試練4
シュア・ラ・フィエータ:犬・狼系獣人。の筈が尻尾の付け根を撫でたり、つついた反応は猫である。
獣人は獣種別の特性と、全種族と交われる人間の特性が合わさったもので。
父はライオンで母は狼。父方の祖父はウサギで祖母は虎。母方の祖父はタヌキで祖母はキツネ。
と混沌とした血縁なのが原因かと思われる。
ゼノムは血縁等を知らず『犬の親父が獅子とは…養子か?しかしそれだと第一には…』と思考に時間をとられている。
__なお現在、父レクス以外は旅行中であり、失踪事件を知らない。
「オラオラ!! 早く逃げねぇとひき殺すぞ!!」
「■■!?」
[□□□□□□□……□□□□□□□□……]
「■■……」
〈トゥルズ〉三体の撃破後、蟹を集めつつ〈黄緑海〉に向かった。消化器官の問題なのか蟹を見ても〈トゥルズ〉は見向きもしない。試しに口に押し付けて食べさせても、一口噛んで吐き出した。
穴場として期待し突き進む。近付く度に遭遇率が上がって鬱陶しくなり、ドリルで進んでいた。
勿論、正面にある物体は貫き螺旋の傷を残して行く。柔らかかったら、ハリケーンの扇として使えただろう。軟体動物モチーフのはずなのに柔らかくなかった。
そして気分は高揚に絶頂が足され、手が付けられない。
[□□□□?]
「■■■■■! ■■■■!?」
[□ □ □]
「■■■■■■■■■■!!!」
[□□]
《内演算》も好き勝手に会話を繰り広げる。いったい、どこに居る個体と話をしているのだろう。
気にはなりつつ轢殺。海の事故として処理してくれ。
起きてからほぼ1日中移動し〈黄緑海〉に到着した。文字通りの色だ。そして目がいい方ではあるので。
「ウゲッ」
[ダイス振れよ]
中が見えて嫌になる。蠢き過ぎた。70レベル差で撤退させた彼の公の部屋のようだ。
視線が俺に集中し、ひどく緊張する。しかしそれ以上はなく、まともに動きは出来るようだ。
「「「■■■!!」」」
[そうさ、私だ。□□□□]
翻訳のヒントをくれた。恐らく断末魔あたりが飛ばされて、警戒中だったのだろう。今その標的が現れた、ならば始まるのはただ一つ。
闘争だ。
景気付けなのか白い球がボコボコと見える。放射線とか考えると非常に悪影響なのだが仕方ない。〈トゥルズ〉側が使っても問題ないから使われるのだ。とはいえ創世存在よ、何故こんな存在を産まれるようにしたのか。2時間くらい問い詰め、話を聞きたい。
前世界の友人の性癖よりは理解出来るはずだろう。彼のアレはレベルやIQ、言語の領域を超越していた。宇宙の動画を見ている時のような、オムニバース規模の創作キャラの解説を見ている時のような意味不明さ、神が思考回路に入れたはずのストッパーが外れてるような感覚。あれは新たな領域だった。自分の考えの先を行かれたように感じ興味深く、話をしてもらい収集した画像を見せてもらった。
話や画像は……理解が及ばなかったが、異世界なら同じ状況は作れる。程よい年と見た目と声の高さと業を背負った女さえ見つければ、検索から漏れてしまう彼のストライクゾーンを。俺の収集画像を見て頭痛とかを引き起こした上に、とんでもない事を言い出した彼の許容範囲を。「無」を性的に望む彼の一端を………!!
