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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
38/261

消えました

「ゼノム…………」


 登場して早々、正体を見破られた。隠す気が大してなかったとはいえ、黒い物体を操ったというだけで特定。切れがいいのか、思考が駄目になってるのか……。回避行動を全霊なら、疲れてまともでなくなるのも仕方ない。

 戦車に追い回されたら誰だってそうなる。しかも鋼鉄車そのものが初見であれば、情報処理が停止しそうでもある。


『貴様……一体、何のつもりだ?』


 リヨンに問われる。実行すれば分かるはずなので、包み隠さず答える事にした。


「それを鉄屑に変えるだけのお仕事です」

『ほざけ。我が精鋭でも不可能だった事を』

「あれが精鋭ですか……文字通りに全滅させれるような集団が? せめて一人でも、逃げ延びてたらですね~」


 俺らの計画通りに、人員が動いたため決行。館に居た秘密部隊を全滅させ、マーシャと別れて、帰りの部隊を殺戮し、実験中の何かを破壊する。実験と言うより、実戦の戦車を破壊することになったが誤差である。


『そんな事があるわけなかろう』

「そんなものを操ってるのに、あり得ないを使いますか。だから部隊も貧弱なんですよね」

[……あの二人殺る時の糞雑魚メンタルには言われたくない]


 しっかり煽って行くが、《内演算》から思い出させられる。何人かはとどめを刺さないでいたが、戦車の再開発防止の為に完全に処理するべきと思い、動けないところを刺した。

 〈アイ4〉からは『出来すぎたな』と、詐欺被害者のような言葉を、〈サイドブレイン1〉からは『分からない事ばかり』と、研究のし足りなさを嘆く言葉を聞いた。

 当然に惑う。所詮は21の青二……いや、幻想になったばかりの子供だったのだ。他人の気持ちをかなり感じる言葉を、静かにかけられて竹輪耳無反応作業なんて出来る訳がなかった。そして投げ出した……《内演算》のオートモードに切り替えたのだ。

 替える前から[殺すのはお前の殺意だ。さぁどうする。ゼノム・ルマ=アウゴよ]と代行要求はされていたのでやったが………卑怯だ。


『我が精鋭を貧弱と言ったな?! 後悔するがいい!!』


 怒鳴り声で回想から戻った俺は、突進してくる戦車を飛び越え、後ろを取った。あえて何もせずに戻ってくるのを待つ。再度の突進には。


「〈岩隆(ロックライジング)〉」


 滑らかな岩を競輪場のように盛り上がらせ、横転させたが、噴射機構を持っていたようで、粉塵を巻き上げながら戻り砲撃。余裕で回避出来るので観察。

 弾は銃弾のような形ではなく砲丸。そして砲の中を見る限り、回転させものでもない。単なる爆発によって射出されている。蹴り上げる事が容易いと思ったので実行。

 足裏の親指に近いところで、突き上げるように蹴る。面白いように打ち上げ成功。花火のように爆発した。


『馬鹿な?!』

「おお汚い汚い」


 驚きの声が上がるが無視である。お次は何だ?


『ええぃ! 塵がぁ!』


 撃ちながらの体当たりか。ならば顔見知り共々恐怖に陥れてやろう。そう決めた俺は《座標詐称》を展開し、腕を硬質化、拳にのみ力を込める。

 砲撃は元よりぶれていたものが、更に大きくなる。直撃しても問題ない、爆発だけなら尚更だ。見ている全員は怖がり始めたと思う。何発受けようとそこに立っているのだから。

 車体が目前に迫るがまだ遠い。立ち姿勢で限界まで腕を伸ばしてギリギリ届かないくらいだ。


[まだだ。まだ待てよ]


 最近、気付いたのだが、自身の処理速度もおかしな事になっていた。いつものようにストーリー観賞をして、全part見終わっても30分程度だった事で発覚。もはや1Fが見えないのは甘えの領域に入っていた。


[拳六つ届かない。カウントします3…2…1…GO!]

(〈羅拳(カノン)〉)


 《内演算》の言う通りのタイミングで、両腕を放つ。コークスクリューというよりは、回転しつつインパクトの瞬間に自分から見て拳が横、当てるのは人差し指と中指のでっぱりだけなパンチだ。


バゴォオォ


 金属がおもいっきりへこむ音が響く。同時に拳を衝撃と熱が襲い、両腕が割れた。少し遅れ、離れたところで爆発音。

 爆風に飛ばされる腕の欠片を忙しく回収。腕を再生した。


[腕の硬質化はしばらく不可能。強度等も成人女性程度。《物体変化》により保護します]


 腕が戦闘的に使えなくなるという大問題。それよりも………。


『許さん! 赦さんぞぉ!!』


 原型を留め、未だに機能している戦車に驚きだ。普通に廃車になってもおかしくない衝撃と爆発だったが……流石は魔法世界、格が違う。


『………! こうしてくれるわ!!』


 戦車の砲身が広がり、中に魔方陣が見える。そして標準は……〈天烈〉と〈突華〉に。発せられた光の筒が彼らへ向かう。回避が間に合う訳もなく閉じ込められる。


「なんだ! これ! 堅すぎるぞ」

「……! これは……なんて複雑な……」

「〈封魔〉…………なら〈対呪〉」


 脱出しようと試みるが無理だったようだ。魔法への耐性付与が行われたが正直頼りない。前にオーラ虎を消し飛ばし、〈サイドブレイン1〉が"俺の呟きをヒントに"性能を更に上げたらしい魔法だ。何がヒントとなったのか分からないが、夢の国の犬のような笑い方をするくらい、素晴らしかったのだろう。


「楯突いた事を後悔しながら、跡形もなく消えろ。いずれ復讐だ………ゼノム……」


 そう言って戦車から出たリヨンは飛び去った。いざとなれば身一つで逃げ延びるタイプだったか。誇りだ何だと向かって来れば、禍根を残さず、彼らも助けれただろう。


「さてと……解析結界は?」


魔法の天才らしきケイさんが、諦めた表情になってるこれは。


[総パターン数816071422の10秒周期………まさか……]


 こんなスキルがないからでした。しかし……まさか……?


[まさか7.28秒に硬い尖ったものを強くぶっこむだけなんて……]


 なる程、単純に見えてヤバいタイプだ。その瞬間にしなければならないのだ。7.28と表しているが、実際だと7.280000とかなるものだ。本当に少しのズレも許されない…そんな奴だ。


 早速突き刺そうとするが刺さらない。恐らく硬さが足りないのだろう。となると足を硬質化するのが良いが……中のこいつらが問題だ。

 足まで弱体化しては、逃げ切れるか分からない。討伐まではいかなくとも、捕獲からの死ぬまで被験体はお断りだ。

 なら……呼ぶしかないか。


「〈召喚(サモン)〉」


 空中に陣が浮かび、緋の甲殻が見える。


命令(オーダー)を」

「デュラム、これにお前の挟みを突き立て待機せよ。お前を蹴り突き破る」

「はっ!」


 体の方の殻は、前の訓練から回復仕切ってないが仕方ない。下手すると死ぬがその時には……押し付けよう。


 デュラムが挟みを突き立て俺を待つ。光の筒が白んで来た。一発勝負と言ったところだろう。


 十分に距離を取り、足へ全てを回す。《内演算》の指示通りに駆け出し、飛び蹴りを放つ。


 大型のガラスが割れるような音がした。

あぁ近い………


追記:リヨン薄い……初期考案のノートに書かれてないキャラだし

しかたないとはいえ……まぁ黒歴史の投下だしいいか……

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