第三者は未知
レッツ!スレイ
「本当にありがとうございました。報酬を出せずに申し…」
「後で入れてくれれば問題ないです。前にもありましたので」
チーム〈天烈〉の副リーダー -イケメン間違いなく- ケイは町長と話をしている。
ゴブリンの集団を片付けたはいいものの、ランクに見合う金を持っていなかったようだ。Aランクではよくあることなので、後から貰えば良いだけ、とケイは分かっている。
報酬一つが遅れようが問題ない稼ぎと実力、あと心。持たざるチームは、Aランクに上がれても長く持たない……それも見ている。
「それに今すぐ、頭を追いかける必要がありますので。失礼します」
そう言って彼は、急いだ。馬を置いた場所へ。
「なげぇんだよ! 切って来いや!」
とてつもなく大きな声で怒鳴られる。リーダー -The muscle- ライは所謂、せっかちなのだ。
ケイは無言で馬に乗る。言い返す暇があるなら動くべき、というのが染み付いている。周りも何も言わない。
埒が開き、一斉に駆け出す。
「で? 宛は」
剣士の男……フブがケイに問いかける。宛があると言っていたが、よく理解出来なかったからだ。
「さっきボスを探しに行った人、分かるかな? 彼女、探すって言いながら一直線に走ってたよね?」
「……見てねぇや」
「で怪しいと思ったから、魔石を飛ばしておきました」
「は~手が早い」
「さっすが私達の情報源」
そんな会話がなされていた時。
『ギァァァァァァ』
という非常な呻き声が聞こえた。音源はケイの為、疑問が増え、声が荒ぶる。
「「何だその声は?!」」
「〈収録音石〉の改良版ですよ。まだ私しかやっていませんが。遠くの音を直に聞けるし、録音開始の音声を多少指定出来ますし後……」
「ククラ技術に改良って……半端ない……」
「ん~天才!」
ククラ=ニーツの技術は恐ろしい程、複雑な術式を書く必要がある。改良をする者なんて、聞いた覚えがない。
出来た男が目の前に……自分たちもレベルを上げなければ。
『ゴロズゴロズゴロズゥゥウゥ』
「はっ! ゴブリンが喋ってやがるぜ!」
「……王……逃す訳には行きませんね」
ゴブリンは非常に弱い存在なのだが、時折、厄介な存在になる。王は、成人並の知能を持っているという実験結果がある。罠や人の流れ等を見極める事や、言語学習が出来るという。調査の撹乱や鍛練にも意識が向けばやるので、強さや遭遇難度が非常に上がるのだ。
『オデバ! イゼガイデェェエ! オブニィィィ!』
『……そうかお前も…………だが体に呑まれた。その時点で駄目だ。その未来に成功などありはしない。ここで果てろ』
『ブザゲルナ! ブザゲルナ! ブザゲルナァァァアアアァ!!!』
『…人に非ず……救われないな、俺もお前も……』
向こうのやり取りが聞こえる。話をしているようだが、内容が所々おかしい。
しかしAランクの情報処理は甘くない。直ぐに結論を出す。
「え? つまり……………はぁ?!」
「確定ですね憑依体で」
「姿を曲げるか……魔物は恐ろしい」
「ククラをぶん盗った奴か! いよっしゃぁ!! 大稼ぎだ!」
大仕事を見つけた彼らは、大いに喜んだ。その間も、向こうの戦闘音は流れ続ける。
「おい! どこに行けばいい!」
「〈痕石〉によれば……まずそこを左!」
位置の特定も済んである。2つの魔石はそこそこの値であり、性能もお墨付き。
そして巣である場所を発見。表に幾つかゴブリンの死骸があったが気にしない。
突入前にしっかりと準備をする。どっちが相手であろうと、手負いである可能性が高い。その場合、敵が限界突破や体の制限が外れ、規格外の力に押されてしまい、死者を出すこともある。
それを避けるためだ。
(………これだけ長時間、持つ道具だったか?)