[えぇ…………]
「「「「■■……………」」」」
「ん? 漏れてた?」
どうやら友人への思考が漏れていたようだ。しかし、彼の好みは異世界のスキルと邪神の端末にさえ理解されなかった。一体、前世で……いや彼の魂の始まりで、何をしたらそうなるのだろう。
今、邪神の端末がドン引きしてる。間違いなく魔法やスキルは精神力に直結するものだから………。
「………彼を思い浮かべれば討伐が楽になる………」
[やめろ。戻れなくなるぞ]
「心配するな。俺は同一種族に恋はしない……精神攻撃としての愛着は沸くけどな」
「「「「「■■…………」」」」」
明らかに動きの鈍い〈トゥルズ〉を屠殺していく。もはや気分は食品加工の機械だ。私は機械、精密的な動作をし続ける機械、見かねてスタートボタンを作られる機械。
〈トゥルズ〉が珍妙な踊りを始めて固まる。『今はおろか来世でも理解出来ない』という同質な行動で、俺の思考への対抗手段とする気か。
[単に狂った説]
ないな、邪神の端末がそんな事……いやあり得る。だって目の前の現象しか考えてないのに、踊り続けているのだから。
試しにゆっくりと《物体変化》の手でつまみ上げてみる。踊ったままだ。
食べよう。〈粘性体〉形態になり包み込む。やはり抵抗と思う動きに変わらず、踊り食いとなってしまった。
「あいつ強過ぎだわ……」
彼を思う俺の精神力の勝利……よりは、彼の思考の理解がキャパオーバーを招いたような勝利だ。
愛した人を想っての逆転ではなく、狂人の中の狂人で逆転した。なんとも主人公らしくない。いや逆に考えるんだ、敵から学んだと。
いつの間にか前世界の友人が、敵となっていた事に鬱になりながら、踊る蛸を処理した。
[それで? 終わりか?]
「いやまだだね。親玉が残ってる」
〈トゥルズ〉にはサイズに差があっただけでなく、人のような足や手、翼の生えた個体もいた。これは確定的に全部ある大型個体がいるだろうと思い、捜索を始めた。
潜っても《内演算》の声にもかからない。目星は付いてるものの少し強気に行かねばならない。封印を早速、解放するのだから。
「〈水神龍王〉発射準備」
[システムロック解除。魔素充填開始。砲身、固定します]
威力不明を海溝にぶちこむ。下手すると星に穴が開くはめになる。まぁ、ラスボスに地球壊されて、妖精の力で戻したアニメもあった事だし大丈夫だろう。
[お前の方が邪神だわ]
「邪神の端末だ。二度と間違えるな」
[たかだか性癖でどんだけ神格化すんだよ………ぬ?!]
またも異常が発生か。一体…。
[ヒャッハ-ーー! 悪性吸収感知で座標確定!! 範囲狭化!!]
それって実際はそう思ってないのに、邪神って言ったのが原因だろうか。彼に非常に申し訳ないのだが……。
[知ったことか!! それより詠唱頼むわ!!]
詠唱要求か……名は変えないとして………。
「生命の原点。その流れは真に静態。されど我が望みしは激流。激昂する下り龍が如し、憤怒に染まりし王と刑人が如し、他信者への神が意志の如し。一つに纏まれ、水に集え。そして我が門より放たれよ〈水神龍王〉!」
ただ単に超高圧噴射と思っていた。これまではそうだったから。
しかし放たれたのは風を纏いし弾。水を押し退け海溝の深淵に消えるが、その速さを全く落とさなかった。《攻渉補助》とは末恐ろしいものだ。
消えて数秒後。
来る。生命体としての、存在としての格上が。先に言った憤怒に染まりし王が来る。強大さの説得力の塊である大きさ、オタク型転生・転移者の見覚えがある姿が。
震えが止まらない。体ではなく心や魂の震えだ。今、こいつと戦うのは失敗なんじゃないか。逃げる?無理だな。天気が大荒れ過ぎる。何で雲がこの辺に集中するんですかね。雷の殺意も高いし。
ザバァ
大波を立てたそれは、やはり見覚えのある姿だった。
「■■? :<<\~\?j2gmpdpjm?」
「はい?」
「ナンダソレカ」
「えー分かるのかよ」
「ワレヲナントココロエル。ワレハ〈キテル〉ゾ」
確かに来てるな。トリプルミーニングとは驚きだ。まぁこれ以上の会話はないだろうがな
Q本来の試練忘れてね?
A穴場の安全性確保は基本




