逃避
あっやっべ。前回のルビ振り忘れてた。
あと邪神から、ブクマ数が上がってると聞いて
「(≧∀≦)ノファーィ」してました
「〈神会〉を始める」
宇宙の会議室で、ヴェラドは開始を宣言する。
召集をかける前に集合しいてるという、極めて異例な奇跡が発生した今〈神会〉。危機……でなくとも〈乱調者〉は確実な存在の誕生に、神々は集結したのだ。
「〈魔王〉誕生を防ぐ事は叶わず、イレギュラー対応Lv5を発動した。〈天使軍〉が向かっているのだが」
〈天使〉が動いている。いよいよ脅威の高みが現実となったと思ったのが、ほとんどだろう。
「とある存在が本体ごと〈原初球〉に召喚された」
一体、何なのだろうか。各々は自種族の封印対象を思い出しているが、解除も何も聞いていない。
分からなさという危機だが、その程度の存在なのだろう。という空気になる。
「それは〈奈落之一〉原初の神に仕え、叛逆し、自身に加担した全てを喰らいし存在」
随分と昔から封印されていた存在のようだ。実際に会った事があるものが。
「な~んだあの子か~」
「ほんの少し私より前の」
無邪気な笑顔を振り撒く妖精フローと、少しの差に不服な精霊レエしかいないのだ。印象に残るも何もない。自分が産まれた時には、既に封印されてあった存在を脅威と思えるだろうか。
「八代目と三十代目〈魔王〉の時に、一部の召喚がされた程度でしたよね?」
「その通りだ。管轄はその時の最高神だから、これは俺のミスだな」
ヴェラドの失敗が珍しく、会場の目は点となる。
「ほぅ……一度は戦いたかったが」
「レプトの戦闘脳が再燃か。かくいう我も」
「落ち着け。お前らが動くと、星系がどれだけ壊れるか分からん」
点より早く戻ったレプトとグリナが、戦闘準備を始めそうだったのを、ヴェラドが止める。
「調べたところ〈奈落〉も消えているが。どれだけの闇が凝縮されていたのだ?」
「正確に測った覚えはない。感覚的には1.4フローなんだが」
「え~、あんたしか上ないじゃ~ん」
ラビオンの質問にヴェラドが答え、フローが突っ込みを入れる。
全くもって笑えない。それだけの闇を圧縮した存在が、調整された〈原初球〉に召喚? ゼノムより〈乱調者〉ではないか。
「問題はね。名前の無かった〈奈落之一〉に名付けした上に、召喚主として認められてるゼノム・ルマ=アウゴ。既に出した〈天使軍〉に追加情報として、これらを伝える事が出来ないって事さ」
詰んでいる……先々代の転生先がゼノムだったらどれだけ、話の道筋が理解出来ただろうか。この場の思考が一つになった。
「それで、今の〈魔王〉は?」
センペカが現行を知りたがっている。人を侵略しているかどうかが、気になってしょうがないのだ。
「現在〈対巨人用戦機〉が応戦中だ」
____________________________________
「やっぱ格があると無理なのね」
[近接に変えろぅ]
機体を肉眼で確認出来た瞬間に、金属弾が掃射され(トックリ)ハ(")チの巣になった。
お返しと言わんばかりに、撃ち込まれた弾を錬成して銃を作ってみたが、威力が足りない。装甲を貫いても即座に修復される。弾丸の属性を変えたり、口径を変えたり、余ってた魂を撃ったりしても同じ事。
光線が背中側に迫る。着弾すれば爆殺確定であろう、桃か紫の光線だ。魔力にしても異質なものと感じている。神性が含まれていそうとも思った。
[そういや放った後に、認知して避けたよな?]
読みだと思いたい事を《内対》が問いかける。光速に反応している訳がないだろう。読みとか魔力の初期微動とかだ、それ以外は認めない。
[まぁいいや。空を飛べウリャア!!]
俺の最高火力は今のところ、打撃によるものだから空を飛ぶ必要がある。飛ばなくてもいい方法としては、相手への引力を倍加させて無理矢理の着地だが。機械……金属というのは五大属性的な考えで行けば、土や地に当たる。引力もまた同じ系統とされる作品の方が、多いので使えない。
理で行けば空中に浮くよりは、地面をしっかり掴んでいた方が打撃の威力は高い。だから俺は単純な飛翔魔法ではなく、一手間加えた。
「〈気箱〉」
気体を気体のまま固定化する魔法を使う。遠目からすれば飛翔魔法と同じだが、微妙な違いがある。足首が斜めではなく真っ直ぐな上昇のだ!!
[細か過ぎて伝わらないシリーズ]
とは言うものの《内対》は分かっている。こちらの方が火力が高いと。
相手も近接に移行、光刃を取り出した。なんてSFな存在なのだろうか、本気で拿捕しようと思う。
[光刃は右手〈炬剣〉左手〈雷剣〉と少し性質が違うからな。多分、他の属性への切り替えも可能だと思うから、注意して]
何にせよ当たる気はないんだがな。まぁ、一属性のみで範囲攻撃不可な装備。と舐めてたら死ぬ事もあるだろうし注意しておこう。
光刃が交差して俺に斬りかかる。普通の剣の軌道ではない事を読み、一気に下へ下がり、裏へ跳び上がる。
読み通りに、普通の剣ではあり得ない太刀筋をしていた。何せ当てれば勝ちみたいなものだ。手首を曲げるだけで、恐ろしい範囲が間合いとなる。仮にスレスレだったとしても、今の属性だと実質直撃だ。
[鬼畜な範囲、虚偽の判定、死せる]
(ん? 地ならしでもするか?)
