忘れた事を忘れられない
合間回
「まさかこんな短期間にもう一回するとはな」
「うそでしょ~~遊びたいのに~~」
「叩き起こし方が」
「「それはお前が悪い」」
〈神会〉の召集が、恐ろしく短い期間で行われる。やはり今回の〈ゼノ〉は格や迷惑度が桁違いなのだろう。全員そう思っていた。
「おぉー集まれてる……」
「ヴェラド様の為でしたら」
「そうか。では全員主席で〈神会〉を始める」
「それで〈ゼノ〉の動向は……」
ヴェラドは少し残念そうな顔をする。センペカは、何がまずかったのか理解出来ない。今、自分等が召集されるような大事と言えば〈ゼノ〉のはずなのに……。
「確かに今回集まってもらったのはか〈ゼノ〉関連だが……我々の不手際が発覚した」
全員が緊迫した。〈原初球〉から出る際に失敗があったということだ。非常に大きな責任……〈奈落〉第二号となる事を覚悟せねばなるまい。
「これを見て欲しい」
卓の中央に、緑がかった光の像が浮かぶ。その特徴はまさしく。
「〈キテル〉か………」
大問題が発覚しかも。
「〈ゼノ〉が戦闘中ね。どっちが勝っても〈原初球〉には大禍だわぁ」
〈ゼノ〉と〈キテル〉という厄災性質が、真っ向からぶつかり合っている。レクスが結界の張り直しをしていなければ、星が死んでいただろう。
エーウェンは更にその先を見た。互いを吸収した邪神か魔王を。
「いや〈ゼノ〉が勝てば厄災は少ない」
「ラビオン? 何を言っているの?」
「〈万象庫〉の検索結果だ」
卓の中央が切り替わる。〈ゼノ〉が一人の獣人に骨抜き状態なってる像に。
「「「………」」」
「うむ。若いな、これを利用すれば平和的に解決…」
「番外魔王を放置する気か?レプト」
「ここまで虜になっておるのに、強化に時間を割くか?」
「甘い。奴の貪欲さは、もはや此方を意識し始めている」
「〈ハスト〉の末裔がそういう発言したな」
ほんの一部の発想が追い付いてしまった。隠蔽しようにも出来る事はない。〈ハスト〉への干渉条件が一切、抵触してないからだ。〈ゼノ〉と違い、あり得る強さと勢力なので上位者の干渉が出来ない。
狙ってやってるとすれば、かなりの策士であろう。
「確かに〈ゼノ〉は少女一人で止まる。しかし必ず対処プロトコルは、しなければならないのだ」
「流れ弾こわ~い」
「その通りだ。傷を付けた存在を決して許しはしないだろう。そして〈魔王〉となり、傷付けれる世界にした神への復讐を始める」
まさしく〈ゼノ〉の性質通りだ。神をも恐れぬ、魔物にして魔物らしからぬ存在。
「で、本題は誰が回収を忘れたのかだ。罰則は出た後から考えるからな」
とはいえ海の領域。しかも北のとなれば大体の目星は付く。そうでなくともこの。
「…」
両手で頭を抱え口を開け、上を見ている魚人だと。
「考えられる訳を聞こうか」
ヴェラドは静かに話しかけた。しかし誰も目を合わせきれない。合わせたら魂が吸われそうだからだ。
2分程経って、その魚人は話を始めた。
「北海の水の民が移動したのは、最終崩壊の最中でした」
レプトとグリナが顔を手で覆う。それは確かに忘れるだろう、と思ってしまったからだ。
「大陸が壊れ、海は荒れ、天は常に雷が迸って……種族の存亡をかけた状態で星を離れる。もはやあれは移動ではありません。避難です」
フローが悪い顔をしながら、像を切り替える。まさにその移動中だった。
雷により焦げる者、突然の大岩に潰れる者、海に呑まれし者、後続に圧殺される者……そんな中での星間移動だ。
ヴェラドはフローにデコピンをしかけながら、像を切った。
「忘れるような出来事の最中とはいえ……」
「処罰は如何様にも」
しばらく考えた後に。
「素体4万年」
地味な残虐性と救いのある刑罰を下す。こればかりは仕方がないものだ。忘れてはならぬものを、忘れたのだから。
「ねーねーヴェラド~」
「なんだね? フロー」
「〈キテル〉と〈ゼノ〉の戦いどうなってるの~?」
「18日目を迎えた頃だな」




