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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
54/261

試練4 

シュア・ラ・フィエータ:犬・狼系獣人。の筈が尻尾の付け根を撫でたり、つついた反応は猫である。


獣人は獣種別の特性と、全種族と交われる人間の特性が合わさったもので。

父はライオンで母は狼。父方の祖父はウサギで祖母は虎。母方の祖父はタヌキで祖母はキツネ。

と混沌とした血縁なのが原因かと思われる。


ゼノムは血縁等を知らず『犬の親父が獅子とは…養子か?しかしそれだと第一には…』と思考に時間をとられている。


__なお現在、父レクス以外は旅行中であり、失踪事件を知らない。

「オラオラ!! 早く逃げねぇとひき殺すぞ!!」

「■■!?」

[□□□□□□□……□□□□□□□□……]

「■■……」


 〈トゥルズ〉三体の撃破後、蟹を集めつつ〈黄緑海〉に向かった。消化器官の問題なのか蟹を見ても〈トゥルズ〉は見向きもしない。試しに口に押し付けて食べさせても、一口噛んで吐き出した。


 穴場として期待し突き進む。近付く度に遭遇率が上がって鬱陶しくなり、ドリルで進んでいた。

 勿論、正面にある物体は貫き螺旋の傷を残して行く。柔らかかったら、ハリケーンの扇として使えただろう。軟体動物モチーフのはずなのに柔らかくなかった。


 そして気分は高揚に絶頂が足され、手が付けられない。


[□□□□?]

「■■■■■! ■■■■!?」

[□ □ □]

「■■■■■■■■■■!!!」

[□□]


 《内演算》も好き勝手に会話を繰り広げる。いったい、どこに居る個体と話をしているのだろう。

 気にはなりつつ轢殺。海の事故として処理してくれ。


 


 起きてからほぼ1日中移動し〈黄緑海〉に到着した。文字通りの色だ。そして目がいい方ではあるので。


「ウゲッ」

[ダイス振れよ]


 中が見えて嫌になる。蠢き過ぎた。70レベル差で撤退させた彼の公の部屋のようだ。


 視線が俺に集中し、ひどく緊張する。しかしそれ以上はなく、まともに動きは出来るようだ。


「「「■■■!!」」」

[そうさ、私だ。□□□□]


 翻訳のヒントをくれた。恐らく断末魔あたりが飛ばされて、警戒中だったのだろう。今その標的が現れた、ならば始まるのはただ一つ。


 闘争だ。


 景気付けなのか白い球がボコボコと見える。放射線とか考えると非常に悪影響なのだが仕方ない。〈トゥルズ〉側が使っても問題ないから使われるのだ。とはいえ創世存在よ、何故こんな存在を産まれるようにしたのか。2時間くらい問い詰め、話を聞きたい。

 

 前世界の友人の性癖よりは理解出来るはずだろう。彼のアレはレベルやIQ、言語の領域を超越していた。宇宙の動画を見ている時のような、オムニバース規模の創作キャラの解説を見ている時のような意味不明さ、神が思考回路に入れたはずのストッパーが外れてるような感覚。あれは新たな領域だった。自分の考えの先を行かれたように感じ興味深く、話をしてもらい収集した画像を見せてもらった。

 話や画像は……理解が及ばなかったが、異世界(いま)なら同じ状況は作れる。程よい年と見た目と声の高さと業を背負った女さえ見つければ、検索から漏れてしまう彼のストライクゾーンを。俺の収集画像を見て頭痛とかを引き起こした上に、とんでもない事を言い出した彼の許容範囲を。「無」を性的に望む彼の一端を………!!


