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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
57/261

追加された試練

〈トゥルズ〉の味どっか書いてたっけ……

…まぁ無視でいいや。タコはお初ではないし

 〈フェリオス王国〉の港へ強引に到着した。期間内に戻れたので試練への悔いはない。シュアが今は無理だったとしても、後々の離婚及び未亡人になった時に貰えればいい。彼女が幸せなら潔くだ。

 

 その間に他の種族と挙式するだろうが……。格付けや序列で非常にドロドロしそうだ。それを避けるなら、彼の土魔導師のように三人程度が丁度いい。


[一人にしろよ]


 相手の猪鼻は既に到着している。余裕を持ったと見るべきか、他の仕事もあるのかが分からないが。不服には互いにならないはずだろう。


「あの~ゼノムさん」


 前に見た鷹顔だろうか。腰を低くし、何かを聞き出そうとしている。


「何でしょう」

「あの氷は邪魔なのでどうにかしてくれません?」


 至極全うな意見だ。蟹山を置くために海を凍結させたのだから、出航に影響がない方がおかしい。これは失敗だ。


「今回捕って来たのはどこに渡せば?」

「我々が引き取る事になってます」

「了解。後あれ以外にも」


 収納空間より〈トゥルズ〉素材を出す。こちらを見ていた全員が口を開けて事象の整理をする。


「それは……」

「〈トゥルズ〉でしたか? 探してたらいつの間にか………大変でした」

「強ぇえな! あんちゃん!!」


 ガタイのいいおっさんに背中を叩かれる。完全に想定外の鞭打は地味に痛い。

 

 その後は場の乗りで、酒樽を飲み干す事になった。悔しい事に酔えない。体と精神が乖離でもしているのか……。こっそりお代になりそうな物を置いて抜け出し、素材を渡しに行った。


 〈トゥルズ〉素材を出し続ける。作業場の空気がいつもの事のようになる。うーん大暴落しないか心配な量だな。〈キテル〉素材は勿論、出さない。

 凍らせた蟹の山も崩し、海の氷も割った。城への呼び出しまで数日は暇になる。


 見るものと言えば、到着後のシュアの様子だろう。《空間陸覇》になってからは空気や衝撃波で、どうなっているかが分かる。しかも範囲がとてつもない《内演算》が内緒にしているが、10km以上は先の室内シュアを事細かに見れるのだから。


[赤裸々DA☆ZE]

「流石過ぎる……」


 本当に全部撮った上に。


[デフォルメの時間だ]

「神絵師」


 ミニキャラ絵に変更してくれる。見覚えのある画質、画風であれば完全にトレース。画材さえ揃えば全て描けるそうだ。

 

 能力的には、前世界に帰っても『文句なしの神』と5やTやYやニで言われるだろう。精密動作、記憶力、総当たり発想被り検索……道具を使おうが素手だろうが、やれる事が多すぎる。いやむしろ『やれる事が豊富過ぎる』という事で『イメージが固まらない』等の文句が出るか。


 試練は一体どうなったのだろう、規定量を越え彼より多く捕れたのか……。


 町を適当に歩いていると。


「師よぉぉぉおぉぉぉぉぉ!!!」


 遠吠えのような叫び……間違いないドッペだ。一体どこから俺の匂いを嗅いだのか、疑問は尽きないが動かないでおこう。


 3分程経って姿を現した。目が怖い、憎悪と見紛う位に〈トゥルズ〉を待ったのだろう。


「触手ぅぅぅぅぅうっ!」


 そこそこ周りへの迷惑だろうと思い、上にデコピンを放つ振りをする。瞬間的に叫びと猛進を止めた。陽気な足取りに変わり、距離を縮める。


「さぁ、晩酌と行きましょう! 〈トゥルズ〉を!」


 [5:11]24時間体制が、要人警護や看守しかないのだから当然か。そしてこいつは勘づいている。素材の全てを出した訳がないと。




「これより試練の結果を伝える」

「はっ!」

「は"」


 声が少し変だが原因は知れている。連日の〈トゥルズ〉と酒、トドメに〈キテル〉のゲソが凶悪だった。酒と〈キテル〉は合わせてはならなかったのだ。胃袋から喉へ這い上がる混沌の触手……そんなものになってしまった。


