃す訳がないので〈雷化〉して距離を詰めた後。
「起きよ、喰らえ《天地一体》」
[ワーイ朝ごはんだー]
《錬成》が組み込まれた《天地一体》を起動し、内側に取り込む。普通に取れたので、素材には期待していない。
[高品質〈灰稀〉っすね。魔力伝達率で言えば〈日緋色金〉よりは上だから、使い途はあるぜよ]
まんま銀製ではないので安心したが、要するに〈日緋色金〉に勝てる部分が、伝達率しかない素材で作られた存在と言う事だ。
情報が少ないので、取り込んだところから〈分体〉を流し入れる
(ひょっとして、俺が硬めたら)
[通らねぇな。龍脈から引っ張り息吹きでやっと0.01mmってとこか]
いつの間にか、破壊推定までされていた。龍脈を処理飽和まで流した〈息吹〉でさえ0.01mmしか削れないのか。
(俺が食ったのって、将来〈勇者〉の聖剣を職人がミスりながら作る運命だった〈日緋色金〉じゃないよな?)
[考えすぎだよ]
(そうだよな。そんなわ)
[ミスるんじゃなくて、そのサイズの剣だろ?]
率直過ぎる考えだ。その〈勇者〉の種族は人間以外であってほしい。
「グオオォォォオン」
〈影縫い〉から脱却した〈機竜〉が矢鱈に暴れ、床の破片が飛び散る。
「ぐふっ」
目に破片が来て閉じてしまった忍者に、尻尾が当たり彼を飛ばす。場外は漆黒だ、生きて帰れる気がしない。
「〈環扇〉」
サイフィが風で三段階の方向変換を行い、忍者は場に戻る。〈機竜〉の追撃を避けつつ。
「恐悦させて頂きたい」
「よかろう」
と喜びの許可を貰う。中々に出来た関係、俺には到底無理なものだ。
「〈全快〉」
「どうだった?」
集合し、シュアが忍者に回復をかけ、サイフィが得た情報を欲しがる。
「高品質〈灰稀〉製だったな。それ以外はまだ見えないが……」
回収要請が届く。〈機竜〉にへばり付いて、完全な擬態をしているようだ。
「見る為に注意を惹いてくれ。さっきより短かろうと構わん」
「なら……〈飛断界〉」
俺に使われた覚えのある技の派生が飛ぶ。〈機竜〉が始めての大回避を行う。そんなに恐ろしいものだったか。
大回避を察した〈分体〉が床に落ちているのを回収。サイフィは先程の位置から離れ〈機竜〉に警戒。シュアと忍者は二人で待機のような状態だ。
[ほーん、毒持ちで闇持ちで原子力が少々ね]
闇は間違いなく俺のせいだな。原子力はいずれの時にか立つ領域なので、深くは気にしない。
無害化を実質ノータイムで出来るものを、気にしてはいけない。
「毒と闇を確認。対爆発、対無色光線をしておけ!」
またも指示を飛ばす。サイフィが「まさかダンジョンに見せたのか?」と言いたそうな顔をしているのを、身を竦めて知らない素振りで返す。
「おっと、二陣目だろうが」
「出させないよ」
〈機竜〉が隠していた小型機を、俺とシュアが飛び立つ瞬間に壊す。隠し処のせいか動きが、ぎこちなく余裕を持って動けた。
「ギギギギギギギ」
強めの手段の、毒と闇を振り撒きながら、文字通りの暴走をし始める。
場の全てが紫や黒で埋められる。俺の〈気箱〉で全員空中に避難だ。
「ギギィ」
〈機竜〉は翼を広げ飛翔する。真上に硬めに作ってあった〈気箱〉を貫通して来た。推進有り余りの証明だな。
「癪だが色を着けた。踏み外すなよ!」
サイフィ達を残して、俺は毒と闇の回収に向かう。が〈機竜〉の狙いが俺だったようで、急旋回し急降下してくる。
しかも口元に力の収束が見える。これは……核の一線というものがくる。対抗すべきものは……。
サイフィ達が阻止の踏み込みをし始めるのを。
(射線に来るな!!)
〈念話〉で止めた。久々の発射なので、全てのブレを考えれば当然の措置であろう。
[水分充填完了。圧縮開始………装填完了。口径査定完了。推進による推定速度は]
(知らんな、禁圧解除)
[了。〈水神龍王〉発射]
_______________________________________
「なぁ……サイフィ様は、無事だろうか」
「何を心配しておる。不敬だぞ」
「嫌な予感?分かるわそれ」
「例えば?」
「ゼノムとお宝の取り合いで」
「シュアの耳に手を出して」
「ふむ………性分を考えればあり得なくはないが、ゼノムが居れば大抵の危機は…」
「そうだよ。耳に至っては考える事が恐ろしゅう」
元無人島では、サイフィの帰りを待ちすぎる人と、そうでない人に分かれていた。
どちらも大抵がゼノム起因のメリット、デメリットで話をしている。メリットは実力、デメリットは性格だ。
彼処まで思考の放棄のような笑いをする事に、頭がどれだけ困惑し、距離感の崩壊を防ぐ事にどれだけ汗を垂らした事か。
瞬間的に全員が海を見る。何かを予感したのか。
「うぉう、おうおう」
「ここで地震?!」
揺れが彼らを襲い、次には。
「うわぁ………綺麗……だけど」
「津波ですな。逃げますぞ」
天高く飛沫が太く上がる。それ単体であれば、いつまでも見ていたいが。
孤島への津波は甚大な被害でしかないのだ。俗に言う沖や海流が速攻なのだから。
Q 露骨にシュアへのヘイト溜まらないね
A 癒し系にヘイトはあり得ない(白目)




