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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
89/261

突入2

Q チート第一期とは


A 転移

「さて、始めようか元 皇帝」

「そうだなゼノム」


 安過ぎる挑発に、冷静な対応で返されて、戦いは始まった。


 まず鍔迫り合いになる。


 サイフィは右手に剣、左手に盾を持つスタイルのようだ。鎧は全身甲冑。ただし、レクス程ではないが全て光に包まれている。

 俺は四肢を硬化させ、黒い霞みを纏う刀を片手持ちだ。


 力を入れてないので、体を浮かされる。まずは様子見としてそのまま宙へ。

 逆に読んだか、サイフィは地上に剣を振ってしまう。空振りを認識した瞬間、盾で頭部から首を守りながら少し前進する。


 尻を縦に回転しながら斬るはずだったが、サイフィの前進により、掠り持ち上がる程度となる。


 サイフィは後ろを見ずに、馬のような蹴りを放つ。一応、その場のままだと当たっているのが素晴らしい。

 足裏を合わせ蹴り返す。彼は三回転以上はして、体勢を整える。


「〈舞盾〉」


 シールドバッシュをしてくるが、刃を合わせるのは危険と感じ、固く握ってない左手で殴りつける。


 瞬間的超振動により拳が弾かれる。刀なら折れていたであろう技能だ。軸のズレから衝撃で折る、いいなその発想。


 低く胴を狙った剣に同じ事をしてみる。が軸がずれた時点で剣を引き始める。無茶な引き方なので当然、隙が生まれる。


 黒刀を左袈裟斬りに振る。彼の腕は間に合わず、鎧と接触。


ガギゥオーン


 ゲームで言えば、氷属性魔法の最上位を使った時のような音が響いた。


 親指と小指に痺れが走る。思っていたより数段上の硬さのようだ。グーパー運動をして回復を早めるのが普通だが。


「〈断界〉」


 面倒なのでサイフィに切り落とさせる。硬化を部分解除し、剣が通るのを感じる。


 一応の大ダメージなので、後ろへ飛ぶ。

 サイフィは追いかけてくるかと思ったが、俺の腕を焼いていた。遠隔操作を気にして、先に潰しておくのだろう。


「いいじゃん」


 短く褒める。純粋な言葉だったが。


「まだ本気じゃないくせに」


 裏があると思われたようだ。自分を棚に上げて相手を褒めるのが、基本と思っていたが……。


「そ。超ガソが満タン入りまーす」

「やっぱりな」


 言われた通りに本気に入ろうとする。ここは魔王な形態でいくか。そう思い外套で卵を作る。


『我は〈魔王(ゼノ)〉我は〈業魔(マーラ)〉我は〈(グリーダー)〉。自身の混沌や暗黒が平常が故に、他に調和と明白の平常を求む者』

「[ただの身勝手やん……]」


 仕方ないだろ、ダークになるのはそういうものなのだから。魔王なムーブは〈理不尽〉が必要不可欠なのだし。


[うわぁ………炉心にもヘドロォ……私には流すなよ?!]


 《内対(ククラ)》からの陳述が届くが無視だ。魔王になりきるのだから。


 出来上がった体はどこか見覚えのある、大中四つ腕で筋肉の漆黒肌大男だ。シンプルなラスボス感に胸が空く。

 すっきりしてしまったので、達観系のラスボスを思い出す。


[○~ ○~~]

(TA動画やめーや)


 誤解の名シーン潰しを《内対》が行う。

 ふざけあっていると、サイフィが飛び込んで。


「っ?!」

「ほぅ、気付いたか」


 回転しながら横にそれた。少しの違和感からの、迅速な対応。実力主義の国で皇帝になるだけはある。


「おいおい、空気に何仕込んでやがる」

「〈減速作用(ブレーキ)〉だ」

「面倒な事を……」


 何かしらは必ず空気と接する。ならば空気に仕込むのは当然の事だ。この〈減速作用〉は風と地属性のものだが。


「〈焔槍〉」


 この場合は、風と火に変える必要がある。それでいて魔力的コストがかからないのは、魅力的だ。


「〈耀路〉」


 しかし、相性問題の全てを解決した訳ではない。サイフィのように光・神聖系の属性が突貫してくると、まだ対処が出来ないのだ。

 俺に光がなかったり〈魔王〉だったりでこうなる。一番、呼べる光はルシュフェルだが。


[やめとけ、やめとけ。あいつは堕天使、神への反逆者なんだ]


 長い付き合いな言い方で《内対》から止められる。


「〈天照細線(ソロ アマテラス)〉!」 

「〈羅連(ガトリング)〉!」


 流石に、神の名を冠する攻撃には対処をしなければならない。四つの拳に闇を圧縮し、連射される光線を弾く。


 サイフィが弾幕の中から飛び出す。隠し弾その一発動。


 目から黒の一条を放つ。

 姿勢を崩しサイフィは剣を落とす。が振り切った右手で殴りかかる。


 正拳が正面からぶつかる。衝撃が階層……このダンジョンを揺らす。剣を拾う暇がないと判断したのか、盾で叩きにくる。


 再度の衝撃。物陰からこちらを狙って〈ゴブリン・アーチャー〉から放たれた矢が、偶然に返りゴブリンの目に突き刺さる。


 少々、受け流されたが中腕で顔面を殴る。飛びながらサイフィは、中腕の肘を蹴りつけた。


 壁にめり込むも、すぐさま復帰。風を起こして剣を浮かせ、掴。


「〈裂悪(ジャッジ)〉!」


 まず掌底で剣を飛ばしてくる。触手を伸ばし、白刃取りをしようとしたが。


「お」


 触手が近づくだけで消滅した。

 闇属性には凶悪な退魔だな、食らってみるか。胸からは逸らし、左の大腕に剣が刺さり。


ガシュ


 何かのスイッチが入る音がした。左を見れば、刀身がさっきより深めに刺さっている。瞬間、左半身が灰色になり重くなる。成る程、そういうものか。


「断罪の石化だな?」

「まぁちょうどいいだろ」


 確かにそのくらいの差はある。なので。


「ふっ!」

「………だろうと思った」


 左足と顔の石化だけ、魔力の流れを速めて解除した。左手は使わないという意思だ。


「まだまだやるぜ?」

「当然だな」


 気の合うのは戦闘狂の性か……それともスポーツ外の戦いが完全悪だった世界から、流れ着いた者同士だからか。   

Q おい、攻略しろ


A 釣○○人が実質火力スキルになるんだ。

 仲間との(かたら)いも攻略の内さ!

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