寝起きでこれは
襲撃しに来る輩は居らず、しかし完治する前に。
『王令で大陸から出るようにと……』
非常にシュンとしたノワから、そう伝えられた。どうやら俺が、大陸にいるのは不都合らしい。
やはり納得出来ないので、直に王城へ行こうとしたら。
『後だしで申し訳ありません』
試練の時にも会った大臣がいた。俺が乗り込むのは予想済みだったらしい。
『どういうことかな?』
『そうですね。花嫁修業と貴方様の脅威度、そして王の勘です』
花嫁修業……分かる。俺が手を出していない前提にだが、色々と女としてのスキルアップを図り、男を飽きさせないようにする。その途中段階での暴走を防ぐ為に遠くへ行けと。
脅威度…これも理解出来る。ガチ装備の王とそれなりに戦えた俺がいるだけで、周囲は怯えて暮らす必要がある。そして力試しの標的になり、対処する内に色々と面倒な事態が起きる。起きる前に遠くへ行けと。
『勘って……王が博打かよ』
『時にはやらねばならないものです。私は必要を感じておりませんが……王が決めた事です』
勘。それは理不尽なものだ。従順と言うには裏切り過ぎ、敵と言うには利点が多すぎる。歴戦の王の勘、それだけで信憑性が高まり反逆する心を折ってある。
とてつもない強制力だ。前世界で見てた世界より個人に揺られる。そんな世界だからこそ……俺は楽しめている。
諦めて。
『一体、何日かかると思ってんだよ……俺、車椅子なんだが』
『あぁ心配なく。部隊が付きますから、運んで貰えますよ』
『……シュアの人気なら、谷底へ私を落とす人がいるかもと思いますね。可愛い見た目、わんぱく感、回復魔法……嫉妬から凶行は、いつ起動するか分かったものではないです』
色々と会話を広げた。
人間的思考が可能でなくとも、弱った生物を虐めたくなるのは自然な事である。故に警戒しているのだ[結婚するんですフラグ]も立っている事で、危険な臭いがしまくっている。
が、それでも行かねばならない、断る事は出来ないのだから……。
「何てやり易い」
「もうゼノム無しじゃ来たくない」
「向こうに付いて行っていいと思う……」
狙われないように、収納空間から取り出したり、《物体変化》と《天地一体》で保温性の高い空間を作ったりしたら、別方面で狙われ始めた。
戦力として期待されても困る。部屋に戻ろうとしても。
「まだ行かせません!」
「楽しい夜はこれからだ!!」
などと阻止される。これには冷静に対処。
「デュラム」
「主の眠りを妨げる者よ……去れ!」
デュラムを召喚し、俺は安眠を願う。音が響くので部屋の形を変える。いつか見た無音部屋の構造は偉大で、本当に音がない。心臓も肺も不要なので、俺から出る音は寝返り程度しかない。
本当に静かな部屋で俺は眠りに就いた。
______________________________________________
夢は混沌を極める。静かな空間であれば、外部からの情報がないので尚更だ。
今回は……何故か友が。
「よお久々だな」
そういいながら彼は鎧姿だった。見覚えがある、着せ替えの出来る狩りのだと。彼がよく着ていた、白き王と何かの混合だと。
「あぁそれはどうした?」
「前に使ってたのじゃ相乗効果が足りなくてな……」
「因みに今回は?」
「タウロスブースト、ピンポインター、ブックス、フレーマー、決闘、人操、フェアリープレイ、フラグレンス、アントスクラッパーだ」
「……そうか」
スキル構成が謎過ぎる。一体何を目指しているのか分からない。というより本来そのスキルはないのだが……。
「これで俺は世界を壊すんだ」
「出来んのかよ?! 字面だけじゃ足りない物多すぎんだろ?!」
「……あー……いや……そうだな」
「分かったら一式に」
「該当するモノを探す旅に出る」
「そうかそうか。また会えるといいな」
「その魂、我に捧げよ」
どこぞの悪魔のような言葉が出る。というよりCVがまんまだ。
「…えぇ…どうした急に」
「全て滅ぼして『無』にしなければ……先のは誰もが通る道……」
「『無』なら取得出来るからな? 手順かなり踏むが」
「手順すら不要! 最短は破壊なのは見えている! さぁ、ソフトの抜き差しで越えろ!! 全部を越えれる!!」
「それ本体に返す気ないだろ!!! いい加減にしろ!!」
ヤバい、ダチの奔流だ。こいつの処理能力は謎に高いから論破と、発想の差が高いのだ。
「安心しろ……回復する手段はある」
「なん……だと?」
世界の認識に必要な魂の再生が可能だと? こいつ……どんな領域に立っていやがる。
「じゃあちょっと見せてくれよ」
「あぁ……その身でたしかみてミ」
こうして俺は体を端から消されて。
ブツン
_________________________________________________
[朝だぞ]
「あぁ……汗をかくとはな」
[お前の夢は狂気だよ……SANとミームしか言語でねぇよ]
「何だ? それの原因となった要素でも見つかったか?」
[知らなくていい事もあるよ]
謎にも程がある。細かくは覚えてないが『狂ってる』と言えばそうなのだろう。凡人が異世界に順応するのはそもそも____。
「ゼノムざまぁ"!」
焦り過ぎて罵倒されたが、恐らくレベルの上がった連携に押されてるのだろう。
「起きたぞ! 望みはなんだ?!」
起きて来た俺が見たのは。
グォォオ
「ぐっ! 何て数だ!」
「向こうの援護!」
「ぬわーー!」
あからさまに、見た目のおかしい魔物の群れだった。




