横槍もTPO
そういえば、無詠唱と詠唱破棄を間違えてた気がする。
冒険者の朝は早い。これからは、誰もが寝坊出来ない状況になるだろう。
一昨日は北に〈単眼剛人〉が、昨日は東に〈小怪帝〉と〈白金百足〉と……Bランク以上は確実に気付いている。
お伽噺の存在が、現れ始めていることに。
となれば、災害のような強靭さの〈竜〉〈巨人〉〈吸血鬼〉それらよりは下だが厄介さの〈死王〉〈水粘王〉〈蠅人〉等々。先手や情報入手が不可欠の相手ばかり想像してしまう。
私が入っている〈天の眼〉も、〈天烈〉になる前の本業の。
「………! 森に大きな影を発見!」
「駄目だ! 離れていくから、正体が分からない!」
魔法による延長視覚で周囲を見ている。魔物が隠れ易いであろう場所を、重点的に。
そして今日は、日が出たばかりで発見した。〈ファイウダルの森〉の西側に巨体だ。正体が分からないままだが、誰よりも早く行ける。
早速、ギルドに向かったが。
「本日はどういったクエストで?」
「「〈ファイウダルの………」」
二個横のカウンターにいた〈烈剣〉と、行先が被ってしまう。未だに一時解散、非協力の約束は解除されていない。故に。
「ライ、君は森の何処だい?」
「東だ。逃げる以外じゃ被らないようにしろよ、ケイ」
このように分かれる必要がある。今回は大きめの土地だから良いものの、同じ幽霊屋敷とか〈小怪〉の巣とかであれば、優先をコイン等の運任せに頼るしかなくなる。
「傾向がアレだね」
「まだまだだ。上が言わねぇ限りな」
再結成は断られてしまう。ゼノムに対して依頼でないのも含めて、失敗が続き、実力不足を痛感させられたのだ。
そのゼノムも〈帝都の死〉と共に、行方不明になっている。『彼に聞けば、真相は分かる』とケイは言っているが、私にはよく分からない。何故、そんなに信用出来るのか。
そういえば最近〈突華〉を見ていない気がする。何かあったのだろうか。
〈ファイウダルの森〉の西側へは、馬車でそこそこの時間がかかる。
「ゼノムなら大当たりだ。〈竜〉〈水粘王〉は当たり。〈竜〉だと杖、ローブ、ブーツの強化に使えるし、〈水粘王〉はサイズによるけど相性が良い」
「外れは〈巨人〉……〈吸血鬼〉……」
「そうだね。足の速さや攻撃頻度で」
作戦会議の場だが、いつもと違うのは相手の新しさだ。素人同然に属性を絞れていない、強さが不明、といった問題点が多くなってしまう。
準備を怠った者から死ぬ仕事だが、準備不足にならざる得ないという。考え方の問題も出て来た。
それに『ゼノムなら大当たり』と、盲目的になっていそうな発言もある。周りを見るが、そう思っていなさそうなのが多数である。いや確かに、魔物の不思議さを聞く相手として不足なしだろうが、人間がそれでいいのかと。
いかん、これでは私が元凶となってしまいそうだ。
私は頭を振って気を覚ます。戦う前から暗くなってどうする、Aランクの名が泣くぞ。
到着後にまず、気配を薄める〈発弱化〉と足音等を小さくする〈風壁〉をかける。そして相手の正体を探りつつ。
「右から〈ボア〉!」
「了解、〈洞製〉」
周囲の警戒と撃破を繰り返す。最近では凶暴性を増す種が多く、いつもの場所でもいつもの出現率でなくなるのだ。
「流石に休憩しないと」
となれば、休みを多めに取る。非常な環境になったのであれば非常な保養が必要であり、無理をし続ければやがて死ぬ。そういうものだ。
休憩の準備をしている時。
「ねぇ……これ……」
仲間が何かを摘まんでいる。近寄ってみれば、何かの白毛だ。長さで言えば、人の背丈位はある。見覚えのないサイズの素材から全員、伝説等を思い出し始める様だが、中々出てこない。
「かなり近いようだね。注意して」
気を引き締める。相手の正体は掴めずとも、経験で分かる部分はあるのだ。
休憩がしっかり取れたと思った頃。
ギョェェェエェェエ
と聞き慣れない鳴き声がする。音からして相手は空の存在だろう。
その通りに、それは空に現れた。が、その姿は油断を決してさせない。
「〈翼竜〉……」
竜と同等が稀に現れる系譜の存在なのだから。
「翼と足の爪、鱗、恐らくの〈息吹〉……ちっ、組んでたらな……」
明らかに魔法不利な要素が多い。それに、こちらの所在が割られているのも危険だ。
それでもやらねばならない。冒険者だからだ。
「全身が見える位置取りを忘れるな!!」
そう言って、散る陣形を取る。チクチクと遠距離でやるスタイルの一つだ。
「氷! 我が門を通りて、敵に放たれよ〈氷砲〉!」
ケイが詠唱する。珍しくあり、そして本気が伺える。
〈翼竜〉の背面からだったが、第一撃目は回避される。理由を考える暇はない。
攻撃対象に選ばれたケイに向かってる間に、私達が攻撃を入れなければならないからだ。
「「凍てつきし水よ、我が魔力に満ちし陣を通りて、眼前の敵へ疾風が如く、空を駆けよ〈氷砲〉」」
氷の尖らせた塊が〈翼竜〉へ飛ぶ。右翼の付け根と左足に、突き刺さった。動きが多少鈍り、ケイは楽々と回避する。
「……〈風鎧〉!」
〈息吹〉対策を行う。炎が纏ったものにせよ息という風、ならば風で相殺というもの。熱いのは我慢だ。
こちらに対象が切り替わる。タイミングを見計らって……。
足を踏み込んだ時に違和感を覚え、足を見る。蔦が蠢いて足を絡めているのだ。
「〈縛植〉?!」
気を捕られ過ぎた末路だ。魔物と言えるものは、一体ではないのだから。
死期を悟って、目を瞑り歯を食い縛る。せめてこの痛みを和らげて……しかし、それは来なかった。
木々を薙ぐ音。目を開け左を見れば、倒木と共に〈翼竜〉がぐったりと網に捕らわれていた。状況が読めず固まってしまう。
数秒経って、〈縛植〉を剥がそうとすると。
「ウォォオォォォン!!」
遠吠えだ。〈ファング〉系が集まるかと思いきや、現れたのは宿の一部屋はある大きさだ。変異個体にしても変わり過ぎている。
それは、私達を見向きもせずに一瞬で〈翼竜〉頭部へ移動し、足を置く。その背中から人が降りて、網を外す作業を始める。
私が〈縛植〉から足を抜いた時に、ケイがその降りた人物へ声をかけた。
「ゼノムさん、貴方を探してましたよ」
「………なんだお前…らだったか………いや……これは都合がいい…」
弾系魔法:火であれば、撃ち込まれた後に周囲を焼く、若しくは焼きながら貫通。水であれば周囲の水分操作ないし、毒を与える(かなり不純な水になるので行使難度は高まる)。氷なら、熱の低下による運動機能の低下により、突き刺さったまま。
風は塊で掴みにくく、視認が困難。他の概念系属性、スキルを乗せるのであれば勧められる(乗せれるならその属性でよいのでは?とは言ってはならない)
土は重みで貫く、何かを内蔵しやすいので入るれることを推奨
追記
Q 章設定の意味を成していない気が
A 気分的な一段落つーことでお願い致します




