日帰り島
次回で確実に正妻を出す為に詰め込む!
読み辛さなど知ったことか!
「すまないな……まだ治ってないだろうに」
「手が駄目なら手に、足が駄目なら足となる。それが役目です」
あの後も水流噴射により、四肢がもげたり頭頂から尾骨にかけて2つになったりと、戦闘でもないのにスプラった。
粘液なので足りなくなる事はないが、見たくないので《内演算》を抑えこんだ。
だが処理速度を追い付かせる為には、制止状態になる必要があり進まない。故にデュラムを呼ばなければならない。休んで万全に役立ちたいだろうに……すまない。
[初級な回復魔法も薬草の抽出も無理だったしな]
まさかの回復魔法不能なタイプであった。自己修復機能に回復力を回し、超高品質が約束される変わりに、他人に使えないポーション生成。汎用(万能)ではなかった。
「高速接近中!」
デュラムから知らされる。速い海の敵……カジキか?ともかく戦闘準b。
[待ってたぜ!この時を]
「デュラム!戻れ!」
「……?!はっ!」
気が緩んだのか《内演算》が操作を始めた。対抗は間に合わないと思ったので、デュラムを戻した。
目の前がまっくらになった。米が遅い怒りを発散したのか、保護をするつもりなのだろう。見た目はラグビーボールになっているはず。
圧力が一気にかかる。出港時のは本気を出していなかったのだ。本気でやれば俺はなびく。
発射音が止まない。まっすぐに行かず、変人的な挙動になっているのを察する
[振り切れねぇ……じゃ。よろしく]
上半身まで外に出された。撃退しろと言うことだろう。どんなものを相手にするのか、非常に楽しみである。
飛沫がいくつも見える。群れだったと確認したところで背中に衝撃。低空なはずなのに……となると相手にしているのはトビウオか。前世界ので、時速50kmを越える種類があったはず。もっと速くなっていてもおかしくはない。
着水と同時に俺狙いの飛びが多くなる。《自動攻渉》で対応するも、鱗が堅いのか通らない。顔の正面からだと貫通するようだが、調整する暇がない。
ジリジリと体力が削られていく。一旦、立て直したいが陸地はつくるしか。
[あったわ]
右に向けようとした首を強制で左へ向けられ、変な音を鳴らしつつ見てみる。開発されてなさそうな島が見えた。
(あのでっかい鯨じゃねぇよな?)
[ん]
〈エルダルマテリ〉でもないようなので目指す。勢い余って上陸してくるのもいるだろうが、上がってしまえば独壇場。負ける訳がない。
一気に距離を詰める為に圧力を強める。噴射の音が爆音に変わる。それでもトビウオは追跡してくる。これ一般的な船でも沈むわ。
上陸してからは一方的……上がってしまった魚を捌くだけだった。適当に木を切り、焼いて食べた。非常にいい硬さで、よく噛んで食べるのが極上。
[誰か来る]
《内演算》が人型の何かを察知したようだ。顔を前世界よりに整える。原住民との遭遇になるか……これまでは言葉が通じていたが果たして……。
走ってる少年が現れた。亜人ではないのにガッカリしてると。
「救助か?!どうなんだ!!!!」
かなり興奮して話しかけられた。非常事態から無人島生活を余儀なくされたのだろう。ボロボロの制服らしい服から察せられる。
「いや、あれで旅をしているものだ」
少年は舟を見て崩れた。希望には見えなかったのだろう。どちらの大陸から流れついたのか分からないが、慰めるべきか。
そういえばサイフィの地図は大陸全体だったが、上陸せずに帰ったはず……掘り出し物の可能性があるな。
思い出していると、少年は立ち上がり覚束ない足取りで、奥の森へ向かう。自殺しそうなふらっと感だ。それは絶対に阻止しなければ。
「お前の住み家に一緒してもいいか?」
「……勝手にしろ」
一応の許可は貰えた。極限状態にまで敬語の要求はしないでおく。
森を奥へと進み10分後、何とも原始的な家に到着した。木を立て掛け、上に葉を乗せた家だ。周りには様々な作業の場所もある。
「家には入れるが、寝る場所はないぞ。自分で作りな」
今後の遭難者の為に大型に作っておこう。そんな風に考えれる遭難者がいる訳がない。いたとしたら、日頃からまともな道具なしにDIYをする人だろうな。
「失礼しまーす」
本当に人が一人で寝起きする空間しかない家だ。二人も入ると狭いにも程がある。
「じゃあ暇だし……お前の身の上でも聞こうか」
「……はぁ……面倒くせぇ……」
そう言いながら一応の説明はしてくれた。感極まって泣きわめく時もあったが要するに。
・修学旅行で船に乗ってたら落ちた
・目覚めたらこの島にいた
・目覚めてから半年は経った
という事だ。話を聞くに転移でもなさそうである。地名や学校名に聞き覚えがないからな。
「次はあんただぜ?」
「そう面白くはないのだがな」
逃げの言葉を言ってから俺の話を始める。ほとんどドン引きであった。
「てかあんたので普通に帰れそうだな」
