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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
122/261

森様 式美

俺「ルビと当てられた字の使い分けダルい」


内対(ククラ)》[元から漢字を当てなければ済むのに]


俺「技名考えれねぇ……」


天地一体(オールフュージョナー)》「変にファンタジーにするから……」

 突如として地面に突き立てられしそれ。男性であると判明したのは十分に、煙が失せてからだった。


「いいアクティビティにならねぇかな」


 先の飛翔を遊びと見なした発言だ。〈森精人(エルフ)〉の戦士が見切れていない速度を、遊びと称す。実力の差は如実である。


「援助と言うより主役交代をさせて貰おう」


 そう言うと彼は、変質した植物を猛然と対処していく。焼き、引き抜き、溶かし、凍てつかせ、食す。進める規模が違うのを〈森精人〉に見せつけて、彼は進む。


「怪我人はー?」


 陽気に溢れる白犬耳の少女が、怪我人を探している。しかし、特に重症となる者は未だに出ていない。


「今すぐ死にそうなのはいない」

「そうなの? じゃあ〈癒宇〉」


 〈森精人〉達の身体が光に包まれ出る時には、傷一つない状態に戻っていた。無論、内部の詰まりさえも除去されているので。


「……変換効率が」

「あぁ」


 治癒を受ける前より魔力が強まっている。施しの領域となる回復、そんなものを放てる存在となれば上位存在しかいないだろう。


「貴女は…」

「私はシュア。あの人の妻です」


 癒しの権化があの無茶苦茶な男と、番になるまでのルートが分からない。


「ぬぉう?! 殺す気だな!」

「何をぬけぬけと」


 その男の足元から黒い筒が生える。男は転がり、撃ったであろう女性に声を荒げた。

 

「〈奈落之一(アビスアイン)〉………」


 どう考えても抗うべき相手ではない、厄災の最淵がそこに居た。神への反逆者が何故か野放しである。


「ほれ、甦るぞ」

「ウッス! ルシ義姉(ねえ)!!」


 殲滅が本格的に開始した。余波などお構い無しの乱射である。幾重にも〈防護結界(プロテクション)〉を張ってもなお、数十メートルは飛ばされる程に加減がない。


「ゼーーールーーー!」


 シュアは夫の名を叫ぶ。〈森精人〉達は安堵をしかけたが。


「もっと早くしないとーーーー!!」


 とんでもない事を言い始めて凍り付いた。効率を完全に重視する思考回路。これは彼の者達の思考と一致する。


「天…使……」


 無慈悲で神の為に働く翼を持つ存在。それが目の前にいるという畏れ、そして。


「天の使いの望みは御主の望みにあり、我の全霊を持って前の怨敵を伐する。我の意志、利剱となりて草木を蝕むる邪意を切り臥せ〈斬星〉」


 更に力を込めた彼に戦くしかなかった。

 強大な剣が振るわれ、星が削れるのを傍観するだけになる。


「ゼノム、核を壊し損ねておる」

「煩わせて申し訳ない」


 岩石弾の壁の中から堕天使は、相手の核となる部位を回収していた。


「俺ら……やる事は……」

「戦闘は任せよう、やれる事はまだ沢山………」


 〈森精人〉は虚脱感に襲われる。圧巻過ぎて足に力が入らないのだろう。


 その後もゼノムとルシュフェルは伐採を続けた。



___________________________________




 あれだけやっても星の根本解決に至らない。星の核にも行ったがない。俺に呼び込もうと反応も無し。それでも変質した植物は種がなかろうと、生えて来る。本当に手詰まりのようだ。


「何か……条件だな……」


 友人気質であるのを理解したが故に、近しい事を考える。彼は理論値を追い求める時期があった。効果重複可能倍率スキルを追い求める狂人。そんな彼らしさのあるナニカを相手にしている。


「……理や因はあるだろうが………」


 中二病患者でない、かといって健常者でもない。そんな彼が、この世で効果の永続をしようと考えた時に、やりかねない事。


「そうだ…………〈世界樹〉………」


 彼も曲がりなりにファンタジーを歩んだ存在。ならば、樹を扱わずしてのイベントはあり得ないだろう。

 いくら倒しても沸くのは、スイッチの切り替えが行われてないからだ。沸かないようにするためのイベントを起こさなければ、何も変わらない。森が部分的に復帰しているのはそういうセットという意味だ。


「本当の本気にゲームに寄せやがって……理解度はいいが応用力がないってのも」

[おぅ、そろそろブツブツはやめーや。天使以外の空気死んでんぞ]


 横から殴られたような赤みを帯びて意識が戻る。言われた通りの引き様であり『コレに救われる世ならいっそ……』と思考していそうだ。天使も天使で『黒で飯が旨い』と『私が居ながらまたも、内側に行かせてしまった』と言いそうな表情で待機していた。


「俺はゼノム。ゼノム・ルマ」

「自己紹介は終わらせたでしょ?」

「………そう…だったな」


 記憶が飛んでいるが《内対》が持ってくる。確かにしていたようだ。ならば次は。


「何度も倒しても現れるのは、いわゆる儀式的なものをしていないせいだ。無論、これまで〈森精人〉がしてきたものではなく『向こう』が勝手に決めた順をなぞる必要がある」

「つまり手掛かり無しでそれを見つけるのですね?」


 〈森精人〉の女性が半ば諦めた顔で、確認を取りにきた。


「手掛かり自体はある。ここは木々と調和する種族の星、それが道しるべだ」


 部分否定を行う。ヒントさえ、なぞなぞのように考える必要があるだけと。発想に至らなければ無いも同然、それに気付き全員口を閉ざす。


 重い。誰も彼も発想の自問自答を外に出さない。休憩の姿勢を取る事さえままならず、精神面の疲労が溜まるばかりである。


数十分考えていると、また変質植物に襲われ撃退。そこから更に一時間後。


「………あぁ……〈森精人〉達、火を使ったか?」


 戦闘跡などから考えた結果、火が重要ではないのかと思ったからだ。


「火の魔法だろ? 使ったさ」

「何故か殆ど燃えなかった。変質して水気が増したせいだと思って使わないようにしたが」


 そうか、彼らの持つ火は通らないか。では彼らの火ではなかったら……瞬間的にありがちな禁忌や狂気展開が開通した。その筋書きならばあり得る。


「分かったぞ………儀式の下準備を伝える。まず」  

チートの扱いは難しい(白目)

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