準備中にも戦闘音が流れ、位置を捉えている。巣からも同じ響きがするので間違いなく、作動しているのだがそこに違和を感じた。これまでも同じ魔石を使用しているが、込める魔力が非常に多い割に、短時間しか使えなかったはず……自分の感覚を信じたケイは、疑問を解消しようとする。
(魔石効果が延長される。それだけの魔力が満ちて、もしくは動いている。最悪はかの……彼から自然に溢れた魔力で動いている場合だな)
最悪を想定し、仲間に伝える。
「皆! 聞いてくれ。魔石が未だに作動している! 魔力がそれだけある空間に、今から入ることになる。いつも以上に注意だ!」
「了解」
「はい!」
「くふ、強さが待ってるぜぇ………」
〈天烈〉が突入した。
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「安心しな。お前という王を喰らいし俺が王に……いや、その先の神になってやる。忘れない為に名前を聞きたいのだが?」
「……ヤバモド……ギュウイ"ェア」
「ヤマモト リュウヤだな? 漢字は分からんが覚えておこう」
《内演算》がな!そう思っていると彼の目から、光が消えた。閃いた俺は問う。
(《内演算》魂喰える?)
[ちょっと原理不明です。取り敢えず食えば?]
文字通りの食事を進められた。この太った体を全消化すれば、かなりのカロリーを得れるだろう。
実際、食べるのは何でもよくなった。木、葉、骨、土……。
[ん? 今]
(それ使うとかやめてよね)
どうやら思考回路汚染は、世界を跨いでも健在のようだ。流石は不思議存在創作サイトに出される、ビデオとその流通。
[元凶: お 前 ]
ひどく叩かれているが、無視することにした。
巣において〈小怪王〉を倒した。面倒なことに、能力コピーを持った転生者だったようだ。
剣技、拳法、火 水 回復魔法とバランスの良いヤマモトさん。回復に使わせまくり、枯渇させて勝った。
しかし《物体変化》の槍が通らなかったので、彼は今のところ一番硬い存在となった。
体を溶かしながら補食してゆく。能力コピーは貰えないだろうと思う。前に〈ファングメイジ〉を生きたまま食べたが、能力が増えたりなんてしなかったからだ。
数十秒で食べ終わり、やはり能力変化はなかった。
まぁそんな事だろうと思ってたよ。あれは都合が良すぎたんだ………だから自分が作った世界だから説が出るんだよ……。
そうなると自分がそうではない証拠を求めるが、見つかる訳がない。見つかるにしても…ストーリー終盤や転換期だろう。
そんな思考をしつつ母体を探す。あっ隠し戸だ。壊してみる。
「ギッ」
子ブリンのようだ。小ささを活かせば、可愛く見えても仕方ないだろう。実際、可愛く見えたので。
「痛みを知らず眠れ」
と慈悲深くトドメを刺した。神経を通ってないので、痛く「は」なかったはずだ。
こうなると他にもあるだろうと探す。
三個目で発見した俺は、すぐさま応答を求める。
「ここで死ぬか、無様に生きるか選べ」
無慈悲な質問だろうが知らない。心が死ぬか、身が死ぬか、気絶級トラウマになるか……知ったことではない。
「いきます」
「私も」
「しにたくない」
一人は首を縦に振った。4人とも生きるようだ。
めっちゃメンタル強いじゃん。今後は見えないけど。
とはいえ彼女らは身重だ。それで連れて回るのもいかがと思い俺は……。
(移動や膨張は《内演算》に任せて、俺は柔らかさだな)
《物体変化》を起動させ、体を傷付けないような柔らかピックを作る。
「すいませんが、挿させてもらいます」
回収作業に移った。少し震えているから、心から謝り続ける。
「ごめんなさい。こうじゃないとお腹切るしかないので……」
[鬼! 悪魔! 心ない天使!!]
(制御は大丈夫なのか?! 内部ダメージはこっちじゃ深刻なんだぞ?!!)
[テメーこそ布になるなよ]
そんなこんなで作業を進め、四人目にしようと挿したところで。
「発け……ん?!」
「ちょっ!!」
言い逃れが出来ないタイミングで現れやがった。ヤバい…特に社会的に。
「見つけたか!」
「指で弄んでやがった!!」
「…! …女の敵……死ねやぁぁぁぁ!!」
急いで引き抜いたところで、顔に岩石が飛んで来た。転がる俺。めっちゃ言い訳したい。
[弄んだのは彼女ではない、彼女に宿った不浄の生命だ。とでも?]
俺は邪悪な存在で固定のようだ。9対1って酷くないですかね。
「どのみち討伐対象だ……怒り過ぎるなよ?」
そう言ってるあなたの筋肉、力み過ぎてません?
回避行動に移ろうとするが、動かなかった。見ると関節部分に、根が纏わり付いていた。ならば芯をずらすしかない。相手を見よう顔を上げ、そこにあったのは。
巨大な刃だった。
チートは都合がいいものだが
都合がいいのをチートと言うのは
違うのではないか
Q.一体、俺は何と戦っているんだ
A.四次元存在




