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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
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落ちました

俺「そう前回の通り……細かに見るのが、ルシュフェル>ラファエルとなるのは患者では必然……!」


内対(ククラ)》[気が付いたら『やべぇよ……』ってなって邪神(ゆうじん)に聞きにいくも、通らないんだよな……]


俺「しかし!正妻変更 等はア"リ"エ"ン"!嫁に求むるは癒し系ワンコ……サドな後押しをしてくれそうなクールビューティーではない!」


邪神「……?……お前はMだったはずだ………」

 全ての剣を叩き伏せ、ルシュフェルに肉薄する。彼女による一閃が〈積層防御(ディフェンス)結界(ステート)〉をヌルっとすり抜けた。

 胴体に〈日緋鱗〉を出して致命を避けようとするも、まさかの隙を生じぬ二段構え。真空による風が強風となり、軸が崩れる。そこに回転した突きが放たれ、俺は後ろに飛ぶ。


[ほーん、光と闇の切り替えうんま]


 堕天使を前にいつもを崩さない《内対》しかし仕事としては、非常をしているのでやはり強いのだろう。


 ルシュフェルが持っている双剣は支給品だったもの。今では百年の相棒(とも)のような、呼応を見る事になっている。デザインは凄く凝り『光と闇が合わさり最強に』の体現で、彼女に相応しい意匠だ。


「足りんな。もっとだゼノム」

「承知。我が力は星の巨人を越え、その運びは光。堕天の王へ捧ぐ舞いは波を打ち、今よりその屈は除かれん〈降魔武踏(ダンシングゼノ)〉」


 ルシュフェルが手を出して来ない。効果がある証拠だ。流れる思考により〈重剛丸〉を収納空間から取り出し、間髪を入れず間合いを詰める。


「〈連災(チェインディズ)〉」


 神速の剣戟が始まる。二刀が一刀と同等の手数であることに、違和を感じつつ打ち合う。剣の実力は俺の方が上なのか、ルシュフェルの服に斬り傷が刻まれてゆく。


[服の時点で抜かれてんだよな]


 鎧でないのは当たる心配がないから、であれば回避優先の思考なのか? 調べる為に剣を変えたいが、そんな暇はない。

 今でさえ、押しているようなだけで彼女の胸中によって、直ぐにでも状況は変えられるのだから。


 空が剣を弾いた。直後に爆発、視界は白に染められる。魔力探知にかかるような方ではなく、何処に居るのか検討もつかない。

 しかし間が出来たのも事実なので、剣をガリアンに変える。


 大剣より広い範囲を斬る武器で、鞭のように振るものである。無論、空間収納術によりその他ギミックの搭載もされてある一本。


「ぬん!」


 ただの鞭使いでさえ、先端が音速と言われる速度を出す形状、それを光速が可能な存在が振れば。


 壊れかけの星に、追い討ちのようなダメージが入る。叩きつけた訳でもないのに、地は抉れて溶岩の吹きだまりと化した。


「どれ、貸してみよ」


 背後からの声かけ。裏拳を放つも空を切り、剣を取られ、ついでに腕も折られた。


「ほっ!」


 俺を狙っての試し斬り。しかも回避読みの無茶軌道を恐らく光速で。そんな酷使に耐えきれる訳がなく、連結が壊れる。


「……つまらぬ」


 そう言いつつギミックの一つ、回転分裂刃を使用してくる。小手先は遊びになるのか……やはり徒手空拳となるのだな。


「申し訳ない。無駄な手かの判断が若輩故に遅くなって」

「気長な余でなければ終わっておるぞ」


 あの空間で延々と待っていたのと同じなのか。終わってから-273度の冷やし土下座でもしよう。


 ある一定レベルを越えれば、魔法や能力に裏打ちされた魂のぶつけ合いである事を忘れていた。これまでのは《内対》補助による環境利用であり、真の自力とは言えない力であったのだ。


[いや……普通に素材不足なんだ……]

