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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
18/261

第三者は未知

レッツ!スレイ

「本当にありがとうございました。報酬を出せずに申し…」

「後で入れてくれれば問題ないです。前にもありましたので」


 チーム〈天烈〉の副リーダー -イケメン間違いなく- ケイは町長と話をしている。

 ゴブリンの集団を片付けたはいいものの、ランクに見合う金を持っていなかったようだ。Aランクではよくあることなので、後から貰えば良いだけ、とケイは分かっている。

 報酬一つが遅れようが問題ない稼ぎと実力、あと心。持たざるチームは、Aランクに上がれても長く持たない……それも見ている。


「それに今すぐ、頭を追いかける必要がありますので。失礼します」


 そう言って彼は、急いだ。馬を置いた場所へ。


「なげぇんだよ! 切って来いや!」


 とてつもなく大きな声で怒鳴られる。リーダー -The muscle- ライは所謂、せっかちなのだ。

 ケイは無言で馬に乗る。言い返す暇があるなら動くべき、というのが染み付いている。周りも何も言わない。


 埒が開き、一斉に駆け出す。


「で? 宛は」


 剣士の男……フブがケイに問いかける。宛があると言っていたが、よく理解出来なかったからだ。


「さっきボスを探しに行った人、分かるかな? 彼女、探すって言いながら一直線に走ってたよね?」

「……見てねぇや」

「で怪しいと思ったから、魔石を飛ばしておきました」

「は~手が早い」

「さっすが私達の情報源」


 そんな会話がなされていた時。


『ギァァァァァァ』


 という非常な呻き声が聞こえた。音源はケイの為、疑問が増え、声が荒ぶる。


「「何だその声は?!」」

「〈収録音石〉の改良版ですよ。まだ私しかやっていませんが。遠くの音を直に聞けるし、録音開始の音声を多少指定出来ますし後……」

「ククラ技術に改良って……半端ない……」

「ん~天才!」


 ククラ=ニーツの技術は恐ろしい程、複雑な術式を書く必要がある。改良をする者なんて、聞いた覚えがない。

 出来た男が目の前に……自分たちもレベルを上げなければ。


『ゴロズゴロズゴロズゥゥウゥ』

「はっ! ゴブリンが喋ってやがるぜ!」

「……(キング)……逃す訳には行きませんね」


 ゴブリンは非常に弱い存在なのだが、時折、厄介な存在になる。(キング)は、成人並の知能を持っているという実験結果がある。罠や人の流れ等を見極める事や、言語学習が出来るという。調査の撹乱や鍛練にも意識が向けばやるので、強さや遭遇難度が非常に上がるのだ。


『オデバ! イゼガイデェェエ! オブニィィィ!』

『……そうかお前も…………だが体に呑まれた。その時点で駄目だ。その未来(さき)に成功などありはしない。ここで果てろ』

『ブザゲルナ! ブザゲルナ! ブザゲルナァァァアアアァ!!!』

『…人に非ず……救われないな、俺もお前も……』


 向こうのやり取りが聞こえる。話をしているようだが、内容が所々おかしい。

 しかしAランクの情報処理は甘くない。直ぐに結論を出す。


「え? つまり……………はぁ?!」

「確定ですね憑依体で」

「姿を曲げるか……魔物は恐ろしい」

「ククラをぶん盗った奴か! いよっしゃぁ!! 大稼ぎだ!」


 大仕事を見つけた彼らは、大いに喜んだ。その間も、向こうの戦闘音は流れ続ける。


「おい! どこに行けばいい!」

「〈痕石〉によれば……まずそこを左!」


 位置の特定も済んである。2つの魔石はそこそこの値であり、性能もお墨付き。


 そして巣である場所を発見。表に幾つかゴブリンの死骸があったが気にしない。

 突入前にしっかりと準備をする。どっちが相手であろうと、手負いである可能性が高い。その場合、敵が限界突破や体の制限が外れ、規格外の力に押されてしまい、死者を出すこともある。

それを避けるためだ。


(………これだけ長時間、持つ道具だったか?)