「お前乗せてだと、速さが足りないからさっき出た、トビウオにボコられるがな」
「……置いていかないで」
「流石にそれはない。目処が立つまでは俺もここで生活する」
未だ実験段階の魔法があるが、それが実戦で使えたら脱出としよう。
実験段階の魔法……雷、電気の魔法だ。無理矢理、発生させるのが難しい。更に発生させた電力をどうやって対象に伝えるのか、考えなければならない。腕から発生させて海に浸ければ、不純な水である海水を伝わり感電させる事が出来るが………カッコ悪い。
指定した点に、落雷がいく位のものが最低限。頂上は龍の形で突貫か、電子操作による疑似時止めである。
もはやこれは……実際に受けてみるしか方法がないようだ。
「嵐がいつ来るのか知りたいぃ?」
「教えて下さいぃ!」
バグったナビのようなイントネーションで、寄ったら乗って返してきた。彼は少し考えてから木を登り、空を見渡し始めた。観察と考察をする仕草を三分程してから、飛び降りた。
「ありがとよ。今夜こそ大荒れだ」
そう言って彼は家を分解し始めた。首をかしげる俺を見てか。
「もっと奥に洞窟があってな。雨風が酷いと思った時はそこで寝るんだ。そっちだったら二人は余裕だぜ」
そう言ってくれたが俺は洞窟で寝る気はない。というより寝場所を変えるくらいの危険度ってことは、この辺は落雷の危険があると言うこと。
「分かった。俺は今ここで寝る」
「まずくなったら来なよ」
分解した木を持って彼は洞窟へ向かった。一回で全部持っていったので少し驚いた。
時間は[17:45]そろそろ闇の時だと言うところで、深夜帯から起きる為に寝た。
(ん~……ぬぅ~…)
[うぉおぉぉぉおぉぉ起きろぉぉお!!!]
「るせぇ!!」
半意識覚醒にも侵食してきた《内演算》に切れながら起きた。天気は超荒れだ。時間を確認する気もなく俺は手早く、《物体変化》で鉄針のようなものを、木の上に生やし始めた。高所の金属に雷は来る、という一般的な考え方を実践だ。
それでも命中しない。生やし終わったのが[23:11]で現在[1:30]。生やしてる近場に落ちる度に木を蹴り、葉を落とし切った木があるくらいに落ちない。観賞物の目新しいものが幼児用なものしかなくなってしまった。精神が追い詰められ始めた時。
「アババババババ」
死角に落ちた雷に感電。奇声と全身の震えが止まらない。
[もう一回くらい……]
そう言った瞬間に第二段。振動で土を掘り埋まりゆく、口に入っても消化するだけだがな。さて実験結果は。
(どうだ《内演算》?)
[魔力を介して干渉していたのが、間違いだった]
(は?)
[手元に魔法式を刻み、中空に発射してから落雷の点射じゃないと]
(つまり……)
[手から放つ以外は……魔力や処理速度が足りない]
むしろ落雷狙いの方が難しかったようだ。考えてみれば、離れたところにある電気の操作難度は高い。魔力があるから何でも伝わると思っていたのが……あれ?
(他の属性だと楽々だよな?雷だけ何でだ?)
[純粋なせい]
成る程。雷は電子・電気への入口であり、基本属性全てへの干渉、同化すれば光速移動も出来る。聖だとか上位次元よりも分かり易く、万能で凶悪でありふれた属性だからこそって事か。判明してよかった。
練習していたら一応の起床時間帯になったので、起きているのか見に行ってみる。
「全く……雷がうるさくて仕方ない」
覚めていたようだ。目処が立ったのでこの島を出る事を伝えると。
「めっちゃ急だな……まぁ早く出るに越した事はないか」
彼は持って来ていた木を削り、穴を空け蔓を通し、お守りのように首から下げた。
「で、これでいくつもりか?」
舟への不信感は拭えなかった。いやむしろ恐るべし速度を警戒しているだけかもしれない。しかしこれ以外ないのだ。
無言で首を縦に振ると、深呼吸をして搭乗した。こちらも緊張感を持つために。
「御乗舟ありがとうございます。当舟ではお客様の保護の為〈選風〉と固定器具を用意しております。お体が飛び出さないよう、固定器具をしっかり装着下さい。推進力確保を優先し、水平装置等を外しております。激しく揺れますので、舌を噛まないよう歯を食い縛り下さい」
ざっと説明しながら《物体変化》で取り付けて行く。客のやる事が多いが気にしない。困惑しながら固定ベルトの装着をしたのを見て。
「それでは歯を噛みしめて下さい…………〈水龍の息吹〉禁圧解除!」
雷魔法の練習は、処理速度の向上となったと聞き、単なる水の噴射すら、高火力になった事を見越して呼称。出航どころではない、合う言葉があるとすれば。
「あははは。この舟、空飛んでるよ」
発射だ。
〈バレットフィッシュ〉
雑食。基本的に群れで行動。
補食の為にする飛び付きは、最高100m/sを記録している。
餌を着けた棒に飛来するのを打ち飛ばし
その飛距離を測る競技もあった




