馬鹿な……早すぎる……
真面目なシーンのみで終われない。
これが素人の限界っ………現実っ……
黒に白が無数に飛ぶ空間。その中に置かれた円卓を囲う、並々ならぬ者達。神へ入り切った兵達。
龍、巨人、精霊、神人等々…が一ヶ所に集う。
争う訳ではない。彼らは召集者の現れを待っているのだ。静かに……彼らの造り出す静寂は、世界を止めるかのよう。
空間が歪み、誰もが理解している。歪みの先から漏れる力で、誰が来るのかを。
白縹色の前髪が見える。次に少女とも少年とも言える風貌、何かの毛皮で作られた服。身長は平均的な13歳位。
見慣れないのは、手に持つ一冊の本。
「ヴェラド、それは何だ?」
天が轟く声で龍が尋ねる。本なんて読む必要がない強さと手段を持っている。そんな者達しかこの場にはいない。故に理解が出来ず問う。
「今回、集まってもらった理由だ」
ヴェラドはその本を卓に置き。席へ着いた。
「これより〈神会〉を始める。真面目になるべくするように」
会の開始を宣言する。一呼吸の後。
「要因となったのは、〈原初球〉に出現したこの本〈干渉結果〉と言う題の物と、その閲覧者。ゼノム・ルマ=アウゴを認知するべき。そう考えたからだ」
「〈ゼノ〉だと?」
ヴェラドの対岸席の神人……見た目は男がそう聞き返す。
「あぁそうだセンペカ。〈万象庫〉には無い〈ゼノ〉だ」
全員が事態の重みを知る。
そこに無い存在……更に〈ゼノ〉を冠している。それはつまり。
「先の見えない魔王が誕生するの~?辛くな~い?」
精霊と同じ席に座っていた妖精が、問いかける。
その顔を見た全員がこう思った。そうなることを望んでいるんだろうな……と。
「フロー。他の条件が揃ってない。まだ先だ」
妖精の言葉を否定するのは、巨人。しかしそれは。
「グリナ。既に3つは解放されている。あと2つは同時になる可能性が高いから……下手すれば直ぐだぞ?」
ヴェラドによって希望的だったと知らされる。
焦りが伝達、話し声が多くなる。もはや猶予は無いに等しい。残りの条件が同時……どの2つなのかは予想がつく。
「ハイハイ!!〈ゼノ〉については終わり。次は本を聞こ?」
手を叩きながら、銀髪の少女が同意を求める。瞬間的に静まる。
「いい仕事だ。レーウェン、後で大樽血液を渡すね」
「はっ!」
「さて、この本についてだが……こいつも同じく〈万象庫〉になかった。内容も覚えがないものだらけだ。後で写して送ろう。俺からは終わりだが、何かあるか?」
全員の口がしばらく止まった。
「提唱が正しい要因がまた出たな」
声の方向を見れば、黒と紅の甲殻に身を包んだ存在が腕を組んでいた。
「ラビオン。何か言ってたか?」
「…………論外の話だ」
「………あぁ……それは…そうだな」
ヴェラドは思考を巡らせる。その可能性は十分にあると。
「ん?何だそれ」
龍が疑問を浮かべる。すると。
「やっぱり~レプトは頭が駄目ね!」
「違いないな。70年程度で完全に忘れるとは」
「……私はこうなると分かってました」
「せ!つ!め!い!しろぉぉぉぉ!!」
フロー。グリナ。初発言の精霊が頭の悪さを追う。レプトはキレたようだ。
「えぇっと………我々で観測すら出来ない存在が居る説だったかな?」
「その通り!」
「エーウェン………同じ祖だけに助け」
「普通に」
ヴェラドが席を立つ。
「脱線し始めたので止めるぞ。しかし比較的、有意義な会だった。此までのが、どれだけする気がなかったのかよく分かった。次回はすぐ来るかも知れないから、長寝しないようにな、レプト!では閉会!」
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「うわぁぁあぁぁぁぁぁ!!」
俺は夜空の中、激走し始めた。後ろなんて見る暇はない。
音で分かる。
ズドドドドドドドドドド
大地が揺れ、削れるような音……間違いなく群れで猪……〈ボア〉系統が突進をかましに来ている。
〈ファング〉系統の狩りに慣れたと感じた俺は、〈ロオ〉の街を離れ更に東へ、農村を目指し山を行っていたが。
(不注意過ぎたか?!)
思いあたる節が多くて困る……足を緩める訳にはいかない。止まった瞬間、宙に浮くだろう。距離が近いのが察せられる。
臭いで位置を調べているのか、夜目が効くのか、とにかく真っ直ぐ俺に来る。
………狩りと平行してトレーニングをし、人外の領域に入った(感想)俺について来ていることが、恐怖を煽る。
持久戦に持ち込むも、全く衰えた気がしない。
(ふざけてやがる……世界おかしい……)
いつの間にか辺りは野山ではなく岩だらけになっていた。
生息地から敵を狙って、余裕で離れる〈ボア〉………前世界だと生物学者が揃って、匙を投げる生態だな。
[反響無し……落ちます]
《内演算》から事実を言われる。いや、ミスだ。あの先は見えないだけで本当は。
[地面、空いてますよ?]
落下感に追われる。間違いなく崖だった。
〈ボア〉も止まれず落ちて来るだろう。下敷きとかもう詰み……積みだ。
(サーセン………助けて……下敷きマジ勘弁)
落ちながらそう考える。下なんて闇で見えなかった。
[ムササビになる なる/ならない]
滑空ですね? 上からのを考慮しての? なるしかないだろう。[なる]を選択した。
外套が膜となり、広げた両手、両足を頂点に繋がる。そして浮いた。急いで横に移動した(《内演算》のおかげ)。
ピギィィィィィィィ
6mはあろうか〈ボア〉が数匹落ちゆく。怖っ。あれの下敷きとか……。
[ダイス振りますね]
(他のところでやって?)
慣れる()と楽しいもので、岩肌の世界を満喫していた。無料でアクティビティを楽しめる……最高だな。
地上が恋しくなったので、地に降りる。
《内演算》に図を出して貰う。買ったりした物ではない、自身に刻まれた図だ。
走り回り、しばらく飛んだ結果どれだけ進んだのか見るため___
1500km進んでいた。
時間も見よう。
30分間の記録。
どうやら人間を止めてすぐに、生物を越えたようです。