 準備中にも戦闘音が流れ、位置を捉えている。巣からも同じ響きがするので間違いなく、作動しているのだがそこに違和を感じた。これまでも同じ魔石を使用しているが、込める魔力が非常に多い割に、短時間しか使えなかったはず……自分の感覚を信じたケイは、疑問を解消しようとする。


(魔石効果が延長される。それだけの魔力が満ちて、もしくは動いている。最悪はかの……彼から自然に溢れた魔力で動いている場合だな)


 最悪を想定し、仲間に伝える。


「皆! 聞いてくれ。魔石が未だに作動している! 魔力がそれだけある空間に、今から入ることになる。いつも以上に注意だ!」

「了解」

「はい!」

「くふ、強さが待ってるぜぇ………」


〈天烈〉が突入した。

_______________________________________



「安心しな。お前という王を喰らいし俺が王に……いや、その先の神になってやる。忘れない為に名前を聞きたいのだが?」

「……ヤバモド……ギュウイ"ェア」

「ヤマモト リュウヤだな? 漢字は分からんが覚えておこう」


《内演算》がな!そう思っていると彼の目から、光が消えた。閃いた俺は問う。


(《内演算》魂喰える?)

[ちょっと原理不明です。取り敢えず食えば?]


 文字通りの食事を進められた。この太った体を全消化すれば、かなりのカロリーを得れるだろう。

 実際、食べるのは何でもよくなった。木、葉、骨、土……。


[ん? 今]

(それ使うとかやめてよね)


どうやら思考回路汚染は、世界を跨いでも健在のようだ。流石は不思議存在創作サイトに出される、ビデオとその流通。


[元凶: お 前 ]


 ひどく叩かれているが、無視することにした。


 巣において〈小怪王(ゴブリンキング)〉を倒した。面倒なことに、能力コピーを持った転生者だったようだ。

 剣技、拳法、火 水 回復魔法とバランスの良いヤマモトさん。回復に使わせまくり、枯渇させて勝った。


 しかし《物体変化》の槍が通らなかったので、彼は今のところ一番硬い存在となった。


 体を溶かしながら補食してゆく。能力コピーは貰えないだろうと思う。前に〈ファングメイジ〉を生きたまま食べたが、能力が増えたりなんてしなかったからだ。


 数十秒で食べ終わり、やはり能力変化はなかった。


 まぁそんな事だろうと思ってたよ。あれは都合が良すぎたんだ………だから自分が作った世界だから説が出るんだよ……。

 そうなると自分がそうではない証拠を求めるが、見つかる訳がない。見つかるにしても…ストーリー終盤や転換期だろう。


 そんな思考をしつつ母体を探す。あっ隠し戸だ。壊してみる。


「ギッ」


 子ブリンのようだ。小ささを活かせば、可愛く見えても仕方ないだろう。実際、可愛く見えたので。


「痛みを知らず眠れ」


 と慈悲深くトドメを刺した。神経を通ってないので、痛く「は」なかったはずだ。

 こうなると他にもあるだろうと探す。


 三個目で発見した俺は、すぐさま応答を求める。


「ここで死ぬか、無様に生きるか選べ」


 無慈悲な質問だろうが知らない。心が死ぬか、身が死ぬか、気絶級トラウマになるか……知ったことではない。


「いきます」

「私も」

「しにたくない」


 一人は首を縦に振った。4人とも生きるようだ。

 めっちゃメンタル強いじゃん。今後は見えないけど。


 とはいえ彼女らは身重だ。それで連れて回るのもいかがと思い俺は……。


(移動や膨張は《内演算》に任せて、俺は柔らかさだな)


《物体変化》を起動させ、体を傷付けないような柔らかピックを作る。


「すいませんが、挿させてもらいます」


 回収作業に移った。少し震えているから、心から謝り続ける。


「ごめんなさい。こうじゃないとお腹切るしかないので……」

[鬼! 悪魔! 心ない天使!!]

(制御は大丈夫なのか?! 内部ダメージはこっちじゃ深刻なんだぞ?!!)

[テメーこそ布になるなよ]







 そんなこんなで作業を進め、四人目にしようと挿したところで。


「発け……ん?!」

「ちょっ!!」


 言い逃れが出来ないタイミングで現れやがった。ヤバい…特に社会的に。


「見つけたか!」

「指で弄んでやがった!!」

「…! …女の敵……死ねやぁぁぁぁ!!」


 急いで引き抜いたところで、顔に岩石が飛んで来た。転がる俺。めっちゃ言い訳したい。


[弄んだのは彼女ではない、彼女に宿った不浄の生命だ。とでも?]


 俺は邪悪な存在で固定のようだ。9対1って酷くないですかね。


「どのみち討伐対象だ……怒り過ぎるなよ?」


 そう言ってるあなたの筋肉、力み過ぎてません?

 回避行動に移ろうとするが、動かなかった。見ると関節部分に、根が纏わり付いていた。ならば芯をずらすしかない。相手を見よう顔を上げ、そこにあったのは。


 巨大な刃だった。

チートは都合がいいものだが

都合がいいのをチートと言うのは

違うのではないか


Q.一体、俺は何と戦っているんだ

A.四次元存在(おまえ)


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