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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
51/261

試練1

「■■!」


 〈トゥルズ〉が意識を飛ばしてくる。精神的対処など俺が分かるはずがない。《内演算》任せになる。ペンギンは既に狂ったようだ。


[ってな訳でお前は正気を保て]

(あぁ)

[よく考えたら既に狂ってた]

(ぁあん!?)

(■■■■■■! ■■■!)

([うぉ?!])


 とうとう割り込む存在に遭ってしまった。これまでとは比べ物にならない位の、魔法技術量が示される。

 〈トゥルズ〉以外に《内演算》との会話を悟られることがなかったからだ。感知も桁違い……下手をすれば魔法の発動が不可能になる。


ボゴ


 水の狭い流れが腹に当たる。なんて射程だ《空間覇握》を持ってしても、姿が見えない距離から一部への狙撃。

 これまでの戦いは、チュートリアルのステップ1だった。回避不能の戦いも初めてかもしれない。


 またも狙撃。全身に響くダメージ、一般的な生物だと溺死は避けられないだろう。空気吸わない生物になってよかった。


 全く魔力の弱まりがなかったか、大きな影が高速接近中。無論、圧鉄砲はより激しく散弾へと変わる。渦による対抗を試すが、強くて通る。

 水そのものを無くすべきなのだが、あれの通りなら海は封印で空中や地上に出ようものなら、真の力が発揮される。まだ神格への耐性がないうちに、そんな事は出来ない。耐性があったとして、シュアとの結婚が賭けられているのだ。弱体化させて殺した方が早くて楽。

 こいつを獲ってこい。ではないからな。


 それは姿を現した。まだまともな見た目だった。黄緑で、目や触手が明らかに多いだけでタコだった。食いてぇ、神格のタコの一味違うとこ味わいたい。


「■?!」


 畏怖が来ると思ったら、飯にされるイフの想像が飛んで来たのだ。俺だってビビる。


 その隙に銛を射出。一応は突き刺さるが気にしていない。耐久力も高いんだったか。


「■■■■!」


 よく分からない精神の波動が伝わる。桁数の都合で無限になる情報量を、頭に送り込んでくる。廃人街道へまっしぐらになりそうだ。全て《内演算》に流しているが、これが直に来たら詰みだろう。前世界からの出直しなんてしたくない。


 触手が唸る。掴みでもない殴る為の動きだ。直撃は避けれたが、水流に巻き込まれる。バランスが取れず次の一撃に当たる。


([っ?!])


 触れた瞬間、脊髄に何かが走る。気が狂う程の悪寒とも言えない何か……。少なくとも、神と人の触れ合いが禁忌的な理由の一つだ。


 岩場に叩き付けられる。痛みはないが精神的に参ってる。


[魔力が無いわー]


 今の接触で抜かれたのか使ってしまったのか。どちらにせよ不利だ。スキルの行使は出来るが、魔法は無理と言ったところか。


 体勢を整えなければならない。そう考えた俺は《座標詐称》を発動した。分身とも思えるこれを別方向へ動かし、氷の上へ向かう。


 二人に増えたと思ったのか〈トゥルズ〉が触手で各々を追う。スキルの方が多いな。

 落ちた穴を抜け、氷上に戻る。鳥共の死骸が散乱していた。穴からは〈トゥルズ〉の触手が生える。よかった、全身が出ないと解放にならないようだ。


 〈トゥルズ〉の触手を掻い潜りながら、死骸を食らう。魔力の補給にはなっているが、全然足りない。

 しかし情報収集にはなった。水中で速い理由が、スキルによるものだと判明した。つまり同じ動きが不可能である。


 とりあえず体を泳ぎの為にペンギンのようにする。これで少しは避けやすくなっただろう。

 〈トゥルズ〉も同じく死骸を漁る。そういえば水中には、魔石で感電死させた奴らがいたが。


(魔石はどうなっている?)

[ほとんど奴の中だ。中で全てを同士発動するには魔力が足りない]


 雷撃は難しいか、流石は神の端末だ。内部操作も対策も済み。これの色に海が染まるくらい、かたまってる場所がある? お手上げじゃないか。どうして自分はいけると思ったのだろうか……遅い。全てが遅い。


 触手が足に絡み付き、またあの感覚が襲う。瞬間的に《物体変化》が起動し触手を斬った。

 のたうち回る触手を食う。神話生物の一部を食べたが、魔力が少し戻って不快感を味わう程度だ。


 死骸が片付いたのか、狙いが俺に変わる。地上では斬撃が通るのでありがたい。10本ほどゲソにしたところで、地上に出ていた触手は撤退した。次の手は氷を壊しに来るだろう。その前にゲソを食らう。

 味が悪いどころではなく、魂さえも汚れていく感じがする。より深くより淵の黒さまで、堕ちるところまでとことん堕ちる。そんなイメージすら持たされる。


 乗っている氷に触手がかかる。引き込みながらその歯で、粉砕するつもりなのだろう。急いで他の流氷へと移る。

 

 氷が砕ける音がする。あの大きな流氷が真っ二つだった。そして渦を巻き底に口が見える。非常にグロテスクで、カードゲームだと修正案件だろう。


 戻った魔力で〈雷塔(エレクペタ)〉を口に叩き込む。


「■■?!」


 怯むが死なない。何て耐久だろう、神本体が出ない事を祈るばかりだ。


「■■■■■!!!! ■■!」


 未だに狙いが変わらない。やはり神は、わがままで執念深い存在なのだろう。

 

 賭けるか。ただの加護付きのタコである可能性に。海水から引き揚げる。

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