突入4
《内対》[何ともハイスピード]
シュア「日帰り島並み」
「大物がいたはずですが……」
「確かに妙な大きさの虎とかいたな」
「まぁ要らないよ。俺、これが終わったら宇宙行くから」
今後の予定を話すとサイフィだけが頭を抱えた。他二人はキョトンとしている。
10時間かけて俺は復帰した。〈魔王〉の自然回復能力に加え、シュアの献身により真っ白に燃え尽きた割に、超スピードの復帰だ。
姿が戻っているのは残念だった。変装訓練として幼児退行を組み込むべきだな。
「宇宙? お空に行きたいの?」
「そうだよ、シュア。《内対》が龍脈の記憶を遡行してね、数多の存在が先に出てるのを確認した」
「私も行ける?」
「当然じゃないか」
〈地伝転移〉を完全なものにする為には、龍脈や土地の完全理解が必要だった。そのため、大陸の移動や破壊痕を遡り続けた結果。龍脈が集まった土地に、発射台な遺跡があったり、壁に愚痴のようなものが彫られていたりと、宇宙移民説の証拠が出まくった。
そして龍脈との同化から過去が判明した。移民の最後には、龍と巨人のガチバトルで、全ての存在の記憶喪失を狙う作戦が実行され、大陸が今の残りになった。
過去の文明の方が進んでいたので、防壁が幾重もなされた大陸が消し飛ぶのを、観てしまった魂は『なぁ、これは夢だよなぁ?!!』と記憶の底に封印するだろう。という理論の元で行われた。
間違いなく、この時のサミットは脳筋だ。
「お前、どうやって行くつもりだ?」
「俺がこれにだな」
そう言って俺は、外套を戦闘機のように変化させる。
「人型には?」
「オフコース」
更に変形させスパロボに変える。サイフィの目が死んでゆく…頭痛を通り越し、脳のストッパーでも破壊してしまっただろうか。
「御二方。来たようです」
忍者に言われて、意識を切り替える。視れば触手壺な見た目の魔物が、群れを為して此方に向かっていた。
「サイフィ、働けるか?」
「働きたくないでござる」
サイフィは回復の為に諸々が、過労で逃避のようだ。シュアに看て貰う事にし、触手壺の対処を二人で行う。
「では初撃を!」
やはりというか、忍者さんは個人戦が得意か。群れ……いや軍を崩す為、俺が撃つ事になる。
触手系統のいやらしいところは、その柔軟性と虫のような強靭さ。斬るには適さず、火や電撃に耐性を持つ物が多い。そして斬り落としても、動いたり、粘液を飛ばしたり。魔法でも仕留め切れなければ疲れた時に、やられてしまう。
[まぁ心配するな。今更、触手程度で堕ちはしない]
俺の思考よりも早く《内対》が出る。ここまでド下に精通させた、自分の業を責めるべきなのか?
「〈氷天下〉」
気が下がったのをそのまま使い、気温を一直線に下げる。-100℃辺りに下げられては、触手壺も凍死だろう。
「………変化しない方がなぁ……」
気温変化が辛いのか、忍者さんが呟く。それでも氷の上を余裕で動き、触手壺を一撃で葬っている。核を的確に潰しているのだろう。さて俺も。
「わぅう……」
「あぁ………モフモフ、モフモ ブッ!!」
サイフィは癒しを求めて、シュアの尻尾に手を出していた。奴の額に、前世界のより殺傷能力を落としたゴム弾を撃ち込んだ。
「〈風付与〉」
壺型な胴体(?)に核があるようなので、貫通力と範囲を上げる風属性を付与する。
忍者のどうしようもない硬直を、補助するように風の弾を撃つ。
「ゼノム殿!!」
「あぁ、本体と言うべきかな?」
群れをあらかた片付けて、全員で移動しながら残党狩りをし始め、5分後程度。
「シシシシシシシ」
触手生物がダンジョンの一角となり、大口を鳴らしていた。
「核探しが面倒だな……もしかしたら群生……とりあえずシュア、〈防護結界〉を張っておけ」
「私は」
「断絶した腕が動かないとは限らん。お前もシュアの方へ向かえ。」
指令を飛ばし、触手生物の母体らしきものに同じものを唱える。
「〈氷天下〉」
氷の波動が飛ぶのを感知したのだろうか、触手が幾重に重なり防御を取る。機能停止は、普通に避けるか。
凍った触手を突き破り、新たな触手が襲いかかる。〈痛覚遮断〉済みのようだ。
「〈雷化〉」
触手の壁を越える為に体を雷と化す。
[当たり判定は小さい方が有利なのだ]
一定未満の戦いの真理を〈内対〉が語る。一定を越えると、範囲が可笑しいわ〈原子分解〉より細かく消滅させるわ、になり体の小ささは無意味になる。
mm単位の隙間を抜い、触手の口まで来る。が、例の如く内部へと入って大爆発は、こう言う手合いの場合はしたくない。融合解除や脳内麻薬の促進等のガスが、充満していそうだからだ。
なので機動可能な小型兵器を投下する。
「行け〈輪戦車・四型〉」
「何で??!!」
搭乗型戦車にした他は、まんまな一型。速すぎて浮いて、山へ突っ込んだ二型。ブレーキ、バック、ジャンプ、砲撃、カーブを可能とした三型。
三型の自動化、小型化に成功した四型を複数台、口へ投げた。
パンジャンドラムと言ったのが聞こえたのか、サイフィから疑問の声が上がる。確かに製作中から『[この形状の必要せぇ……]』となった兵器である。が作ってしまったからには、使うべきだ。
口に入ったのを確認し、シュア達の元へ戻る。
「〈防護結界〉」
「大きいのね」
俺が結界を張った事により、察したシュアが耳を畳んだ上に手で塞ぐ。サイフィと忍者もそれに倣い耳を塞ぐ。
直後、零距離落雷のような大音量と光。シュアが跳ねてプルプルしている。犬に辛い事をまたも、やってしまったのか……「ごめんね」と言いながら抱き締める。
サイフィと忍者は放心していた。予想が遥かに甘く、意識を飛ばされたようだ。
「〈風鎧〉」
シュアから腕を離し、母体がどうなったのかを見に行く。見通しを良くしながら進む為に、風を纏う。
行ってみれば、ズグズグに焼け焦げ、或いは爛れだらけだった。空いた穴がないので、逃げた訳がない。
[床]
次の瞬間、触手が伸びて俺の胸を突き刺す。予想通りに耐久が高い。
「〈圧殺〉」
空気圧を動かし、まだ生きていた核を潰した。
「おかしいだろ!? こんなの!!?」
「そのおかしいって、俺の発想が、って意味だよな?」
「威力だよ!!」
サイフィに撃破手となった〈輪戦車・四型〉をみせたら突っ込まれた。見た目が瞬発的に人気になった、回る玩具二つに棒を刺しただけだし、分からないでもない。
「まぁほら。魔法って俺らにとって、新しくて綺麗な兵器じゃん?」
「………圧縮機動核? 馬鹿なの?」
「魔法でだからな。半減期を0年0ヵ月0日0:00.01にまで短縮できたよ」
「………俺に使われなくて良かった……」
「秒間数千は撃ちたいんだけど……素材も魔力も足りなくて困ってんだ。何か解決策ない?」
「諦めろ。この星の為に」
サイフィに諭されつつ、次の階へ進む。
[なぁ、床はなんだと思う?]
「あれで穴すらなかった……しかしどう見ても[土]なんだろ? じゃあもう、上位者による干渉ないし法則しかない」




