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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
28/261

再び、何かが立ったようだ

素人特有の多視点による

文字及び展開の稼ぎ


俺「上手くならなくてええ……具現化が目的なんや……」


《内演算》[書くならテク増やせよ]

 グーバスのギルド本部は騒然としていた。送り込んだ部隊が2日で帰還し、第一声が。


「失敗だ。逃げられた」


 だったからだ。Aランクチーム〈奔衝〉すら動員して事実上の敗北……もはや術はない。

 グーバスのランクSはククラしかいなかった。そして彼女は亡き者である。他国に頼むのもよぎるが犠牲者が0だ。

 そんな存在のために頭を下げる必要と、何もしないまま侮られることの板挟み……。冒険者は権力がないようなもの。上級が決めれば、それに従うしかない。

 好みが分れ、口論からの喧嘩が勃発している。


「もう頼むしかないだろぉ!!」

「うるせぇ、負け犬! 俺らでどうにかなる!!」

「遭遇してから言え! 捜査力皆無!!」

「ほぉー。この前メンバー貸してくれつったチームはどこだったかな~? やっぱ筋肉な人は違うな~~」

「黙れ! ゼノムについて見当違いの(とこ)ばっか行ってんじゃねぇか!」

「あんな移動なんて読めるかぁぁぁぁあぁぁあぁ!!!!」


 


 本部に居た冒険者は殆ど喧嘩中だ。

 Bランクのジョッキショットの流れ弾に当たり、倒れるDランクの不運な青年。おっさんと壁に挟まれる受付嬢。血で血を洗う修羅道が形成されていた。


「今すぐ止めろ!! 全員剥奪するぞ!!」


 キースが声を張るが聞く耳がない。聞こえてないのかもしれない。


 


 甲高い音が鳴り響き、巨大な氷塊が中央に生成される。気温の変化と不快音により全てが沈黙する。

 入口に視線が集中する。帰って来たようだ。


「〈天烈〉………」


 誰かの声が異常に大きく聞こえた。


「騒がしいと思ったら……これじゃ、何が魔物かわかんねぇな」

「まだ彼の方が人として出来てる気がするよ。怪我は、回避し続けて僕らが勝手に転んだだけだし」

「指でやってたのも、回収作業だったな」

「死人が出る可能性はこっちが圧倒……立ち直りすら奪う悪……女の敵どころか人類の悪」

「回復する価値を見失いそうです」


 最上位の凱旋………その第一声は罵倒だった。目は完全に殺す事が目的となり、武器は抜かれ、魔力のオーラは腕に迸っている。

 暴徒は完全に鎮圧された。死の未来を見せる事によって。


「すまないな。帰って早々、馬鹿の処理になって」

「全くです。魔物による犠牲がないのに………では治療に回ります」

「俺は王城に向かうからな。任せたぞ」

「おら! 聞いたか馬鹿共! 怪我人連れて頭冷やせ! 無理なら俺が相手だ、頭なくなっても知らねぇぞ」


 恐怖と気温で全身が冷えきった彼らは、言われた通りに行動する。一部では賠償のやり取りすら行われた。


「それで? 彼との会話はありましたか?」


 ケイは討伐隊に問いかける。彼は、暇になったり逃走を考え始めたら喋り出す。そういう性格だと見ているからだ。


「それはなかった。[口上は不要。あるのは勝者の言葉のみ]って会った瞬間言われて、ボコボコだ」

「森の守護は?」

「伝言役にされてた。[カウンターは攻撃に合わせるものだろう]だとよ。舐めまくってんな」

「そうか……」


 明らかに敵対する気がない。〈エルダルマテリ〉の飛散も恐らく、戦闘の余波とケイは思っている。


(目的が全く見えないな。強さの誇示なら国を荒らすのが分かりやすい。繁殖にしたってゴブリンを抜く必要はない。食事も帰ってこれる時点で有り得ない。一体、彼は………何がしたいんだ?)


 任意で同行してもらった方が良いのではないのか、と思い始めるケイであった。

_______________________________________


「海は温いなー」

[すごく…大きいです…]


 もうツッコミの入れようがなくなった《内演算》の言葉に、素直にニヤけながら歩を進める。

 討伐隊との対戦から4日経ち、追尾もなくのんびりとした移動をしている。


[のんびり。ただしゼノム比]


 言うな。何度か前より小さい〈エルダルマテリ〉を瞬殺し、髄も残さず食べ、地図を見たらエグい距離になってた、のを忘れさせていたところを!


「ゼノム様。次は何を?」


 デュラムが予定を聞いてくる。あるようでないのが現実だが。


「武勇の帝国に向かっている。魔物であっても多少は受け入れられよう。無理であっても強者と戦えるなら糧となる」


 取り繕う。めっちゃ納得した動きしているのに申し訳なくなる。素直に言えたらなぁ………骨の方の苦が五臓六腑にしみわたる。


 思い出し悲壮に浸っていると、爆発音が森から聞こえる。デュラムを包み、興味の赴くまま向かう。

 


 見えたのは、重装備数名と黒いオーラを放つ虎だ。

 ワクワクしながら戦闘を眺める。一体どんな方法でトドメを刺すのか………。

 少し離れた地面を見れば、短剣がいくつか刺さっている。これに追い込んで何かするつもりなのだろう。

 

 連続した爆発により、跳ぶ方向を絞られた虎がそこに着地した。瞬間的に黄色い光の半透明な筒が形成された。

 撃ち破らんと虎が爪にオーラを纏わせ引っ掻く。しかし硬い。牙でも、体当たりでも、黒オーラの炸裂でも破れる事はなかった。

 黄色い光が白に染まりゆく。透明度がなくなり。その後、虎ごと消えた。


(ひぇぇ。エグっ。消去、滅却系魔法陣とか死ねる)


 俺は正直な思考になった。あれはくらいたくない。まだ背中が鬼な生物に殴られた方が生存率が高い。


「実験は成功だな」

「あれを殺れるなら」

「あぁ、範囲を広げてもBランク以下を落とせる。なら実戦配備だ」


 何やら機密の実験だったようだ。短剣を回収しながらの会話が聞こえてしまう。ヤバいって。どうかバレませんように。


 謎の重装備達が帰ったのを確認して、デュラムを解放した。


「あれ耐えれますかね……」


 外の映像を見せていたので、デュラムはそう呟く。かなり不安そうな声だ。


「あぁいうのは刺さった剣の配置を狂わせたら、発動しないか威力が落ちる。範囲を広げるらしいが、見えたら破壊するに限る。普通に本にも書かれる対処可能な兵器だ」


 安心させるために知識()を披露する。実戦配備可能な兵器がガバな訳が。


[最初期の戦車]


 それは引き合いに出してはならない。まぁうん。そういうものもあるさ。会いたくないし。


 彼らが向かった方向とは別で、西に行くことを決意した。


_______________________________________


「ぷっははっ。普通に書いてある訳ないじゃん。間違いない。こいつ同類だ」


 笑い声を上げ、若い男は転げ回った。質素な見た目だが、素材が明らかに極上な服を着、よく洗われた髪……。

 見れば分かる。かなり上級の存在だと。


「はは……はぁ……ようこそ我が帝国へ」

嫁が遠のく始末………だが確実に次のイベントでやるぞ!!

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