「ん? じゃあ目の前と記憶の中。どっちにする?」


 《内対》が情報修正をする。確かに最上位素材を持ってないのに、素ステ理論は可笑しいと納得したが、今すぐに使える素材は堕天使素材か友人の追憶の二択。どちらも副作用が強いのが目に見えているので、使いたくないのだが。


[………友人]


 無こそ真であると主張し、自我を染色体に在りとその場の思い付きで言い、好きなものはアンチな上で、グロに分類される画像を収集する友人。彼の嗜好そのものなど無く【逆に全てでは?】と言い出した時は、笑うしかなかった。

 投影と悟りの狭間で揉まれし彼の魂が魔法世界に行こうものなら、進化や覚醒といった表現系統の体現者になるだろう。彼の理解者など居らず、全能と言われる存在ですら【どうしてそうなった】としか言わざるを得ない思考。そんな魂から沸く力は、不定で論外な力でしかない。全能存在すら匙を投げる力、そんなものに。


「ぐぅ?!」


 一般的な思考ともいえる魔法の防御が壁となるはずがない。彼は全てより解放されているのだ。感覚で言えば、魂の奥の〈星幽(アストラル)〉の更に核〈因果(イデア)〉と言ったところか。

 ルシュフェルの羽が散る。あの堕天使の目に焦燥らしさが見え、俺の表情が柔らかくなった。勝てると思ってではない。


「支配欲を相手に堕天使が散る……良い物語になりそうだ」


 快楽を得たからだ。SをMにするのが至高と言う人が居るように『強いあれ』が『この娘』に変わるカタルシス。その一端を味わう。


「〈悪性(ダーカー)(レギオン)〉!!」


 舞い落ちる羽が醜悪な姿になり隊列を成す。その醜悪さたるや……いや…そもそも天使も悪魔もそんな姿(もの)だったか。


「我は多勢で押せる個に非ず。同等の個によってのみ伐たれる者。伐たれはしばしの眠り、何れ起きん」


 拳の速さは決して見えない訳ではない。音速付近でしかないのだから。しかし込められた力が異質なせいで、ルシュフェルの使い魔は次々と沈められている。


「〈(オリジン)(オープン)〉!!」


 〈輝霊(アウゴエイデス)〉ではない……その域であって貰わねば困るか。


[いつまで他人に頼るんか? あ?]


 この形態に友人を出すのは失礼だろうが、どうも抑える意識が逆に【認識している】となって仕舞いきれない。


 (六根六竟六識。悉くへ刹那的遮断をせよ)

[うわぁ……消し飛びそう]


 ごちゃごちゃして面倒なものは白紙化するべきなのだ。やるのはこの身であるが故に、問題はない。自殺行為とも見えるがむしろやらないと【主に我が】死ぬ。それは避___________







[やっぱ想定通りだったわ]


 星空の中でそう告げられる。ルシュフェルは立腹を顕すように、岩石に座っていた。


 そうか……どうせ終わっていたが俺が破壊したのか……。とんでもをやらかした気がする。ヴェラド等が来ていないのがせめてもの、救いだな。


「不粋な事をしおって……!!」


 ルシュフェルが憤怒に染まっているようだ。静かな怒り程、怖いものはない。何せ直接暴力より練りに練られた、復讐をされそうだから。しかし……直接攻撃してはならない存在に格上げされたのか?


「精進致します……」


 一応の謝罪。内側の深層でブレイクダンスをしているが、バレなければいい。


 興ざめにより、シュアの元へ帰ろうとしたところ。


『ゼノム?! お前、何を仕掛けていた!!!?』


 大声量のサイフィである。何の事を言っているのかさっぱりだ。砲弾が1/255の確率でホットケーキになるようにしたが、ここまでの声になるような速度やサイズの射出にはしていないはず。


「はて? ……もしかして太った?」

『あぁ?! じゃあ駄天使か! ともかく来い!』

「ほぅ…余は駄目か…言いよるわ……」


 ルシュフェルが何か変な物を渡していたようだ。それよりも、音声から堕ではなく駄と見抜く技能が気になってしょうがない。 

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