突入2
Q チート第一期とは
A 転移
「さて、始めようか元 皇帝」
「そうだなゼノム」
安過ぎる挑発に、冷静な対応で返されて、戦いは始まった。
まず鍔迫り合いになる。
サイフィは右手に剣、左手に盾を持つスタイルのようだ。鎧は全身甲冑。ただし、レクス程ではないが全て光に包まれている。
俺は四肢を硬化させ、黒い霞みを纏う刀を片手持ちだ。
力を入れてないので、体を浮かされる。まずは様子見としてそのまま宙へ。
逆に読んだか、サイフィは地上に剣を振ってしまう。空振りを認識した瞬間、盾で頭部から首を守りながら少し前進する。
尻を縦に回転しながら斬るはずだったが、サイフィの前進により、掠り持ち上がる程度となる。
サイフィは後ろを見ずに、馬のような蹴りを放つ。一応、その場のままだと当たっているのが素晴らしい。
足裏を合わせ蹴り返す。彼は三回転以上はして、体勢を整える。
「〈舞盾〉」
シールドバッシュをしてくるが、刃を合わせるのは危険と感じ、固く握ってない左手で殴りつける。
瞬間的超振動により拳が弾かれる。刀なら折れていたであろう技能だ。軸のズレから衝撃で折る、いいなその発想。
低く胴を狙った剣に同じ事をしてみる。が軸がずれた時点で剣を引き始める。無茶な引き方なので当然、隙が生まれる。
黒刀を左袈裟斬りに振る。彼の腕は間に合わず、鎧と接触。
ガギゥオーン
ゲームで言えば、氷属性魔法の最上位を使った時のような音が響いた。
親指と小指に痺れが走る。思っていたより数段上の硬さのようだ。グーパー運動をして回復を早めるのが普通だが。
「〈断界〉」
面倒なのでサイフィに切り落とさせる。硬化を部分解除し、剣が通るのを感じる。
一応の大ダメージなので、後ろへ飛ぶ。
サイフィは追いかけてくるかと思ったが、俺の腕を焼いていた。遠隔操作を気にして、先に潰しておくのだろう。
「いいじゃん」
短く褒める。純粋な言葉だったが。
「まだ本気じゃないくせに」
裏があると思われたようだ。自分を棚に上げて相手を褒めるのが、基本と思っていたが……。
「そ。超ガソが満タン入りまーす」
「やっぱりな」
言われた通りに本気に入ろうとする。ここは魔王な形態でいくか。そう思い外套で卵を作る。
『我は〈魔王〉我は〈業魔〉我は〈煩〉。自身の混沌や暗黒が平常が故に、他に調和と明白の平常を求む者』
「[ただの身勝手やん……]」
仕方ないだろ、ダークになるのはそういうものなのだから。魔王なムーブは〈理不尽〉が必要不可欠なのだし。
[うわぁ………炉心にもヘドロォ……私には流すなよ?!]
《内対》からの陳述が届くが無視だ。魔王になりきるのだから。
出来上がった体はどこか見覚えのある、大中四つ腕で筋肉の漆黒肌大男だ。シンプルなラスボス感に胸が空く。
すっきりしてしまったので、達観系のラスボスを思い出す。
[○~ ○~~]
(TA動画やめーや)
誤解の名シーン潰しを《内対》が行う。
ふざけあっていると、サイフィが飛び込んで。
「っ?!」
「ほぅ、気付いたか」
回転しながら横にそれた。少しの違和感からの、迅速な対応。実力主義の国で皇帝になるだけはある。
「おいおい、空気に何仕込んでやがる」
「〈減速作用〉だ」
「面倒な事を……」
何かしらは必ず空気と接する。ならば空気に仕込むのは当然の事だ。この〈減速作用〉は風と地属性のものだが。
「〈焔槍〉」
この場合は、風と火に変える必要がある。それでいて魔力的コストがかからないのは、魅力的だ。
「〈耀路〉」
しかし、相性問題の全てを解決した訳ではない。サイフィのように光・神聖系の属性が突貫してくると、まだ対処が出来ないのだ。
俺に光がなかったり〈魔王〉だったりでこうなる。一番、呼べる光はルシュフェルだが。
[やめとけ、やめとけ。あいつは堕天使、神への反逆者なんだ]
長い付き合いな言い方で《内対》から止められる。
「〈天照細線〉!」
「〈羅連〉!」
流石に、神の名を冠する攻撃には対処をしなければならない。四つの拳に闇を圧縮し、連射される光線を弾く。
サイフィが弾幕の中から飛び出す。隠し弾その一発動。
目から黒の一条を放つ。
姿勢を崩しサイフィは剣を落とす。が振り切った右手で殴りかかる。
正拳が正面からぶつかる。衝撃が階層……このダンジョンを揺らす。剣を拾う暇がないと判断したのか、盾で叩きにくる。
再度の衝撃。物陰からこちらを狙って〈ゴブリン・アーチャー〉から放たれた矢が、偶然に返りゴブリンの目に突き刺さる。
少々、受け流されたが中腕で顔面を殴る。飛びながらサイフィは、中腕の肘を蹴りつけた。
壁にめり込むも、すぐさま復帰。風を起こして剣を浮かせ、掴。
「〈裂悪〉!」
まず掌底で剣を飛ばしてくる。触手を伸ばし、白刃取りをしようとしたが。
「お」
触手が近づくだけで消滅した。
闇属性には凶悪な退魔だな、食らってみるか。胸からは逸らし、左の大腕に剣が刺さり。
ガシュ
何かのスイッチが入る音がした。左を見れば、刀身がさっきより深めに刺さっている。瞬間、左半身が灰色になり重くなる。成る程、そういうものか。
「断罪の石化だな?」
「まぁちょうどいいだろ」
確かにそのくらいの差はある。なので。
「ふっ!」
「………だろうと思った」
左足と顔の石化だけ、魔力の流れを速めて解除した。左手は使わないという意思だ。
「まだまだやるぜ?」
「当然だな」
気の合うのは戦闘狂の性か……それともスポーツ外の戦いが完全悪だった世界から、流れ着いた者同士だからか。
Q おい、攻略しろ
A 釣○○人が実質火力スキルになるんだ。
仲間との戦いも攻略の内さ!




