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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
67/261

事件は現場で

「一体、どこに消えたんだ?」


 応接室の中でキースはそう呟く。帝国の港の変態機動船以降の足がつかない。ゼノムは去った……短絡的に考えればそうなる。海の藻屑になっていればどれだけ気が楽になるか……。

 脅威の消息不明より怖いものはない。どこにいるのかが分かれば、狙いも速さも分かるからだ。ゼノムは高速ぶらり旅なので、全くもって予測がつかなかったが。


「それよりマスター。俺らは」

「済まない。情報収集の為だ」

「上からなら仕方ないね。でも前から言ってる通りだよ」

「私達は……場違いなのでは?」

「うぅ~気が重い」


 再度の情報確認等の為に〈天〉〈烈〉〈突華〉そして〈疾〉が集められている。ゼノムと会話あるいは遭遇し、本日呼び出されたチームだ。


「とりあえずもう一度頼む」

「ええとではまず我々」


 ドルキがそう言いながら立ち上がる。


「〈疾〉が定例調査に行ったところ、ゼノムが聖骸を操作し〈封窟〉から出た瞬間を目撃。攻撃したところ『話し合いするだけだから!』と撃退の体勢に、我々では太刀打ち出来ないと感じて彼女の緊急避難のを」

「既に何かしらの装備を着けてたよね?」

「あぁ…多分あの中の蟲のだろうな……〈疾〉からは以上です」


 ゼノムの技量がよく分かる最初の動き。装備を作った上に使いこなす……そんな魔物は伝説にしかないのだ……正確に言えば"伝説になりうる存在"という枠だが。


「次に会ったのは私達ですね」


 クレイスは座ったまま話すようだ。緊張により立てないからだ。


「彼は……謎の装束で現れましたね。どの歴史にもないような草と蔓の組み方で……」

「いやまず襲撃されたんだろ」

「あっ、野盗に襲われて横転。しばらく応戦し、二人とも組伏せられた時に現れました」

「ゼノムの性格からするに、観察してそうだな」


 ケイから非常に嫌な推測が追加される。ピンチを眺められていた事になるのだから、恥ずかしいやら憤慨やら。


「観察……何時からだろう……」

「最低で横転してから、最高は街からだね。どっちに付くべきかを彼は見るはずだ」

「街が見えたところで別れました。多分、私が教えた通りに〈ファング〉を狩りに行ったんだと思います」


 クレイスは言い終わって、息をつく。上への説明に慣れていないのが分かる。


「そして〈天烈〉。謎の〈ボア・ソニック〉の移動から推察、元から目的のあった村に到着。ゼノムはゴブリンの群れの掃討に協力。キングの討伐に向かったのを怪しんで、改造品を仕込みました」

「あぁ、あの拾音の」

「拾ったのは謎の会話でしたがね。ゼノムは相手を哀れむような、キングは怒りに染まって……『人に非ず、救われない』と」


 瞬間的に室内が静まる。時折、そしてゼノムが現れてから特に気になり始める問題。


『魔物の範囲、定義はどこまでなのか』


 が出されたからである。ゼノムの自発的な被害は殆どない。唯一の爆散も冒険者なら仕方ない範囲であり、その他は自己防衛。死者は出しておらず、後遺症になるような者もない。

 酔っ払いの方が酷いのではないか、と思うくらいの被害のなさである。


「そしてゴブリンの摘出現場を見て、勘違い…でしょうかね………それから戦闘になりました」


 ゴブリンの摘出。母体へのダメージが極端に少ない方法で行われたそれ。知能の圧倒的な高さを物語る。方法の推察は行われているが器具と操作技量から、40年は先の技術と見なされている。


「地中に逃げられ、魔石も対応されたので追跡を断念しました」

「で、あいつらか。見事にボコられたんだっけな」

「あぁ本当に大敗だ」

「その前に流れ弾が……」


 ゼノムとしても不本意そのものだろうが、やはり被害は被害。報告はしなければ……ティナは情報を修正した。


「直接の最後は帝国領」

「また危ない所を助けられたね……一回目は確実に見てたんだろうけど」

「悪どい」


 鉄車の脅威を嬲る。この時点で強さの証明は磐石となる。


「帝都には既に入ってたな。衛兵が訳分からん強さの奴が居た、って言うし」

「神出鬼没な……徳のある不細工…も聞いた」

「噴射推進に興味があるな。攻撃に転用可能なのは確実だ」


 ここで話に区切りがつく。全員、首を回す等リラックスを求める。


「ゼノムの消息不明。更に鉄車の主もどこかか」

「噂じゃ北に逃げたらしいぜ」

「先が思いやられるにも程があるぞ。放置できないのが2つなんて」


 先の見えない対策。しらみ潰しな情報網で、当たりが出るまで待ち姿勢。地味な心労負担こそどうしようもない。


「何かデカイのがかかればなぁ……」


 クレイスがそう呟く。刺激を求めてしまうからこそ、こんな職種になったのだ。

 冒険とは新発見とその探索と対応が全て。それが大きければ、大きいほど良い。


 そんな思いが天に届いたのか。


ボボン


 大きな音がする。人々の騒ぎ声も。

 応接室に受付の女性員が駆け入る。汗がだらだらと垂れるのが分かる。本当に急のようだ。


「何があった?!」

「黒い、大きな、物が、砲を」


 〈天〉と〈烈〉は、鉄車と確信しリベンジの為に。


「緊急事態だな」

「我らは〈天烈〉!」

「「「おぅ!!」」」


 ギルドを飛び出す。が戦闘には至れない。人が集まり過ぎている上に。


『ゼノム・ルマ=アウゴは〈帝都 ハス・テウス〉にて捕縛! 7日後に処刑とする』


 重要情報がもたらされたのだから。

俺「次回合わせて時空列整理が出来ない奴は駄目な奴」


《内演算》「見苦しいマウンター」

《物体変化》「あぁでもしないと保てないんだろうな」

《天地一体》「普通に考えろ。深夜テンション発言だ」

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