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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
6/261

最悪の出来事

やはりな……主人公より燃える。

スキルとかの活用とか全然駄目だなぁ主人公の場合。


「馬鹿野郎! 逃げるぞ!!」


 ドルキがそう叫ぶが、私とフーノは動けなかった。

 動くはずのない者が動いている……その意味を考えたが故に。


 今回、この場所を訪れた理由は定期調査のためだ。

 ファイウダルの森にある〈封窟〉(元 ファイウダル洞穴)の最深部の封印結界また洞そのものの変化を調べよ、という内容の依頼だ。

 必要ギルドランクはC以上。ただ離脱特化魔法取得者もしくはチーム内にいる場合にのみ依頼されるものであった。


 〈封窟〉へと名前が変わったのは6年前。変わる前はただ最深部が広い洞窟だった。しかし、事件が発生した。


 技術の革命者にしてSランク認定者。ククラ=ニーツ(25歳女性)が失踪したのだ。誰もが割の良い仕事と思うような報酬に群がり、捜索した。失踪発覚から11日後、ファイウダル洞穴最深部にて封印状態で発見された。発見者は話しかけたが返答がないことを確認し帰還。

 その後、ギルドの議会により扱いが決定された。


【封印結界には触らず。封印とその洞窟自体への定期的調査を行うべし】


 皆、謎だと思ったが深くは探らなかった。Sランクを切り捨てたのだ。相当に深い何かがあると思ったのだろう。

 定期調査は今のところ高評価である。ダンジョン化や虫型魔物の爆発増殖を察知し対処出来ているからだ。

 たまに結界の破壊を目指すという者が現れるが……全て失敗からの制裁となっており、馬鹿のする挑戦となっていた

 それを砕いた存在が目の前に…………


「戻れ! サラネ!!」


 先に立ち直っていたフーノに、思いっきり顔を叩かれた。

 私達に依頼が来た理由は私が離脱特化の魔法を持っていたためだった。

 無慈悲な状況を確認しながら頭を振り。


「《完断移動》の準備時間を!!」


 スキルの行使へと意識を集中させる。

 凄まじい集中と魔力を引き換えに、完全に姿や魔力、音等を2日間遮断するスキルだ。ただ使用した場合、10日間はまともに行動出来なくなる。噂では寿命も削っているそうだが……最早気にしてなどいられない。そんな緊急時になってしまった。運が悪い。


「あぁ!」

「しっかり稼いでやるよぉ!」


 二人とも決死で時間を稼ごうと動く。緊張はこれまでで最高のものだろう。

 敵から目を離さずに行使に集中してゆく。

 フーノが大上段から飛び斬り。が突如、外套が伸び剣を弾く。ドルキがその下から突きを入れるが、これも腕によって弾かれた。隙であったが反撃が来ない。


「野郎……舐めてるなぁ」

「見せてやろうぜ! 人間の力を!!」


 二人の動きが速まる。しかし憑依体も追い付く。


「ぬぅりゃ!」


 フーノのスキル《重撃》を乗せたであろう横斬りが外套の剣に当たり、憑依体は吹き飛び。


ザザザザザザッ


 外套が複数に分かれて地を刺して勢いを殺した。その硬直に投げナイフが投擲され、本体に当たった。

 ドルキは状態異常系の付与等が上手く、よくナイフ等に麻痺を付与していたりする。恐らく彼が投げたのだろう。


「今だ! フーノぉ!」

「まかせろ!」


 フーノの周りが赤みを帯びる。《破撃》…彼のみの身体能力上昇スキルである。上段に構えてから先は見えなかった。たぶん走ったのだろう。目で追えなくなった彼の一撃は……


ブォン


 …………どこ? ……消えた…? 答えはすぐに明かされた。上から降って来たのだから。


「嘘…」


 そんな言葉が漏れる。外套、鎧……全てにまともな傷が見受けられなかった…ナイフでの傷も回復している。逃れる事が不可能に思えて来た。


「あの~……お話したいだけなんですが……」


 信じられる訳がない。いや信じるしかないの?


「集中しろ!! 生きて帰るぞ!」

「見てると気が散るな……サラネ。後ろを向け。」


 ……信じるしかない。彼らを!! 私は二人に背を向け、集中し直す。

 後ろでの音は一層激しくなった。彼らの呻きが聞こえても、すぐ近くで剣戟が聞こえても。


「一旦、落ち着きましょうよぉ!!」


 明らかな虚言が聞こえても、集中した。

 そして遂に準備が完了した。

 私を中心に範囲の膜が見える。一瞬待ち、二人が入ったと信じて発動する。


「《完断移動》!!」

スキルはまんま読みです

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