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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
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横槍もTPO

そういえば、無詠唱と詠唱破棄を間違えてた気がする。

 冒険者の朝は早い。これからは、誰もが寝坊出来ない状況になるだろう。


 一昨日は北に〈単眼剛人(サイクロプス)〉が、昨日は東に〈小怪帝(ゴブリンエンペラー)〉と〈白金百足(プラチナピート)〉と……Bランク以上は確実に気付いている。


お伽噺の存在が、現れ始めていることに。

 

 となれば、災害のような強靭さの〈(ドラゴン)〉〈巨人(ギガント)〉〈吸血鬼(ヴァンパイア)〉それらよりは下だが厄介さの〈死王(リッチエルダー)〉〈水粘王(スライムキング)〉〈蠅人(ムスカー)〉等々。先手や情報入手が不可欠の相手ばかり想像してしまう。


 私が入っている〈天の眼〉も、〈天烈〉になる前の本業の。


「………! 森に大きな影を発見!」

「駄目だ! 離れていくから、正体が分からない!」


 魔法による延長視覚で周囲を見ている。魔物が隠れ易いであろう場所を、重点的に。

 そして今日は、日が出たばかりで発見した。〈ファイウダルの森〉の西側に巨体だ。正体が分からないままだが、誰よりも早く行ける。


 早速、ギルドに向かったが。


「本日はどういったクエストで?」

「「〈ファイウダルの………」」


 二個横のカウンターにいた〈烈剣〉と、行先が被ってしまう。未だに一時解散、非協力の約束は解除されていない。故に。


「ライ、君は森の何処だい?」

「東だ。逃げる以外じゃ被らないようにしろよ、ケイ」


 このように分かれる必要がある。今回は大きめの土地だから良いものの、同じ幽霊屋敷とか〈小怪(ゴブリン)〉の巣とかであれば、優先をコイン等の運任せに頼るしかなくなる。


「傾向がアレだね」

「まだまだだ。上が言わねぇ限りな」


 再結成は断られてしまう。ゼノムに対して依頼でないのも含めて、失敗が続き、実力不足を痛感させられたのだ。


 そのゼノムも〈帝都の死〉と共に、行方不明になっている。『彼に聞けば、真相は分かる』とケイは言っているが、私にはよく分からない。何故、そんなに信用出来るのか。

 そういえば最近〈突華〉を見ていない気がする。何かあったのだろうか。




 〈ファイウダルの森〉の西側へは、馬車でそこそこの時間がかかる。


「ゼノムなら大当たりだ。〈竜〉〈水粘王〉は当たり。〈竜〉だと杖、ローブ、ブーツの強化に使えるし、〈水粘王〉はサイズによるけど相性が良い」

「外れは〈巨人(ギガント)〉……〈吸血鬼(ヴァンパイア)〉……」

「そうだね。足の速さや攻撃頻度で」


 作戦会議の場だが、いつもと違うのは相手の新しさだ。素人同然に属性を絞れていない、強さが不明、といった問題点が多くなってしまう。


 準備を怠った者から死ぬ仕事だが、準備不足にならざる得ないという。考え方の問題も出て来た。

 

 それに『ゼノムなら大当たり』と、盲目的になっていそうな発言もある。周りを見るが、そう思っていなさそうなのが多数である。いや確かに、魔物の不思議さを聞く相手として不足なしだろうが、人間がそれでいいのかと。

 いかん、これでは私が元凶となってしまいそうだ。


 私は頭を振って気を覚ます。戦う前から暗くなってどうする、Aランクの名が泣くぞ。



 到着後にまず、気配を薄める〈発弱化〉と足音等を小さくする〈風壁〉をかける。そして相手の正体を探りつつ。


「右から〈ボア〉!」

「了解、〈洞製〉」


 周囲の警戒と撃破を繰り返す。最近では凶暴性を増す種が多く、いつもの場所でもいつもの出現率でなくなるのだ。


「流石に休憩しないと」


 となれば、休みを多めに取る。非常な環境になったのであれば非常な保養が必要であり、無理をし続ければやがて死ぬ。そういうものだ。


 休憩の準備をしている時。


「ねぇ……これ……」


 仲間が何かを摘まんでいる。近寄ってみれば、何かの白毛だ。長さで言えば、人の背丈位はある。見覚えのないサイズの素材から全員、伝説等を思い出し始める様だが、中々出てこない。


