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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
81/261

目的

三度目の

飛ばしても大した問題にならない回

[選ばれたのは〈パイ草〉でした]


 薬草採取に決めた俺は、〈ファイウダルの森〉を目指す。期日まで余裕がありすぎるので、のんびりと向かう事にした。


 王都を出て、シュアと共に地下へ潜り、地中を生活可能な部屋で掘り進む。


「ふ~ん。中ってこうなんだ」


 窓から見える土の中に、少々興味をシュアが持つ。が、すぐに飽きて隅のベッドで眠りに入る。

 俺は睡眠不要なので、このまま進むのもありとは思ったが……。


 内側を目指す。俺の深淵、魂の内部に降りる。真っ白な空間であり、地面を意識しなければ延々と落ち続ける。

 一旦、降り立ち目標を探す。まだ下の方に彼女が居る。


「決行から3.34秒。遅いゾ」


 ククラが待っていた。俺の見た全て、俺の思った全てを知って俺の不注意を正したり、乗ったりな美女が。


「二回目だから許せ」

「駄目だな。女神の戦士なら、色目は通用しないにゃ」

「チね」


 女神…まぁシュアの為の戦士ならともかく、こいつには自分の顔を『存在が大きすぎる』と言った前科があるので、油断ならない。

 唐突に始まったミュージカルを捌きつつ、目的を告げる。


「そろそろ切れたと思ってだな」

「あぁ、走り屋がパンパンするお」


 シュアに了承を取ってある、とても神聖な行為を始めた。性能が跳ね上がる事がなければ、しなくて良かったのだが……〈キテル〉の思考の片鱗さえ見えるこれを、せずにはいられない。


 実質、二人目をつくっている。()の初回無修正まであと一人だ。俺の生産量から言えば、あと四倍の人数は欲しいが……。


「やっぱお前、あれが最後の記憶なんだよな?」


 ククラから、こっちに来る前の記憶について確認される。

 俺は、ゲームやネットサーフィンを終えて眠りについた。その後に夢を見る事もなく、覚めればククラの中。それに違いはなく、何があってこちらに来たのか、全く情報がない。記憶の封印にしても〈魔王(ゼノ)〉覚醒で戻さないという、何処まで行けばいいのやら状態。問題はないが……記憶の完全再生を可能としている今、記憶にないのが恐ろしい。


「止まってる」

「すまぬ」


 行為を中断していた。相変わらず、思考の為にしか頭が働いていないようだ。再開するが。


「おらぁ! 点じゃなくて面制圧だるぉ!?」


 指南が飛ぶ。行為というより神聖さの為の訓練となってしまうのが、いつもの事だ。


「チッ、やはり前後しかないか」

「8点場の到来っ」


 



 本編開始から数分後、俺はククラから弾かれた。


「受け過ぎそうだったわー」


 ククラは体の外側の洗浄を始め、俺も供給管の手入れを始めた。無言ではあるが、これが心地良い。


「お? ルシュフェルが来てね?」

「最近、呼んでなかったもんなー。んじゃ帰るか」


 堕天使を誰も迎えないのは、まずいので内側から出る事にした。


[で、帰る時にはサブフレームを叩き出すのがお前なんだわ]


 《内対(ククラ)》に呆られながら、ルシュフェルの相手をし始める。


「ルシ姉、何用?」

「〈擬似(エデン・)原初球(レプリカ)〉は見飽きたからな。来てやった」

「ありがたやー」


 ルシュフェルは暇をもて余している。波乱さえ来てくれれば、ノリノリで殲滅してくれるだろうが、来ない間はストレスでしかない。


 はてさて、一体どうしたものか。

 何か遊ぶものを探しているようにして、対応を考えていると。


「妹?」


 ルシュフェルがシュアを見て、そう呟いた。理解出来ないが。


「な訳ないだろ。嫁だ」

「そうか嫁に……問題は出てないか?浄化されかけたり」

「ないかな~」


 精神の浄化作用ならありまくりなのだが…ルシュフェルの質問の意図が掴めない。

 

 とりあえず間を持たせる為の、カードゲームを始める。数字を足して100にした人の負けとなるルールのものだ。《天地一体(オールフュージョナー)》操作の《内対》、ルシュフェル、俺の順になる。

 一応の為に、心を読む、目の反射等での手札把握は禁止にした。


「ふふ。人の遊戯にしては凝っておる」

[罰ゲーム無しとかやる気が]


 そこそこの評価だ。絵柄をファンタジーに変えた甲斐もある。そんな風に遊んでいると、目的地に到着したようだ。


[は~~。次は魔王様な二輪車な?]


 遊びながら運転していた《内対》からの注文である。それで大自然を駆りたくなる気持ちは凄く分かる。どうせ戦車が流出しているのだ、二輪車程度は許されよ。


 到着はしたもののシュアが起きない。起こしても夢の中が良いのだろうか、全く覚める気配がないままだ。添い寝をするしかない。


 [18:51]シュアが目覚めるが〈パイ草〉は日中に摘まなければ、効果がなくなるという不思議な毒消しだ。

 働く事無く、夕暮れをシュアと眺めていると。


『なんだ貴様か……隣は……獣人…居たのか』


 グームが現れた。獣人に興味があるのか、鼻を動かしている。


「あぁ俺の嫁、シュア・フィエータ=アウゴだ。シュア、この熊さんはグーム。この森の主的な存在だ」

「よろしくね」


 俺を抱き締めながら、シュアとグームは目を合わせる。獣の第六感での会話でもしているのだろうか。中々、気になる。


 しばらく合わせ続けて、グームから俺に質問が飛ぶ。


『最近の魔物が活発でな。収めるのが苦労なのだ』

「あぁすまん、俺が〈魔王〉になったせいだわ」

『また貴様の所業か……』


 グームにため息をつかれる。贖罪の魔物狩りと冒険者登録をした事を伝えると。


『星々でも渡り、魔物を狩るのか?』


 どれだけ飛躍した想像をしたのだろうか、当たっているのが素晴らしい事だ。


「そうだな。それの為に地道な薬草採取だ」

『採り尽くすなよ……あぁそうだ。南の方から濃い邪気を感じているのだった』


 超気になる発言だ。のそのそと向かおうとするのを止め。


「俺も混ぜろ。薬草採取中のトラブルならセーフだ」     

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