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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
44/261

出ました

 [11:41]吹雪が止んだと《内演算》が言うので見に行った。建物の隙間から見る青い空とは違う、神秘があった。


「今から暫くは行けるな」

「お外~」


 シュアが尻尾や耳を忙しく動かしながら、部屋から出てきた。純真無垢に惹かれる。


 考えて欲しい。

 犬のように喜怒哀楽を表す美少女を。

 広いところに出ようものなら、笑顔で駆ける絶世を。

 どこまで行くか、と思った瞬間に往復し。


「ゼルーーー」


 自分の名前を呼び、押し倒し、抱き締めてくれる好きな異性を。

 たまらないにも程がある。抱き返して、撫で回すくらいに。


「わふ」


 シュアは俺から転がり落ち、俺に腹部を見せるようにして待っている。もうそんな信用を得たのか?と疑問になりながらも、腹部を撫でる。

 寝ている時には、脱いでいたのだろうか。現在、シュアはモコモコした服を着ている。これも白だ、失踪しようものなら、発見難度がガン上げだろう。

 それでも、その存在を無視しえない位に主張してくる胸。一瞬、手が行きそうになるのを、焦って動かした結果。


「?」


 シュアのあごを摘まんでしまった。寸での所で頬撫でに移行したが、あのままだと接吻から『見せられないよ!』になっていただろう。


「シュアの事、好き?」


 刹那、足が天に召されかける。戻ってきたら次は独占欲が芽生え……いや既に『成層圏(ストラトスフェア)巨人(ジャアイアント)』だった。


「好き」

「私もゼル好き!」


 当人や性格を知る者からすれば、軽いものなのだろう。真に受ける者なんていないと。何言ってるのか分かってないと。

 転移・転生者、特にオタク・マニア類にはそうではない。真に受け取ってもう一度、分かってなら分からせてもう一度、分からないまま此方の都合の良いように堀を埋めていく……我欲の実現が可能になった途端、こうなる。洗脳・常識改変してでも手に入れようとするのもあっただろう。あぁ記憶喪失にさせるのもあったな。


[その三つとも一つの作品の主人公がやってた希ガス]

(常識改変じゃなくて、真実を伝えただけだったはず)


 マニア話(?)を《内演算》とする。一秒もかかってないのが素晴らしい。


「ありがと」


 そう言って、互いに寝姿勢から起き上がる。


「じゃあ付いてきてね?」

「分かった」


 シュアがエスコートするようだ。何だお姉さん気分か?体の一部以外、縮めるぞ。




 探索一日目は何ともなく帰還。二日目に〈ハイラビット〉を七匹狩った。

 夜にシュアが大喜びで肉を貪った。犬か狼だから仕方ない。


(食べてる女の子って最高だな。舌が見える)

[うわ]

(でも録画は?)

[やって無かったら、窓からフライアウェイして一人刺した帰りに足滑らせて一階下の屋根で気絶するけど起きてから意を決して飛び込むじゃん?]


 Lv5扱いだった。解せぬ。


 


 三日目は俺に直接的なのはなかったが、シュアがクレバスに落ちかけた。

 その助け方が悪かった。その証拠として彼女は自分の胸を見ながら、疑問を浮かべた表情だ。

 助ける時に彼女の胸部と擦れた。もうこれはルートに入ったと言っていいだろう。据え膳の確率と。


[ふっ、安心せい]


 調理師のせいで。《内演算(こいつ)》ならやりかねない。俺に気付かせず、お茶にお花のエキスを入れるとか正に……教えたのは実質、俺だが。


 四日目は拠点の移動。流石に移動しないと範囲が狭すぎる。シュアがどこから来たのか、全く分からないままだからだ。

 一応はどこぞの雪山とは言ったものの、方位が全く分からず忘れることにした。


 新しく部屋を作る。ホテルの一室のようにすれば間違いない。《内演算》が照明を若干、ピンクにしたがっている。

 ナニが狙いなのは分かるが、地位とかが不明な中でやるべきではない。


[本当にそれでいいのか]


 ヤって後悔しろと言うのだろう。いや、俺は耐えるべきなんだ。


 そんな事を堂々巡りしていた深夜。シュアのベッドから異音と異臭が流れて来た。


(うわらば)

[これは据えられましたね。今か次は行け]



 五日目。どうやらシュアは、回復魔法が得意だったようだ。

 熊との闘いの中、弾き損ねた一撃で飛んだ硬化腕を、戻したからだ。大した問題ではなかったが、シュアが回収した腕と繋げた時に。


「大丈夫、ゼル? 手、動く? たまに動かせなくなる人、いるから」


 回復魔法のリスクを心配した。おそらく動かせなくなるのは、繋ぎになるように回復をかけなかったからだろう。核の見当たらない全身胃には、無問題だ。

 

 溶かしてから吸収、再生と手間をかけてたものが、合わせて再生の短さで終わる。回復も効率、火力補助である。


「大丈夫。取れた腕を治せるなんて、凄いなぁ」


 繋げたばかりの腕で、シュアの頭を撫でながらそう褒めた。


「そぅ~クゥー」


 快感にまみれた返事。表情と尻尾でも本当に幸せそうだ。いつまでも眺めていたいが、これでは移動出来ない。

 撫でるのをやめ、して欲しそうに動かなかったシュアを抱き上げて拠点に帰る。


 抱き上げられたシュアの顔が熱かった。幾度がキスを迫られたが、周囲の警戒な動きで回避。その度の機を逃した顔が、愛おしい。

 到着して、下ろしても動かなかった。先に部屋に入ろうとすると。後ろから抱かれた。


(あぁもうこれ駄目だわ。今夜決行だわ)

[ktkr]





 [23:10]薄いピンクの暗がりの中、彼女が動くのを待つ。ヘタレと言われるだろうが、俺から行くと更に大問題への発展が見えるからだ。


 数分待ってモゾモゾと動き始めた。俺の布団の中を、上がってくる。


「ゼル、起きてる?」


 熱のこもった囁きを耳元で聞かされる。返答代わりにまず、右腕を彼女の腰に回す。

 潜りこんだ時点で彼女からやったのだ!


「起きてる」


 顔を見ずに小声で答える。まだだ、まだ顔を見て答えるものではない。

 次の質問を待つ数秒のはず、が時は加速し数分に感じられる。


「最近の私……どうだった?」


 与えてしまったここ二日間の話だろう。24時間、一緒なら変化が見えてても当然だ。


「初日より可愛くなったね」


ポスッ


 俺の腹に、軽く拳が振り落とされた。違うけど嬉しいといった所か。


「ゼルの近くにいるとね……何だかムズムズしちゃって……」


 彼女は自分で弄った部分を見ている。来るぞ、ブツを決めろ俺。


「ゼル……何か分かる?」

「分かる。体を使って感じるものだから………」


 あぁ理性よ、大脳新皮質よ。しばしの別れだ。また会う時まで…。


「シュアと俺の体を使って教えよう」


 ようこそ大罪、本能。一対一だが酒池肉林に入るぞ。

俺「もう《内演算(こいつ)》さ、『演算』じゃなくて『輪話』でよくね?」


《内演算》「?!」

《座標詐称》「流れきたなこれ」


俺「《自動攻渉》は《手動少々》で」


《自動攻渉》「…ぅん…」


俺「他は……また後でな」


《錬成》「今日は生き延びることが出来た」

《物体変化》「まだ……日は東だぜ……?」

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