「かなり近いようだね。注意して」


 気を引き締める。相手の正体は掴めずとも、経験で分かる部分はあるのだ。


 休憩がしっかり取れたと思った頃。


ギョェェェエェェエ


 と聞き慣れない鳴き声がする。音からして相手は空の存在だろう。


 その通りに、それは空に現れた。が、その姿は油断を決してさせない。


「〈翼竜(ワイバーン)〉……」


 竜と同等が稀に現れる系譜の存在なのだから。


「翼と足の爪、鱗、恐らくの〈息吹(ブレス)〉……ちっ、組んでたらな……」


 明らかに魔法不利な要素が多い。それに、こちらの所在が割られているのも危険だ。


 それでもやらねばならない。冒険者だからだ。


「全身が見える位置取りを忘れるな!!」


 そう言って、散る陣形を取る。チクチクと遠距離でやるスタイルの一つだ。


「氷! 我が門を通りて、敵に放たれよ〈氷砲〉!」


 ケイが詠唱する。珍しくあり、そして本気が伺える。


 〈翼竜〉の背面からだったが、第一撃目は回避される。理由を考える暇はない。

 攻撃対象に選ばれたケイに向かってる間に、私達が攻撃を入れなければならないからだ。


「「凍てつきし水よ、我が魔力に満ちし陣を通りて、眼前の敵へ疾風が如く、空を駆けよ〈氷砲〉」」


 氷の尖らせた塊が〈翼竜〉へ飛ぶ。右翼の付け根と左足に、突き刺さった。動きが多少鈍り、ケイは楽々と回避する。


「……〈風鎧〉!」


 〈息吹〉対策を行う。炎が纏ったものにせよ息という風、ならば風で相殺というもの。熱いのは我慢だ。


 こちらに対象が切り替わる。タイミングを見計らって……。


 足を踏み込んだ時に違和感を覚え、足を見る。蔦が蠢いて足を絡めているのだ。


「〈縛植(ドラタイ)〉?!」


 気を捕られ過ぎた末路だ。魔物と言えるものは、一体ではないのだから。


 死期を悟って、目を瞑り歯を食い縛る。せめてこの痛みを和らげて……しかし、それは来なかった。


 木々を薙ぐ音。目を開け左を見れば、倒木と共に〈翼竜〉がぐったりと網に捕らわれていた。状況が読めず固まってしまう。

 数秒経って、〈縛植〉を剥がそうとすると。


「ウォォオォォォン!!」


 遠吠えだ。〈ファング〉系が集まるかと思いきや、現れたのは宿の一部屋はある大きさだ。変異個体にしても変わり過ぎている。

 それは、私達を見向きもせずに一瞬で〈翼竜〉頭部へ移動し、足を置く。その背中から人が降りて、網を外す作業を始める。


 私が〈縛植〉から足を抜いた時に、ケイがその降りた人物へ声をかけた。


「ゼノムさん、貴方を探してましたよ」

「………なんだお前…らだったか………いや……これは都合がいい…」   

弾系魔法:火であれば、撃ち込まれた後に周囲を焼く、若しくは焼きながら貫通。水であれば周囲の水分操作ないし、毒を与える(かなり不純な水になるので行使難度は高まる)。氷なら、熱の低下による運動機能の低下により、突き刺さったまま。

風は塊で掴みにくく、視認が困難。他の概念系属性、スキルを乗せるのであれば勧められる(乗せれるならその属性でよいのでは?とは言ってはならない)

土は重みで貫く、何かを内蔵しやすいので入るれることを推奨


追記

Q 章設定の意味を成していない気が


A 気分的な一段落つーことでお願い致します

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