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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
91/261

突入4

《内対》[何ともハイスピード]

シュア「日帰り島並み」

「大物がいたはずですが……」

「確かに妙な大きさの虎とかいたな」

「まぁ要らないよ。俺、これが終わったら宇宙行くから」


 今後の予定を話すとサイフィだけが頭を抱えた。他二人はキョトンとしている。


 10時間かけて俺は復帰した。〈魔王(ゼノ)〉の自然回復能力に加え、シュアの献身により真っ白に燃え尽きた割に、超スピードの復帰だ。

 姿が戻っているのは残念だった。変装訓練として幼児退行を組み込むべきだな。


「宇宙? お空に行きたいの?」

「そうだよ、シュア。《内対(ククラ)》が龍脈の記憶を遡行してね、数多の存在が先に出てるのを確認した」

「私も行ける?」

「当然じゃないか」


 〈地伝転移(グランドピンポイント)〉を完全なものにする為には、龍脈や土地の完全理解が必要だった。そのため、大陸の移動や破壊痕を遡り続けた結果。龍脈が集まった土地に、発射台な遺跡があったり、壁に愚痴のようなものが彫られていたりと、宇宙移民説の証拠が出まくった。

 そして龍脈との同化から過去が判明した。移民の最後には、龍と巨人のガチバトルで、全ての存在の記憶喪失を狙う作戦が実行され、大陸が今の残りになった。


 過去の文明の方が進んでいたので、防壁が幾重もなされた大陸が消し飛ぶのを、観てしまった魂は『なぁ、これは夢だよなぁ?!!』と記憶の底に封印するだろう。という理論の元で行われた。

 間違いなく、この時のサミットは脳筋だ。


「お前、どうやって行くつもりだ?」

「俺がこれにだな」


 そう言って俺は、外套を戦闘機のように変化させる。


「人型には?」

「オフコース」


 更に変形させスパロボに変える。サイフィの目が死んでゆく…頭痛を通り越し、脳のストッパーでも破壊してしまっただろうか。



「御二方。来たようです」


 忍者に言われて、意識を切り替える。視れば触手壺な見た目の魔物が、群れを為して此方に向かっていた。


「サイフィ、働けるか?」

「働きたくないでござる」


 サイフィは回復の為に諸々が、過労で逃避のようだ。シュアに看て貰う事にし、触手壺の対処を二人で行う。


「では初撃を!」


 やはりというか、忍者さんは個人戦(タイマン)が得意か。群れ……いや軍を崩す為、俺が撃つ事になる。


 触手系統のいやらしいところは、その柔軟性と虫のような強靭さ。斬るには適さず、火や電撃に耐性を持つ物が多い。そして斬り落としても、動いたり、粘液を飛ばしたり。魔法でも仕留め切れなければ疲れた時に、やられてしまう。


[まぁ心配するな。今更、触手程度で堕ちはしない]


 俺の思考よりも早く《内対》が出る。ここまでド下に精通させた、自分の業を責めるべきなのか?


