断罪
重罪人の拘留所に俺は向かう。まさかのゼノムの逮捕に成功だ。
リヨンにマーシャを握られて、仕方なく許可を出してたらやった。とてつもない事だ…ゼノムは、何だかんだで殲滅しそうな人だったのに。
表向きは、謎存在に襲撃されたと言う事にしていた。リヨンがしたのは、順当なるリベンジとなっている。
「よぉ、ゼノム」
「……あぁ………サイフィか…」
首輪と手に足枷を付けられて、ゼノムは収監されていた。一般的なレベルに落ちているようだ。力を手にした後の弱体化…人生投げるくらいに精神は負だろう。
「ここまで弱まるものか?」
ゼノムは歯を食い縛る。説明するのも嫌になるのは仕方ないか。喋るまでは待つぞ、どのみちやらねばならないのだから。
「向こうの闘技場で闘ってたら、王様が興に乗ってな……原理は分からんが、魔力回復阻止、魔力回路破壊を剣でやりやがった」
魔法世界においての極限制限をくらったらしい。それでいて消却砲に耐えているのだが。
「なるほど、スキルもまともに使えなかったか」
「俺はあくまで硬い〈粘性体〉でしかない。素ステは低いんだ……」
「で? 何で砲に耐えたんだ?」
「運?」
当人にもよく分かってないようだ。しかし神の加護もあり得ないので、予想がつかない。
「今は何が出来る?」
「……………………〈粘性体〉形態しかない」
「そりゃ本当に低限ですな」
「本当ならもっと出来るんだぜ? 3600×3600°のカメラに、山のような手に、超速な剣技に………虚しい」
空虚なもんだ。が助けれない事はない。〈粘性体〉形態が可能なら手はある。
「なぁゼノムさん、内臓動かせるよな?」
「……一応は……」
「死刑で確定だが、なんとギロチンなんだわ」
「…首は?」
「何故か一旦、皇帝が預かるようになってる」
ゼノムが笑い始める。どことなく狂気を感じさせる声だ。希望を与えたつもりだったが、紛争地域に火薬を持ち込んだのか。
「そうかそうか。因みにその後のリヨンは守るかい?」
殺る気満々の目だ。守るつもりはないと言え、このまま野に放つのは危険過ぎる。
「だからといって、自然破壊に無差別急降下爆撃は禁止だぞ?」
「ははは! 当然じゃないか。個人に対して、ただ単に地獄を実践したいだけだ。前世界で見かけた地獄を……あぁ『十の災い』もいいな…擬似的に人生を歩ませる程度は……クケケケケ」
「その笑いを止めろ。見境なくやりかねん人を装うな。ここには俺しかいないから、安心しろ」
ゼノムは無表情に急変し天井を見る。不信な人だ、裏側には本当に誰もいないというのに。
「とはいえなぁ………あぁ……もしミスったら、向こうのモフモフを俺の分まで堪能してくれ。決して、剥ぐなよ?」
この状況で言うのがそれか。冗談を挟まないと死ぬのかお前は。
「そういや人型の配下が居たはずだが?」
「『このモンスターを逃がしますか?』に、はい、を選択しました」
「まじかよ」
「契約違反とも思われてないようだし、選択してないかもな」
「どっちだよ!?」
真面目に不安定要素だ。コンタクトが取れそうにないので、当日何をしでかすか分からない。
「とにかくお前の弱点、首って事にしてギロチンだからな!首は俺が回収するから、内臓とか集めとけ!」
「そういやこっちのギロチンの発案者は?」
「……昔からのようだ。発案者は犠牲者第四号になったとも聞く」
「歴史は魔法あっても、変わらないものか。まっ、人の本質は変わらなそうだし」
後ろに手を振りながら出る。
さてと、処刑用の台本でも覚えますか。
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「死ね! 死ね!」
「ヒャッホー!! 久々の台だぁ!!」
「体はいいのになぁ~雑魚には使いきれなかったかぁ?」
下衆な嗤いが聞こえ、地味に精神が追い詰められる。魔力さえあれば…と無い物ねだりを延々としている。
サイフィが帰った後に気が付いた。目の情報処理だけは、最盛の戦闘のままだと。どうにか落としても一秒が一分になってしまう。それで数日を過ごす……無間地獄に落ちた気分だった。
一応の希望は見えているので、耐えれるものではある。反応するのに疲れるからしてないのも。
「ゼノム・ルマ=アウゴ捕縛の第一人者、リヨン・セ=カスター!」
まずは叙勲式か。そのくらいな事をしたもんな。弱体化していたとはいえ、俺は俺。脅威を除去なんだから。
「新たに制作した、救国級の偉業を為した者に送る〈日緋盾金剛十字剣〉を授ける!」
前に俺からさらりと、取ってった素材を使い叙勲……何て嫌がらせをしてくれるのだろう。頭がいいとこういう事が出来るのか、いやはや恐れ入った。
俺はギロチン台に立たされたまま、式が終わるのを待つ。謎に演奏が始まるが聞いて待つ。謎に劇が始まっても考察して待った。謎に何もしない時間もあった。
流石に何もしない時間には、見回したがな。見覚えのある黒髪の人がいた。確かクレイスだったな。命の恩人の最期……いや……何度か会った魔物の最期を見に来たんだろう。
80分程経ってやっと、俺の首が台に置かれる。
2日前から《内演算》に頼らない移動はキツかった。本当に喉から手を出したり、心臓(?)が飛び出たりしたのは忘れられない。
「帝国に逆らいし、愚かなる魔物に死を!」
「「「死を! 死を!」」」
「…ゴリ塩…」
その呟きの直後。体から離れる事になった。




