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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
50/261

出会っちまったか

 準備二日目。船だとかが買えなかった。根回しは絶大なんだなとつくづく思った。

 

 とはいえ買えなかったのは、試練の準備品と思われそうな部類であり、食材は爆買いだ。

 本当になんでも揃っていた。あのソース、あのデザート、あのお菓子……もしかすると俺やサイフィより、遥か前に異世界(こっち)に来た奴が居る。神の領域に達するか、崇め奉られているか。

 どちらにせよ障害にならなければいい。特にハーレム計画の邪魔にさえならなければ、社畜のように荷馬車を揺らす覚悟はある。株で融かす気はないが。


 問題らしきものと言えば、公園で寝転がっていたら、白犬に絡まれた。シュアと色の被りのない犬系がいないはずがない。そう考えて撫でまくり、ブラッシング、そしてダメにするソファ&健康器具で落とした。

 すると複数人に。


「何をしている?」


 と質問された。意図がよく分からなかったので普通に。


「野良犬と遊んでます」


 と答えた。犬もその人達も頭に疑問符を浮かべる感じだった。


「シュア様とは思わないのか?」

「毛の色が同じだけなのでは?もしかして白毛は、今は一人だけなんです?」


 恐らく互いに疑問符だらけ。そうしていると白犬が移動した。


「……そうだな。遊び相手をして貰えて良かったな」


 白犬に話かけながら、彼らは消えた。

 これがシュア当人なら問題だ……じゃれすぎた。いや今回のは完全に事故だろう、白毛が大国単位で一人とかどうなってんだ。確率上あり得るが、どんなもの引いてんだ。


 


 準備期間が終わり、出発式となる。完全にアウェーな雰囲気だ。

 そもそもシュアの人気が高過ぎて、誰と結ばれようが嫉妬の目が避けられないのもある。式典に出るシュア目当ての人が三割は見えるからな。

 船のチェックは二日目の夜に行われたらしい。すまないチェック員。俺の舟はさぞ、やりがいのないチェックだっただろう。


「__双方に、幸あらんことを」


 シュアの言葉が終わった。幸なんて願われたら、幸せにしてやりたくなる。

 相手の猪鼻と目が合う。お前もか……雄の思考回路は単純だな。


 乗り込み出発する。勿論、相手による大波に揺られて俺は出発どころではなかった。式の為に並べたのだろうがきつい。転覆を防ぐのがやっとだ。

 完全に出遅れ、周囲からブーイングが飛ぶ。キレた俺は。


「極限圧縮! 水圧保存も併用し、加速に処理を裂け! 港の設置物、一般市民への配慮を演算外とし最遠までを割り出せ!!」

[了解。式の修正を行います………供給魔力不足。更なる追加を]


 《物体変化》で舟を包みまたも、流線形へと変える。《内演算》に周囲を全く気にしない、推進を求めたら魔力が不足らしい。日頃なら止めるところだが大量につぎ込む。


 明らかに俺の周りが歪む。これだ、これも見たかった。力で空間がおかしくなる瞬間を…………! 待避の為の声が聞こえて数十秒後。


[行けます。]

「〈水神龍王(アフラ)〉禁圧解除!」


 更に進化を遂げた気がするので、技名を変える。気分が高揚した時の叫びなんて気にしない、気にしない。 


 解放された水…いやもはや魔力の激流だろう。それは後方に突風と弾丸のような飛沫を上げさせ、レンガを粉砕、天に轟音を鳴らす。速さに全てが線になり、視界が暗くなりゆく。速度への視覚的処理が間に合わなくなったせいだ。目を無くすのも間に合いそうに____。






[起きろ~~]

「ふぁ?! さぶっ!!」


 意識が戻った瞬間に、寒気を感じる。この体に寒さを感じさせるとは…魔法世界の寒冷地、恐るべし。

 

 《物体変化》で舟を包みながら、外を見る。液晶の向こうでしか見たことのない景色が、そこに広がっていた。

 

 氷に閉ざされた海だ。流氷同士がぶつかり、又は擦れる音。冷たさにより死を運ぶ風の音。運が良かったのか、極光も見える。

 そして生物。トドだとかペンギンとかだろう、〈トゥルズ〉の海ではないようだ。


「さてと、穴場はどこだ」

(まだ北や)


 未だに到着していない。世界の広さを感じる事実だ。一気に不安になる。こんな調子で期間内に帰れるのだろうか。


 途中に大きな氷を見つけ、上がる事にした。ペンギンのようなものに群がられる。


「コノコトバワカリマスカ」


 片言で話しかける。が通る訳がない、むしろ今ので敵意と見なされたのか、くちばしで刺しに来る。


 速い。何故だ? 俺が鈍ってるという事でもなく相手が速いのは?


[『滑り』の概念操作か? いや……ただの身体強化とみるべきか]


 《内演算》がとんでもない事を言い出すが、自己否決した。それでも脅威だ。明らかに強すぎるのだから。


「?!」


 氷が抜け水に落ちる。まずい、奴らの領域に入った。

 見れば、氷海を泳ぐというより翔ぶ鳥に変貌していた。


(《内演算》速度は?!)

[2000m/s。水中でこれたぁ、おでれぇた]


 頭おかしい。神が創ったと立証可能な世界の大半が、対戦となると人外はおろか、物理法則すら卒業している。そして環境が過酷になれば、一気に桁が変わる。魔素を考えれば前世界と、同一法則な可能性の方が低いがな。


 久々の水中戦だが、もう迷わない。水中で剣を振ろう、何て馬鹿な事はしない。


 そうして俺は、大量に小さな透明石を収納空間より取り出す。

 念能力で海域にバラ撒く。いくつか食われたものの好都合。

 

 体を貫かれる。水中移動では分が悪すぎだ、頑張れば同一速度にはなれるだろうが、攻撃が当たるとは限らない。ならば当てれるように素材を撒いて。


(〈雷散(エレスキャッター)〉!)


 石同士を繋ぐように電気を流す。射程内と、食べた奴は全滅だ。くふふ、雷属性の練習後に思い付いてから、拾っていた甲斐ががあったぜ。


 このままペンギン共を全滅……とはいかなかった。あと二回位のところで。


『■■■■■! ■■!』


 不規則な言語が流れる。引いてはいけない出目を、引いてしまったようだ。

《内演算》「タコ言語が『■』?リスペクトですか?」


俺「否定材料がございません」

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