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全天録  作者: AX-02
第一章 朝
15/261

馬鹿な……早すぎる……

真面目なシーンのみで終われない。

これが素人の限界っ………現実っ……

 黒に白が無数に飛ぶ空間。その中に置かれた円卓を囲う、並々ならぬ者達。神へ入り切った(つわもの)達。

 龍、巨人、精霊、神人等々…が一ヶ所に集う。


 争う訳ではない。彼らは召集者の現れを待っているのだ。静かに……彼らの造り出す静寂は、世界を止めるかのよう。


 空間が歪み、誰もが理解している。歪みの先から漏れる力で、誰が来るのかを。


 白縹色の前髪が見える。次に少女とも少年とも言える風貌、何かの毛皮で作られた服。身長は平均的な13歳位。

 見慣れないのは、手に持つ一冊の本。


「ヴェラド、それは何だ?」


 天が轟く声で龍が尋ねる。本なんて読む必要がない強さと手段を持っている。そんな者達しかこの場にはいない。故に理解が出来ず問う。


「今回、集まってもらった理由だ」


 ヴェラドはその本を卓に置き。席へ着いた。


「これより〈神会〉を始める。真面目になるべくするように」


 会の開始を宣言する。一呼吸の後。


「要因となったのは、〈原初球(エデン)〉に出現したこの本〈干渉結果〉と言う題の物と、その閲覧者。ゼノム・ルマ=アウゴを認知するべき。そう考えたからだ」

「〈ゼノ〉だと?」


 ヴェラドの対岸席の神人……見た目は男がそう聞き返す。


「あぁそうだセンペカ。〈万象庫(アカシックレコード)〉には無い〈ゼノ〉だ」


 全員が事態の重みを知る。

 そこに無い存在……更に〈ゼノ〉を冠している。それはつまり。


「先の見えない魔王が誕生するの~?辛くな~い?」


 精霊と同じ席に座っていた妖精が、問いかける。

 その顔を見た全員がこう思った。そうなることを望んでいるんだろうな……と。


「フロー。他の条件が揃ってない。まだ先だ」


 妖精の言葉を否定するのは、巨人。しかしそれは。


「グリナ。既に3つは解放されている。あと2つは同時になる可能性が高いから……下手すれば直ぐだぞ?」


 ヴェラドによって希望的だったと知らされる。

 焦りが伝達、話し声が多くなる。もはや猶予は無いに等しい。残りの条件が同時……どの2つなのかは予想がつく。


「ハイハイ!!〈ゼノ〉については終わり。次は本を聞こ?」


 手を叩きながら、銀髪の少女が同意を求める。瞬間的に静まる。


「いい仕事だ。レーウェン、後で大樽血液を渡すね」

「はっ!」

「さて、この本についてだが……こいつも同じく〈万象庫(アカシックレコード)〉になかった。内容も覚えがないものだらけだ。後で写して送ろう。俺からは終わりだが、何かあるか?」


 全員の口がしばらく止まった。


「提唱が正しい要因がまた出たな」


 声の方向を見れば、黒と紅の甲殻に身を包んだ存在が腕を組んでいた。


「ラビオン。何か言ってたか?」

「…………論外(アウター)の話だ」

「………あぁ……それは…そうだな」


 ヴェラドは思考を巡らせる。その可能性は十分にあると。


「ん?何だそれ」


 龍が疑問を浮かべる。すると。


「やっぱり~レプトは頭が駄目ね!」

「違いないな。70年程度で完全に忘れるとは」

「……私はこうなると分かってました」

「せ!つ!め!い!しろぉぉぉぉ!!」


 フロー。グリナ。初発言の精霊が頭の悪さを追う。レプトはキレたようだ。


「えぇっと………我々で観測すら出来ない存在が居る説だったかな?」

「その通り!」

「エーウェン………同じ祖だけに助け」

「普通に」


 ヴェラドが席を立つ。


「脱線し始めたので止めるぞ。しかし比較的、有意義な会だった。此までのが、どれだけする気がなかったのかよく分かった。次回はすぐ来るかも知れないから、長寝しないようにな、レプト!では閉会!」


_______________________________________


「うわぁぁあぁぁぁぁぁ!!」


 俺は夜空の中、激走し始めた。後ろなんて見る暇はない。

音で分かる。


ズドドドドドドドドドド


 大地が揺れ、削れるような音……間違いなく群れで猪……〈ボア〉系統が突進をかましに来ている。


〈ファング〉系統の狩りに慣れたと感じた俺は、〈ロオ〉の街を離れ更に東へ、農村を目指し山を行っていたが。


(不注意過ぎたか?!)


 思いあたる節が多くて困る……足を緩める訳にはいかない。止まった瞬間、宙に浮くだろう。距離が近いのが察せられる。

 臭いで位置を調べているのか、夜目が効くのか、とにかく真っ直ぐ俺に来る。


 ………狩りと平行してトレーニングをし、人外の領域に入った(感想)俺について来ていることが、恐怖を煽る。

 持久戦に持ち込むも、全く衰えた気がしない。


(ふざけてやがる……世界おかしい……)


 いつの間にか辺りは野山ではなく岩だらけになっていた。

 生息地から敵を狙って、余裕で離れる〈ボア〉………前世界だと生物学者が揃って、匙を投げる生態だな。


[反響無し……落ちます]


《内演算》から事実を言われる。いや、ミスだ。あの先は見えないだけで本当は。


[地面、空いてますよ?]


 落下感に追われる。間違いなく崖だった。

〈ボア〉も止まれず落ちて来るだろう。下敷きとかもう詰み……積みだ。


(サーセン………助けて……下敷きマジ勘弁)


 落ちながらそう考える。下なんて闇で見えなかった。


[ムササビになる なる/ならない]


 滑空ですね? 上からのを考慮しての? なるしかないだろう。[なる]を選択した。


 外套が膜となり、広げた両手、両足を頂点に繋がる。そして浮いた。急いで横に移動した(《内演算》のおかげ)。


ピギィィィィィィィ


 6mはあろうか〈ボア〉が数匹落ちゆく。怖っ。あれの下敷きとか……。


[ダイス振りますね]

(他のところでやって?)


 慣れる()と楽しいもので、岩肌の世界を満喫していた。無料でアクティビティを楽しめる……最高だな。


 地上が恋しくなったので、地に降りる。


《内演算》に図を出して貰う。買ったりした物ではない、自身に刻まれた図だ。

 走り回り、しばらく飛んだ結果どれだけ進んだのか見るため___


1500km進んでいた。


 時間も見よう。


30分間の記録。


 どうやら人間を止めてすぐに、生物を越えたようです。

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