《内対》が何か進みたがっているが、適当な相づちをうって切る。
後ろから、がら飽きの腰部に近付き正拳を放つ。大穴が穿たれ、下半身が落ちてゆく。
[部位切断は鮮度が命!!]
完全に同意し、下半身を回収しに下へ跳ぶ。触れて収納空間行きだ。
上を見れば、修復を終えこちらへ急降下中だった。流石に真っ正面はキツイので横へ跳ぶ。km単位での動きだが、もう気にする事はない、諦めた。
過ぎたのを確認して超速旋回。今度は、空間が切り取れるかのような爆弾を撒かれる。
「当たらなければ無意味だ、無駄だ!!」
そう言いながら宙を飛び回る。これで相手に線と点が見えたら、パーフェクトだろ《内対》
光刃をすり抜け、行けると俺の拳が叫んだので、手刀で一刀両断にしようとしたが。溝尾辺りに居た、搭乗員の頭の半分で手を止めてしまった。
「お前かよ……ドッペ」
「師匠、久しいですね。今、向こうの料理はトマトダレブームです。私のオススメは鍋とパン挟みでしてね……」
普通は会話不能のはずの状態に、突っ込むべきだろうが、顔見知りをまたも手にかける必要が?との葛藤により忘れていた。
「引いてくれない?」
「無理ですね。貴方は特異過ぎなんですよ」
『異なるというのは争いの根源』とどこかで見かけた言葉が浮かぶ。その通りに後戻りはない。
光刃が自傷するかのように迫る。分体をコックピットに放ったが、直ぐに対応されるだろう。搭乗員の保護まで行うスパロボ……廃スペックにも程がある。
ともなればコア・エンジン探しが基本。弾幕と連撃を避けながら全身を隈無く、破壊し続ける。
結果としては、全身一気に消滅が最善と《内対》が出した。無茶だな、最高火力な打撃を越える範囲攻撃となれば、Mになった王子のように、自爆をかまさなければならなくなる。死にたくはないので拒否。しかしそれ以外の手が思い浮かばない。
堂々巡りを開始しそうなところで。
(〈対巨人用戦機〉か。土地を支配せよ、相手は回復が不可能になるぞ)
ルシュフェルからの〈念話〉が届く。そんな昔からある機体の型という事だ。
(いやはや恐れ入ります。まだ余ってますので魂を送りま)
(もう腹は膨れておる)
([堕天使が見返りを要らないだと?!])
情報へのお返しを、遠回しに断られて困惑した。いや種族特徴……あぁでも〈ゼノ〉も付けたし別に不思議でもないか。
「我は高潔たる星の導きに従う!!」
地に魔力的な目を向けると、魔力の川が見えた。恐らく龍脈と言われる系統のものだろう。見ればドッペの位置へと、高く波打つ瞬間がある。これで耐久が半端じゃないことになるのであろう。
巨人よりも土地から吸収すれば勝てるじゃん。のような発想なのか。だったらやるべき事は一つだ。
龍脈の位置をズラした上で、結界に閉じ込め撃破すればいい。
《内対》に一旦、龍脈の情報を集めさせる為に、地に降り硬化外套を深く突き刺す。
何をしているのか予想が付いたのか、ドッペが猛攻を始める。斬撃を打撃を銃撃を魔法を次々と。俺はそれに合わせ舞う。
斬りかかる腕を抱き折り、蹴りを受け流し大腿部分を裏拳で砕き、収納空間を利用し弾を反射、耐性を別途上げた分体で魔法を消化する。
[クケケケケ!! 土地支配だと? 上を行ってやるわ!!!]
《内対》がそう言った途端、機体の動きが鈍る。いや、飛行制御系に至っては機能停止だ。
(まさか)
[処理落ちだ]
何て恐ろしい情報科なのだろう。ファイアウォールを逆手に取るという……そのうち鈍るどころではなく防御結界ごと、永久凍結しそうで怖い。
[地面についてるけどここ数十km、脈なしだから安心DA☆ZE。ゆったりとトドメだよ! 殺ったねゼノちゃん!]
さらっとえげつない事を《内対》は言った。
トドメだと。俺に人を殺れと。容赦のない追撃を仕掛けろと。
[会話が一応は可能な存在でも、殺さなきゃね? 戦意喪失も再燃の可能性あるからなー]
(大丈夫だって。ドッペをコックピットから引きずり出せば)
[搭乗員を光の玉にして強制的に乗せるぞ]
そしてただ単に出せば終わりではない。身の中にあったオーラの具現かもしれない。そんな殺るしかない条件を多数持っていたのだ。
それに気付かず、戦いをここまで進めた俺は……責任を取らねばなるまい。
「あー。俺の分も食ってくれや」
「家族は?」
「独身」
「恋人は?」
「なし」
「同僚へは?」
「ゼノムとの敵対は止めとけ。ライバル止まりにしろ」
「それは伝えない方がいいな。いや……王には言っておくか……」
よくコックピットを見れば、ドッペの席の後ろにはあの虹剣が刺さっており、王命で来たのだと察した。ならば王に。
「王には?」
「ないない」
裏が本当に少ない方だな。これからの彼の人生…その全てを奪うのだ。重圧に耐えきれず、無意識からだろうか。
「ん、じゃあな。我望む、疲れた英雄に永久なる安らぎを〈死眠〉」
あくまでも、眠らせただけと思い込めるような詠唱をした。