 レクス王の御前であるが仕方ない。声が悪いからと断れないし。


「だがその前に、王が試練中の話を聞きたいと仰った。アルゴよ」

「は! 私は旧知の者と共に___」


 語彙力が凄い。全うに勉強というものをした者にしか出せない。引き込まれる……小説として売れるなこれ………。


「ではゼノムよ」

「は! 私ば……あのような出発後、到着と共に気絶。起きてからは海の魔物と連戦。特に〈トゥルズ〉とそれが人型になった存在が強く、人型の方にいたッでは19日間も戦闘を続けました。撃退後に蟹を集めて氷付けにし、投げては持つを繰り返し港へきがんしました」


 レクス王の眉が人型の所に反応したが、それ以外の反応はなく、声質に関しては何もない。セーフだ。


「あぁ、双方ご苦労であった」


 うーん寛大。多分8割は聞いてないし、2割も自己解釈だな。そういうものとして受け取るか。


「では漁獲量を発表する。アルゴ・ベラ・デ特大5箱、大2箱! ゼノム・ルマ=アウゴ特大4箱、大3箱!」


 大臣から量が箱単位で伝えられる。負けたか……………暫くこの国からは離れよう。シュア以外を老若男女構わずモフりそうだ。しかし残念だなー、あんなに仕込んだ女の子が他人に渡るなんて。

 ま、アルゴ君。美味しくいただいてくれよ、至高の美少女を。


「よってゼノム・ルマ=アウゴよ。我が娘シュア・ラ・フィエータとの婚礼を許可する」

「「[なっ?!]」」


 どうしてそうなった??!! 大臣!? お義父さんが乱心しましたよ!!


「何故! 何故でしょうか!?」

「我は次がある。細かなのは大臣に聞くがよい」


 良かった、そこまで乱れてなかった。いやにしても何がどうなったのか、まるで意味が分からんぞ。


「大臣! これはどういうことだ!!」


 そりゃキレ気味になるわな。寒い極限状態からの帰還で、目標の達成が出来なかったのだから。目上とか忘れちゃうよね、絶叫や言い逃れ記者会見とかあるあるだし。

 

[ん? あるあるになってたら不味いやつでは?]


 大臣はため息をついてから。


「今回のお達しは何と言って始まりました?」


 何とも意味深な発言をする。これはあれだ、重要の相違が発生してる。


「蟹を捕ってこ」

「違います。過酷な試練を与える、です。貴公とゼノム、どちらが過酷でしょう」


 成る程そういう事か完全に理解したわ《内演算》が。


「それは……!」

「貴公の船には魔物避けが付与されて、しかも仲間も居ました。対してゼノム氏は一人で〈黄緑海〉へ向かい、19日間戦い続けたのです」

「では何の為に蟹を!?」

「過酷な試練の為です。詳しくは王も仰いませんが……代々伝えられるのは『その時、考えられる中で最も過酷なもの』なのでしょう」


 相違どころじゃねぇ、前世界人からすれば過失級の秘匿だ。

 アルゴ君! 起訴して!! 前世界の裁判なら勝てるよ! こっちじゃ過失と認められそうにないけど! 試練のやり直しとかシュアとの結婚権も、俺が認めないけど!!


 大臣もそれを伝えると退室。その後警備員に連れられ、俺等も退室。


「………」

「……生きてるから次はある……試練は無駄じゃない」


 何とも可哀想に見えてしまい、何も考えず慰めの言葉をかける。すると彼は一度こちらを見て。


「次……次の手……権利……権利の奪取………」


 ボソボソと何かを組み立てている。あぁ違いないこれは、かけてはならない言葉だったのだ。少なくとも後日に思い付くものだった。


「王は……決闘で……」

「何か思い付いたのか?」

「その通りだゼノム・ルマ=アウゴ。貴様に決闘を申し込む。懸けるのは……シュア・ラ・フィエータとの婚礼権だ!」

「いいだろう。しかし明後日より後にしてくれ、万全な状態でないとな」

「成立だな………俺が彼女の……この国の次の………!」

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