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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
23/261

行き当たり

 殺気立った目というのは、このことだろう。補食の獲物ではなく、完全に殺すことしか考えていない目。

 野生としてどうかと思うが全て。


[異世界だから]


 で済まされてしまう。それでもまだ俺は現実的だ。非現実の極みは、魔物を倒せばドロップする等、RPGをそのまま使うような世界だから。


 またも水の弾が放たれ、避ける。着弾の音がエグい。今のところは一発ずつだが、拡散になりうる。陸と海に分かれての戦いなので、互いに物理攻撃が使えないからだ。


 やはりといったタイミングで、鯨の周りに魔法陣が幾つか浮かび上がる。


[ゲート・オブ]

(やめろ)


 これは避けきれないと思い、防御を固める。あんまり動けなくなるので、したくないが仕方ない。謎鉱石よ耐えてくれ。


 俺に対して弾幕が形成された。避けられるのが苛ついたのか?

 隙を見て、デュラムが接近している。いい判断だ。主人がやられてるからといって、今来てもどうしようもない。


 ダメージは期待できない。何せ鯨が………砂漠を泳ぎそうなくらい大きいのが相手なのだ。それに刀サイズの挟みで攻撃しても、俺から注意を逸らす程度。


 弾幕が緩まった瞬間、一直線に駆け出す。デュラムは距離を取って海に【立って】いた。しかも自分が突き刺した脇腹部分を、俺に向けるように誘導している。何この人。超優秀じゃん。


 到達まで一瞬だった。既に外套硬化槍を構えていたが、慣れない。とあるラスボスの久々の移動と同じ感想だ。


 突き入れる。肉質は激柔だったが、逆に危ないと思い引っこ抜く。

思ったより肉が取れたと思ったら、反しが生えていた。これはグロい。《内演算》は情け知らずのようだ。


[敵に情けをかけるのは、娶る時と小手調べの時だ!]


 平行世界存在(もうひとりのおれ)ならまだしも、本来の主が言ってるとなると、相当に毒された事を証明する言葉を発した。


 鯨を蹴って陸へ距離を取る。

 全然効いてない様子だ。俺と同じで神経通ってない、スキルで痛覚遮断(ペインキラー)を持っているとかだろう。


 突破口が分からないので、開発した。


『デュラム。こいつの情報ある?』


〈念話〉での作戦会議をしようと思う。

 開発……とは言っても魔石を調べて、マイクロ電話化して、頭にぶちこんだら出来上がった。

 盗聴対策とかしていないので不安な代物。正直、対知能指数:人以上の存在には、通用しないと思った方が良い。《錬成》を鍛え続ければいずれ作れるだろう。


 水弾の飛び交う中。


『申し訳ありません。上で游いでいる姿を見たり、島に乗ったりたり………しかないので何も……』

『上陸後に掘ったりは?』

『前の体が入るくらいでなら。掘っても何も起きませんでした。それより深くは分かりません』

『了解。上陸の手伝いだ。俺から注意を逸らせ』


 腹で何もなかったので、島を崩す事にした。弱点を隠しているかもしれないのだ。


 デュラムがまた囮となる予定なのだが、なかなか俺に来なくならない。

 上陸……と言っても体を登るのでは、狙われる時間が多く、また体を振るわれたら落ちる。故に大ジャンプでの飛び乗りがベストなのだ。これも弾に狙われると駄目になるのだが。


 俺の速さが処理されているおかしさもある。マッハ二桁には入ってるはずの行動が、悉く対処されている。


[〈エルダルマテリ〉ランクA。体の抗魔がかなり高い。重要部位不明。〈魔法矢・風〉すら撃ち落とす〈水弾〉の強化〈圧水射〉を放つ]

(………ランクA?この前の人達じゃきつくない?)

[ランクC:15人での討伐例。当たらなければ倒せる]


 遭遇時に言えよ。と言うのを抑えつつやり取りをする。

 ヒントは得られた。内臓へと達すればいいのだ。わざわざ上陸しなくても、体の中に入る方法はある。


 目からだ。そこからなら骨を潜って入れる。

 難度が少し下がった。ジャンプに必要な高さが低くなったおかげで__。




〈エルダルマテリ〉が浮いた。


[そんな生態知らないな-。未確認の進化だね。頑張れ]


 若干《内演算》にキレつつ、作戦会議を再び行う。


『飛んだな』

『ですね』

『どう攻撃しようか』

『今、木の杭を作ってます』

『俺もやるか』


〈圧水射〉の中、杭を作る。完成したら適当に投げて、巻き添えにならないようにする。

 数十分は作り続けた。そして時が来る。


『貯まりましたので行きます!!』


 デュラムが投げ始めた。めっちゃ綺麗な杭を、良いフォームで投げている。嫉妬が芽生えた。


 俺も投げ始めてしばらくたった頃、ある事に気付く。


〈圧水射〉の弾数が少なくなっている事に。

 紛れもないチャンスが到来した。これを逃せば次は。


[こんなでっかい奴の鳴き声、気にしない人居るん?]


 居ない。そう断言できる。故に急がねばならないのだ。


 とある男の真似、投げた物に乗る、を実行した。

 あと少しと言うところで、避けられた。

 体が戻ってくる。体当たりだ。今度は柔らかくしなければ、割れると思い、鉄板の低反発マットサンドを《物体変化》で生成する。


 衝撃。思ってた8倍くらい揺れ、ぶっ飛ぶ。着地を考える間もなく、砂に叩きつけられる。バウンドを体感する。


 回転していたのだろう、体がふらつく。


「ゼノム様!!」


 デュラムが駆け寄って来る。大打撃と思っても仕方ない。手を振って無事を伝える。


 目では駄目だった。普通に避けられる。ならば次は、口からを狙う。


『口から中に入って、壊して来る!俺が入った後は、見失わないように立ち回れ』

『はい!』


《物体変化》で鎧を作り、熱を通す。〈圧水射〉と言えど、着弾前に蒸発しては効果がないだろう。


 口に向かって大ジャンプ。開けなかったらドリルでも使って無理矢理、通ってやろう。

 が余計な心配だったようだ。普通に開いたのだから。疲れてたら獲物と見なされてたのか?とにかくこのあとは、体内研修になると思い。


(いただかれます)


 食べられる方として、感謝してみた。

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