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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
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問題の進み方

「で、お前どこまで見せた?」

「心配ないさ、中二な時しか見せてないから」

「三番目に駄目やつやん」

「秘蔵フォルダ、リアルでコラは見せてない」

「ならマシか………………」


 内側でククラに何を見せたか問う。比較的まともな方で助かった。

 あれらは見せてはならない。相手の癖と、自身の画像が既に流出している事を知って、SAN値直葬しない存在と思えない。


「で、これからはどうするよ?」

「総当たり訓練しかなかろう」

「全部、実践か……付き合うぞ。どうせその極みには行くつもりだったし」


 ククラさん? あんた、俺が入らなくても害悪認定されそうじゃない? そう思っていると。


トゥルルルルーン

トゥルルルーンーン

トドムーンーンーンルルル


 [6:20]謎の変化をする電話音が鳴った。何なのだろうと四回目の『伊じゅ』で何故か配置されている、固定電話を取る。


『もしもし、ボス?』

「ハァイ、ジョージィ」

『乗り悪いな』

「コーヒーの方のドッピオならございますが」


 恐らく、可視化された〈念話〉なのだろう。このタイミングで掛けて来るような事の、想像がつかないのだ。


『さて、例のような展開で悪いが』

「おぅ」

『お前に案内された開拓地。入る度に色々変わる、ダンジョンだった』


 突如の告白。魔法世界の重要資産が、呪われてそうと思っていた無人島にあった。となれば、謎に人が流れるのも頷ける。養分として誘き寄せられたのだと。


「再突入は?」

『洞窟に明後日の朝だ。来れるよな?』

「共同依頼なのだが………仕方ない。『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』にしてくる」

『……お仲間ドンマイ。じゃ、明後日の朝に』

「へーい」


 〈念話〉が切れる。サイフィの情報により〈天烈〉の予定崩壊が確定した。





「ゼ~ル~たーすけれー」

「どうした?シュア」


 シュアから救援を求められる。はて、何の攻撃を受けているのだろうか。見た目では分からないものは怖い。


「足に力が、入らないの」

[元凶特定]


 またも俺のせいだな。


「回復……いや無理か」

「魔力切れも~! ゼールー!!!」


 ……となるとシュアは現在、全方面に自衛が不可能と言っていい状況にある。あんな吐露をして、颯爽と窮地に落とす。まさに鬼畜に相応しい〈魔王(ゼノ)〉である。


 とりあえず、シュアを車椅子に乗せて外へ出る。目覚めは三番目と言える。


「おはよう」


 爽やかにケイが声をかけてくる。朝の気持ち良さの、破壊が躊躇われるくらいの爽やかさ。が、言わなければならないだろう。もう少し起きてから言おう。


 後、二人の所で俺は声を大にして伝える。


「えー、明朝に知り合いから〈念話〉が飛んで来ました。その話の事例に間に合わせる為に、予定を完全に前倒しします」


 全員、薄ら笑いを上げる。当たって欲しくない予想が、当たったかのようだ。


「で? どうする気だ?」

「まず襲撃予定の何かしらを」

「確定二ヶ所と疑惑が三ヶ所」

「地図」

「そう書いた箱があるはず」


 《内対》が雑に取り出す。破れてないからセーフだな。

 地図を見る限り、潰れた五角形のような位置関係だ。二つの距離が近いので、片方が聞き付けて戦車、作製者を逃がす可能性が高い。となれば。


「俺が四ヶ所を叩く。〈天烈〉は全力でここだ」


 確定の一つを任せる。ここから一番遠い場所のもので。


「どうやって行かせるつもりだ? あ?」


 ライから当然のように、切れぎみに急かされる。最早、禁忌であるがやるしかない。


「大地系の転移魔法を使う」

「「「「…おっ…おぅ……」」」」


大地系転移魔法:地属性や龍脈を伝う必要性のある転移魔法で、空中と水中には使えない。必ず地面、床、天井、岩等の置物から生える。生命力が不思議であるが『石のなかにいる』からと攻撃されると、先制攻撃を受ける事になる。


 《天地一体(オールフュージョナー)》があるから出来ることだ。なお風…空気を駆ける系は、魔力消費が半端ではないので不使用だ。


「安心しろ。館近くに冒険者が生える構図なだけだ」

「……凄く奇妙……」


 奇妙で、普通の移動の意味を考え始めそうだが、Aランクの受け入れは早い。いや、俺がどうしようもないと思われてるだけか。


「前準備が『まだ』要るし、無制限じゃないもんな」

「まだ?」

「遍在……自分が立っている可能性の操作による転移とかが出来ないからな………」


 自分がいっぱいを否定したが、患者だらけの世界では『最強』を名乗るのに必要と知ってから、真逆になったんだったか。

 ケイが理解に苦しんでいるが無視して、魔力を練る。


 大地が震える事はない。精密操作しているものが、無駄な振動を起こす訳がないだろう。それでも濃密な気配を感じて、近くに俺ら以外の動物反応はない。


「我ら地を伝うもの。母なる大地の脈の、原初に含まれていた存在。一時(いっとき)は回帰し、我が望みの地へ。我らの身、心、(こん)を導き、送り給え〈地伝転移(グランドピンポイント)〉」


 土に高速で埋まる。ポリゴンの隙間に落ちたのか、とサイフィが見ていたら言うだろう。そんな風に埋まると今度は、大きな力を感じる事となる。地属性だけではなく、様々な属性の混じった…若しくは無属性である、星の血にあたる龍脈の力を。そしてその後は上がるだけだ。


「本当に着いたね」

「依存しそう………」

「無駄な時間を飛ばせるぜ! ケイ! 開発しろ!!」


 無茶な事を吹っ掛けられて、始まった口喧嘩を横目に、外套が大型二輪車を作る。


「なんだぁ、そらぁ?」

「戦車と同じく、有ってはならない物さ」

「見た目まで変えてるし」


 銀髪で上裸に剣を担ぎ、腰に二丁拳銃。本来なら前開き赤服だが止めておく。目立ってしょうがないからな。


「お揃い」


 膝上に座るシュアが髪の毛を絡めてくるのに、理性を保ちながらエンジンを吹かす。


[きっちり300万まで回せ回せ回せ回って回って…]


 走らせたくてウズウズしてる《内対》が非常にうるさい。バイクのエンジン音が完全にないので、余計に声が大きく聞こえる。


「じゃあ、ここ任せたぜ」

「あぁ」


 ライと腕を打ち合わせた直後に。


[ヒャッハ-待てねぇ!!]


 急発進する暴走車両。風を切る音しか耳には届かない。

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