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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
30/261

一番密度の高い日

俺「空く事が恐怖……そうだ!すし詰めにすれば」


《内演算》[は?]

《錬成》「は?」

ガールズラブ「は?」

チート「は?」

勇者「は?」

 帝都に着いた俺は入都審査を待つ。かなり独特の審査……というより、腕相撲と魔法威力検査しかやっていない。

 脳まで筋肉のレベルだ。テンプレなら獣人がやるような事を、人間が行っていることに引いている。


 腕相撲は勝てばパスだろうが、金を払うようになる人だけになっている。回収人が就いていると推理した。

 

 俺の番になる。すまん皆さん、こんな顔面で。後で薄い本でも発売するから許してくれ。


「腕か魔法のどっちか選べ。腕は勝つか一定時間拮抗したらタダ。魔法は一定威力以上でタダだ」

「名前は?」

「金を払う時だ」


 勝たなければならない。偽名判別の魔法の存在が不明で、怖れている。〈ロオ〉では運よく使われなかっただけかもしれない。


「腕だ」

「ならこっちに来い」


 声がした方を見る。勝たせる気ないと思うくらいの筋肉質の男が、樽付近にタバコを吸いながら待機していた。今日は税収倍増日なのだろう、普段からこれでは、活気がなくなる。

 右肘を樽に乗せ、体を変化させ準備が完了した。男は砂時計を持って。


「時間はこれが落ち切るまで。分かったか?」


 ある程度の親切は持って……。


「因みに、勢い良すぎて樽が壊れたら罰金だからな」


 これは外道。弱者から吸い上げる気が山盛りだ。手を組み、空いた方は樽に添え、そしてレフェリーの合図を待つ。


カリッカリッ


 男からそんな音が聞こえる。一瞬ロボット説が過るが違った。音源が口だったからだ。


[タバコモドキ:幅広い年齢層に根強い人気のスティック菓子。薬草を練り込むので、様々な回復、補助強化が出来る。一番人気はスタミナ回復&血行良化の〈ためコ〉税別118]


 知っているのか?! 《内演算》! そしてこれで正体の一部を掴んだ。少なくとも、この世界で生活していないと知り得ない情報を持っている。


「始め!」


 腕相撲が始まる。一瞬で終わると思っていたのだろう、相手は驚き周囲がざわつく。

 俺の腕は動いていない。その程度の力でしかないからだ。添えていた手を離しても変わらない。


 咥えていた菓子を俺の目に飛ばし、腕に魔力を回した。30°俺が押されたので、流石に添える事に。それ以降は不動だ。


「なんだ?! あのブサイク!!」

「化けもんだ……真性の……」

「隊長!!」


 外野の興奮が伝わって来る。ここだけ温度が違うし、小石が振動して音を鳴らしているから当然だ。

 

 互いの手汗が滴る。互いの魔力の脈動を感じている。視線が合う。目だけで意思が分かるという現象が発生した。


 砂時計が残り僅か_時間にして4秒_で互いに動き、静かに決着した。


「……はぁ~~……行け……無料だ」


 拍手と歓声に手を振りながら俺は都入りした。




 初見の列と同じくらいの衝撃を受けた。ポツポツとだが、街人の服装、並べられてる服が現代的だったからだ。

 流通具合からして3ヵ月は経過している。同じ境遇の者がいるとしか思えない。服を並べている出店に聞いた。


「珍しい服ですね。誰の考案でしょうか?」

「……不明です」

「そうですか……」


 冷やかしと思われただろうが、質問だけして買わなかった。済まない許してくれ、使えると確定しているものがないんだ。

 非常に不味いので素材を売れる所を探す。勿論ギルド登録なしで、直接売れるのを。


 現実は非情である。そんな場はなかった。これでは宿が取れない………。


[逆に考えるんだ。ガチ野宿が出来ると]

(人としてどうかと思います)

[まだ人だったの?]

(………そうだなポジティブに行こう!! いっちょ死んでみっか!!)

[ごめんなさい。間違いまち……。動物とかに擬態すれば良いのでは?]


 最初からそう言えばいいのに。前提や主語が抜けた結果の曲解は、全世界共通あるあるのようだ。それにしてもスキルが噛むって事あるんだな。バグかわ。

 

 


 服装以外では刺激になるものはなかった。


「ありがとう………ブサイクでも真っ直ぐな人はいるんだ……」


 絡まれてたので助けた少女や。


「…アッ…兄っ貴………ハァハァ……取ってきやしたぜ……ハァハァ…」


 不当に勝負を挑んだ罰として、大量に薬草採取をソロでさせたアンちゃんがいたが、展開するなんて事はなかった。


 そんな風にブラブラしていると[21:15]歩き回っていた際に、見つけたので三毛猫に擬態をし、適当な家の屋根で寝る事にした。

 ここをお気に入りとしていた野良猫に、喧嘩を売られたが余裕で撃退した。

 

 野外で争い、腕相撲で盛り上がり、服に衝撃を受け、《内演算》に萌え、猫に喧嘩売られるという濃密な一日だった。

 リアクション等で疲れている。これで一息つけ。


「ゼノム・ルマ=アウゴだな。同行してもらう」

「…僕…もう眠いんだ……明日じゃ駄目?」

「駄目だな」


 どこでこのフラグを踏んだのだろう。とゲーム脳になりながら黒服………忍装束だ……帝国の暗部に連行され、休息が先延ばしになった。

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