[えぇ…………]

「「「「■■……………」」」」

「ん? 漏れてた?」


 どうやら友人への思考が漏れていたようだ。しかし、彼の好みは異世界のスキルと邪神の端末にさえ理解されなかった。一体、前世で……いや彼の魂の始まりで、何をしたらそうなるのだろう。

 

 今、邪神の端末がドン引きしてる。間違いなく魔法やスキルは精神力に直結するものだから………。


「………彼を思い浮かべれば討伐が楽になる………」

[やめろ。戻れなくなるぞ]

「心配するな。俺は同一種族に恋はしない……精神攻撃としての愛着は沸くけどな」

「「「「「■■…………」」」」」


 明らかに動きの鈍い〈トゥルズ〉を屠殺していく。もはや気分は食品加工の機械だ。私は機械、精密的な動作をし続ける機械、見かねてスタートボタンを作られる機械。

 〈トゥルズ〉が珍妙な踊りを始めて固まる。『今はおろか来世でも理解出来ない』という同質な行動で、俺の思考への対抗手段とする気か。


[単に狂った説]


 ないな、邪神の端末がそんな事……いやあり得る。だって目の前の現象しか考えてないのに、踊り続けているのだから。

 試しにゆっくりと《物体変化》の手でつまみ上げてみる。踊ったままだ。

 食べよう。〈粘性体(ウーズ)〉形態になり包み込む。やはり抵抗と思う動きに変わらず、踊り食いとなってしまった。


「あいつ強過ぎだわ……」


 彼を思う俺の精神力の勝利……よりは、彼の思考の理解がキャパオーバーを招いたような勝利だ。


 愛した人を想っての逆転ではなく、狂人の中の狂人で逆転した。なんとも主人公らしくない。いや逆に考えるんだ、敵から学んだと。


 いつの間にか前世界の友人が、敵となっていた事に鬱になりながら、踊る蛸を処理した。





[それで? 終わりか?]

「いやまだだね。親玉が残ってる」


 〈トゥルズ〉にはサイズに差があっただけでなく、人のような足や手、翼の生えた個体もいた。これは確定的に全部ある大型個体がいるだろうと思い、捜索を始めた。


 潜っても《内演算》の声にもかからない。目星は付いてるものの少し強気に行かねばならない。封印を早速、解放するのだから。


「〈水神龍王(アフラ)〉発射準備」

[システムロック解除。魔素(エネルギー)充填開始。砲身、固定します]


 威力不明を海溝にぶちこむ。下手すると星に穴が開くはめになる。まぁ、ラスボスに地球壊されて、妖精の力で戻したアニメもあった事だし大丈夫だろう。


[お前の方が邪神だわ]

邪神(ゆうじん)の端末だ。二度と間違えるな」

[たかだか性癖でどんだけ神格化すんだよ………ぬ?!]


 またも異常が発生か。一体…。


[ヒャッハ-ーー! 悪性吸収感知で座標確定!! 範囲狭化!!]


 それって実際(むいしき)はそう思ってないのに、邪神(ゆうじん)って言ったのが原因だろうか。彼に非常に申し訳ないのだが……。


[知ったことか!! それより詠唱頼むわ!!]


 詠唱要求か……名は変えないとして………。


「生命の原点。その流れは真に静態。されど我が望みしは激流。激昂する下り龍が如し、憤怒に染まりし王と刑人が如し、他信者への神が意志の如し。一つに纏まれ、水に集え。そして我が門より放たれよ〈水神龍王(アフラ)〉!」


 ただ単に超高圧噴射と思っていた。これまではそうだったから。

 しかし放たれたのは風を纏いし弾。水を押し退け海溝の深淵に消えるが、その速さを全く落とさなかった。《攻渉補助》とは末恐ろしいものだ。


 消えて数秒後。

 来る。生命体としての、存在としての格上が。先に言った憤怒に染まりし王が来る。強大さの説得力の塊である大きさ、オタク型転生・転移者の見覚えがある姿が。


 震えが止まらない。体ではなく心や魂の震えだ。今、こいつと戦うのは失敗なんじゃないか。逃げる?無理だな。天気が大荒れ過ぎる。何で雲がこの辺に集中するんですかね。雷の殺意も高いし。


ザバァ 


 大波を立てたそれは、やはり見覚えのある姿だった。


「■■? :<<\~\?j2gmpdpjm?」

「はい?」

「ナンダソレカ」

「えー分かるのかよ」

「ワレヲナントココロエル。ワレハ〈キテル〉ゾ」


 確かに来てるな。トリプルミーニングとは驚きだ。まぁこれ以上の会話はないだろうがな

Q本来の試練忘れてね?

A穴場の安全性確保は基本

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