「〈氷天下(マイナスモール)〉」


 気が下がったのをそのまま使い、気温を一直線に下げる。-100℃辺りに下げられては、触手壺も凍死だろう。


「………変化しない方がなぁ……」


 気温変化が辛いのか、忍者さんが呟く。それでも氷の上を余裕で動き、触手壺を一撃で葬っている。核を的確に潰しているのだろう。さて俺も。


「わぅう……」

「あぁ………モフモフ、モフモ ブッ!!」


 サイフィは癒しを求めて、シュアの尻尾に手を出していた。奴の額に、前世界のより殺傷能力を落としたゴム弾を撃ち込んだ。


「〈風付与〉」


 壺型な胴体(?)に核があるようなので、貫通力と範囲を上げる風属性を付与する。

 忍者のどうしようもない硬直を、補助するように風の弾を撃つ。




「ゼノム殿!!」

「あぁ、本体と言うべきかな?」


 群れをあらかた片付けて、全員で移動しながら残党狩りをし始め、5分後程度。


「シシシシシシシ」


 触手生物がダンジョンの一角となり、大口を鳴らしていた。


「核探しが面倒だな……もしかしたら群生……とりあえずシュア、〈防護結界(プロテクト)〉を張っておけ」

「私は」

「断絶した腕が動かないとは限らん。お前もシュアの方へ向かえ。」


 指令を飛ばし、触手生物の母体らしきものに同じものを唱える。


「〈氷天下〉」


 氷の波動が飛ぶのを感知したのだろうか、触手が幾重に重なり防御を取る。機能停止は、普通に避けるか。


 凍った触手を突き破り、新たな触手が襲いかかる。〈痛覚遮断(ペインキラー)〉済みのようだ。


「〈雷化(スパーキング)〉」


 触手の壁を越える為に体を雷と化す。


[当たり判定は小さい方が有利なのだ]


 一定未満の戦いの真理を〈内対〉が語る。一定を越えると、範囲が可笑しいわ〈原子分解(ディステイングレイト)〉より細かく消滅させるわ、になり体の小ささは無意味になる。


 mm単位の隙間を抜い、触手の口まで来る。が、例の如く内部へと入って大爆発は、こう言う手合いの場合はしたくない。融合解除や脳内麻薬の促進等のガスが、充満していそうだからだ。


 なので機動可能な小型兵器を投下する。


「行け〈輪戦車(パンジャンドラム)・四型〉」

「何で??!!」


 搭乗型戦車にした他は、まんまな一型。速すぎて浮いて、山へ突っ込んだ二型。ブレーキ、バック、ジャンプ、砲撃、カーブを可能とした三型。

 三型の自動化、小型化に成功した四型を複数台、口へ投げた。


 パンジャンドラムと言ったのが聞こえたのか、サイフィから疑問の声が上がる。確かに製作中から『[この形状の必要せぇ……]』となった兵器である。が作ってしまったからには、使うべきだ。


 口に入ったのを確認し、シュア達の元へ戻る。


「〈防護結界〉」

「大きいのね」


 俺が結界を張った事により、察したシュアが耳を畳んだ上に手で塞ぐ。サイフィと忍者もそれに倣い耳を塞ぐ。


 直後、零距離落雷のような大音量と光。シュアが跳ねてプルプルしている。犬に辛い事をまたも、やってしまったのか……「ごめんね」と言いながら抱き締める。


 サイフィと忍者は放心していた。予想が遥かに甘く、意識を飛ばされたようだ。


「〈風鎧(エアガーダー)〉」


 シュアから腕を離し、母体がどうなったのかを見に行く。見通しを良くしながら進む為に、風を纏う。


 行ってみれば、ズグズグに焼け焦げ、或いは爛れだらけだった。空いた穴がないので、逃げた訳がない。


[床]


 次の瞬間、触手が伸びて俺の胸を突き刺す。予想通りに耐久が高い。


「〈圧殺(プレス)〉」


 空気圧を動かし、まだ生きていた核を潰した。

 



「おかしいだろ!? こんなの!!?」

「そのおかしいって、俺の発想が、って意味だよな?」

「威力だよ!!」


 サイフィに撃破手となった〈輪戦車・四型〉をみせたら突っ込まれた。見た目が瞬発的に人気になった、回る玩具二つに棒を刺しただけだし、分からないでもない。


「まぁほら。魔法って俺らにとって、新しくて綺麗な兵器じゃん?」

「………圧縮機動核? 馬鹿なの?」

「魔法でだからな。半減期を0年0ヵ月0日0:00.01にまで短縮できたよ」

「………俺に使われなくて良かった……」

「秒間数千は撃ちたいんだけど……素材も魔力も足りなくて困ってんだ。何か解決策ない?」

「諦めろ。この星の為に」


 サイフィに諭されつつ、次の階へ進む。





[なぁ、床はなんだと思う?]

「あれで穴すらなかった……しかしどう見ても[土]なんだろ? じゃあもう、上位者による干渉ないし法則しかない」    

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