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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
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断罪

 重罪人の拘留所に俺は向かう。まさかのゼノムの逮捕に成功だ。

 リヨンにマーシャを握られて、仕方なく許可を出してたらやった。とてつもない事だ…ゼノムは、何だかんだで殲滅しそうな人だったのに。


 表向きは、謎存在に襲撃されたと言う事にしていた。リヨンがしたのは、順当なるリベンジとなっている。


「よぉ、ゼノム」

「……あぁ………サイフィか…」


 首輪と手に足枷を付けられて、ゼノムは収監されていた。一般的なレベルに落ちているようだ。力を手にした後の弱体化…人生投げるくらいに精神は負だろう。


「ここまで弱まるものか?」


 ゼノムは歯を食い縛る。説明するのも嫌になるのは仕方ないか。喋るまでは待つぞ、どのみちやらねばならないのだから。


「向こうの闘技場で闘ってたら、王様が興に乗ってな……原理は分からんが、魔力回復阻止、魔力回路破壊を剣でやりやがった」


 魔法世界においての極限制限をくらったらしい。それでいて消却砲に耐えているのだが。


「なるほど、スキルもまともに使えなかったか」

「俺はあくまで硬い〈粘性体(ウーズ)〉でしかない。素ステは低いんだ……」

「で? 何で砲に耐えたんだ?」

「運?」


 当人にもよく分かってないようだ。しかし神の加護もあり得ないので、予想がつかない。


「今は何が出来る?」

「……………………〈粘性体〉形態しかない」

「そりゃ本当に低限ですな」

「本当ならもっと出来るんだぜ? 3600×3600°のカメラに、山のような手に、超速な剣技に………虚しい」


 空虚なもんだ。が助けれない事はない。〈粘性体〉形態が可能なら手はある。


「なぁゼノムさん、内臓動かせるよな?」

「……一応は……」

「死刑で確定だが、なんとギロチンなんだわ」

「…首は?」

「何故か一旦、皇帝(おれ)が預かるようになってる」


 ゼノムが笑い始める。どことなく狂気を感じさせる声だ。希望を与えたつもりだったが、紛争地域に火薬を持ち込んだのか。


「そうかそうか。因みにその後のリヨンは守るかい?」


 殺る気満々の目だ。守るつもりはないと言え、このまま野に放つのは危険過ぎる。


「だからといって、自然破壊に無差別急降下爆撃は禁止だぞ?」

「ははは! 当然じゃないか。個人に対して、ただ単に地獄を実践したいだけだ。前世界で見かけた地獄を……あぁ『十の災い』もいいな…擬似的に人生を歩ませる程度は……クケケケケ」

「その笑いを止めろ。見境なくやりかねん人を装うな。ここには俺しかいないから、安心しろ」


 ゼノムは無表情に急変し天井を見る。不信な人だ、裏側には本当に誰もいないというのに。


「とはいえなぁ………あぁ……もしミスったら、向こうのモフモフを俺の分まで堪能してくれ。決して、剥ぐなよ?」


 この状況で言うのがそれか。冗談を挟まないと死ぬのかお前は。


「そういや人型の配下が居たはずだが?」

「『このモンスターを逃がしますか?』に、はい、を選択しました」

「まじかよ」

「契約違反とも思われてないようだし、選択してないかもな」

「どっちだよ!?」


 真面目に不安定要素だ。コンタクトが取れそうにないので、当日何をしでかすか分からない。


「とにかくお前の弱点、首って事にしてギロチンだからな!首は俺が回収するから、内臓とか集めとけ!」

「そういやこっちのギロチンの発案者は?」

「……昔からのようだ。発案者は犠牲者第四号になったとも聞く」

「歴史は魔法あっても、変わらないものか。まっ、人の本質は変わらなそうだし」


 後ろに手を振りながら出る。

 さてと、処刑用の台本でも覚えますか。

____________________________________


「死ね! 死ね!」

「ヒャッホー!! 久々の台だぁ!!」

「体はいいのになぁ~雑魚には使いきれなかったかぁ?」


 下衆な嗤いが聞こえ、地味に精神が追い詰められる。魔力さえあれば…と無い物ねだりを延々としている。

 サイフィが帰った後に気が付いた。目の情報処理だけは、最盛の戦闘のままだと。どうにか落としても一秒が一分になってしまう。それで数日を過ごす……無間地獄に落ちた気分だった。


 一応の希望は見えているので、耐えれるものではある。反応するのに疲れるからしてないのも。


「ゼノム・ルマ=アウゴ捕縛の第一人者、リヨン・セ=カスター!」


 まずは叙勲式か。そのくらいな事をしたもんな。弱体化していたとはいえ、俺は俺。脅威を除去なんだから。


「新たに制作した、救国級の偉業を為した者に送る〈日緋盾金剛十字剣〉を授ける!」


 前に俺からさらりと、取ってった素材を使い叙勲……何て嫌がらせをしてくれるのだろう。頭がいいとこういう事が出来るのか、いやはや恐れ入った。


 俺はギロチン台に立たされたまま、式が終わるのを待つ。謎に演奏が始まるが聞いて待つ。謎に劇が始まっても考察して待った。謎に何もしない時間もあった。

 流石に何もしない時間には、見回したがな。見覚えのある黒髪の人がいた。確かクレイスだったな。命の恩人の最期……いや……何度か会った魔物の最期を見に来たんだろう。


 80分程経ってやっと、俺の首が台に置かれる。

 2日前から《内演算》に頼らない移動はキツかった。本当に喉から手を出したり、心臓(?)が飛び出たりしたのは忘れられない。


「帝国に逆らいし、愚かなる魔物に死を!」

「「「死を! 死を!」」」

「…ゴリ塩…」


 その呟きの直後。体から離れる事になった。 

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