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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
58/261

代償

多分、一番の謎回


読まなくても問題ないと思う。

『決定後、即、決闘ねぇ』

『一体どんなものになるか』

『どっちも逝け……』


 決闘の噂は翌朝には流れていた。情報収集力が桁違いなのだろう。街角で聞いた、が悪事千里を走るかのようだ。


 レクス王にも話が行ったので大事になりそうである。何せ明明後日になると思いきや。


『決闘は七日後。国立闘技場で行う』


 と向こうからの手紙が、ドッペを伝に来た。こちらの世界では住所不定だ。家を持たないとならないのをすっかり忘れていた。

 折り畳み式仮設住居迎撃機能付き、の《物体変化》が万能過ぎた。


 娘が根なし草は、流石に不味いだろう。爵位と領地も抱き合わせになる可能性がある。経営を丸投げで、実質的な領主は派遣の方になるな。そして下克上狙い、撃退、腫れ物化……もう嫌になるな。紛れて夜逃げした方が楽。


 セットで反逆された時のルートが構築された。


[ほえーよはせ]


 さて、決闘前に潰しに来ないか気にしてないとな。かといって今は判別不可能だろう。土竜系獣人が謎に居らず、地面は誰も農耕・建築以外では手をつけていない。しかもコンクリートの流し込みや、魔力管が通ってる訳でもない。

 更に俺の変化の幅も広がり、蟻となって掘ったのだから誰にも気づかれなかった。遠目にアリクイかバク系が見えた時は、暗黒意識を覚悟した。


(主よ! 戻りました!!)


 声の主を辿る。あぁデュラムだったか。


(おぅ。お疲れ)

(早速、御見せしたいのですが)

(諸事情により地下で外套内だ。空いた土地を探すからま)

(でしたらおまかせを! 寒冷耐性を上げましたから!)


 見た目として引かれる割合は少ないが、食料と思われないだろうか。また問題になれば、決闘へのペナルティが発生する可能性も捨てがたい。しかし復帰したてでやる気のある時に、仕事を与えないのは………。


(よし、なるべく戦闘技術を使わないように探せ)

(はっ!)


 いきなり地上に召喚は混乱の元なので、地上に俺が出てから。


「俺も適当に歩き回るから」

「了解」


 それでも人だかりはできるが、仕方がない。

 しかし………羨ましいな。モフモフの子供に群がれても問題にならないのだから。よく見れば挟みだったものが、手になっていた。



 そして血の気もとい本能的なのが獣人だ。デュラムと別れて1時間ぐらいだろうか。


「おぅ兄ちゃん」


 非常に自然な声かけに振り向くと、拳が飛んで来た。微動だにせず。


「何か?」


 拳を頬につけたまま話す。相手は猿顔……人に近くて躊躇わせるタイプの奴だ。


「ヒーヒヒ、お前をここで倒せば満足なのさ」


 詳しく分からない。まぁストレス解消したい時に、俺の噂でも聞いたのだろう。前世界でも怨みを持った人間が、インターネットのネタから凶行に走る事もある。


[で、ニュースじゃ怨みとネタの順序が逆と]

(それは言ってはならない)

[他には、悪意ある切り取り・溶接に悪意ある無編集を混ぜるとか]

(それの範囲が伝わってないな……)

[やーいやーい。前提相違~~~。ちゃんと全部説明しないと負けるよ? 主にアメリカで]

(古い裁判での話だろ?!)


 《内演算》と話しながら拳を捌く。うまい事、大通りへと誘導出来ないだろうか。


「あぁん?! 腰抜けが!!」


 そうなんだ、腰が抜けても相手出来るんだよ。相手は決着目的で、こっちは有耶無耶目的。そして何より。


「おらぁ来いよ!!」


 そんな風に顎を出されても、俺は防御と回避しか考えてないから。その内、暴れ疲れた所で簀巻きにするか。あっ、紐ないや。

 

 地道な誘導が功を奏し、そこそこの人通りになる。

 ここで狙うべきは、弱者の振りだ。最初に殴られたのはどちらか、第三者に知らしめて。


 まずは腹への殴打、体がくの字になる。次に顔への蹴撃、思い切り転がる。

 しまったぁ!! 露店の商品が犠牲に! これ賠償はどうなるんだろうか……決闘に影響が出ないと良いなぁ。


 その後は馬乗りにされ顔や胸への乱打。とはいえ相手としては、優勢な気になれないだろう。一切の傷や腫れがないのだから。


「なんなんだよ!? お前!!!」


 鼻への右ストレート。骨折がなければ鼻血もない。


「何か言えよ!!」


 左フック。壁を殴ったような痛みが走ったのか、肘を押さえる。

 

 衛生兵と憲兵さんが来たな。じゃあ、お望み通りに何か言ってやるよ。


「ショコランラッペリッチャァ」


 そう言いながら尻を軸に体を回転させる。重心が傾いていた猿顔は転げ落ちた。

 思っていたより回転力があったが、詠唱として判定されてない事を祈る。


 こんなので詠唱になるなら、万事が悲惨に解決してしまうアレも可能になるからだ。全能神の領域を遥かに冒すチャラ……世界が滅茶苦茶になるのが見える。


「どうされました!?」

「何か彼、イライラしてたみたいで……初対面で殴られましたね」

「怪我はない………ようですか」

「はい。まだ居なくちゃ駄目ですか?」

「帰ってもらっていいですよ」

「ではお任せします」


 手早く、時間的拘束がない事に感動した。






[2:47]


「今日のシュアをダイジェストで」

[完全変態だ………]


 もはや犯罪者と変わりない、生活スタイルとなってしまった。一般人に技術と時間を与えても何もなかったが、魔法と能力は禁忌だ。扇風機の強程度の風でも、持っていれば毎日スカート捲りに悪用するだろう。

 

 そして俺の場合、現実に多くの影響がでるくらいに創作物に没頭していたのだ。

 心の底や魂から涌き出るエネルギーが『合法な手段では足りない』『合理的な方面に不向き』で犯罪、放棄に染まり易いのを、病気と断じ取り締まるのが前世界だ。その止めるシステムがなくなった時、人は暴走する。

 元より暴走気味な俺を止めるものは消えた。

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