どうすれば良いのだ
三日連続読破者だと……?!馬鹿な……
しかし邪神はあるあるであると……
くっ…何の違いだ…?……ブクマの傾向か……?
土地整備という、時間がかかる上に計算尽くしの仕事から、ルシュフェルは逃げていた。ゼノムは伝令代わりに空に向かって『ルシ義姉ぇ! 期待してるの、原初の話と強さだけだから! お手伝いしないのは想定通りだから!』と言った。
「完全に読まれてないか?」
「発想は敵わん……奴の思考の因も意味不明なのだ…」
〈疑似万象庫〉にてルシュフェルは、メタトロンと共にそれを見ていた。そして彼の読みの深さに畏怖する。
「そういえば、ここはもっと配属されているはずだが?」
ルシュフェルは記憶を辿り、メタトロンしか居ない状況に違和感を覚えた。いくらゼノムで〈天使軍〉が全滅したからと言って、ここの天使の数が余りにもいない。
「余に会う気がないのか?」
その考えに行き着き、ルシュフェルは怒気と共に魔力を放つ。堕天使から舞い戻り、光と闇を携えた者。そんな神格の域と見紛う存在から圧を受ければ、逆に出てこれなくなる可能性を、彼女は考えてなかった。
「……全然違うよ」
警戒を露にしながらメタトロンは、門の詰所の扉を開く。
「「連続プルこそ最高だろ?!」」
「「「馬鹿な事を言うな!」」」
「これだから低俗は……初回の登場までの流れに全てあるというのに」
「お前、ラップ糞つまんねぇつってたよなぁ?」
ルシュフェルは理解が追い付けなかった。人間に堕ちてるレベルで、天使を続けられている状況に。翼が黒になることも失うことも無しで、不毛な争いと見える意思のぶつけ合いが発生することを。
「一体………何が…?」
ゼノムがこの場に入れば『[ルシ義姉のキョトン顔とか至福過ぎ]』と言う表情で、メタトロンに事の顛末を聞く。
「ゼノムを理解しようとしてね、彼の使用した攻撃全てを実証したんだ。その一つ〈週刊混沌〉が凶悪過ぎて……」
天使さえ思考停止した〈週刊混沌〉を理解しようとした結果、任せた班が染め上げられたそうだ。そして信者の最高位でもある天使が、布教をしない訳もなく、ほぼ全員が感染したのである。
「これがその原典……」
初巻を渡されルシュフェルは読む。脈々と訳の分からないモノでありながら、筋が通るという混沌を体感し、読み終えての第一声は。
「……災…害……」
全てを打ち砕かれたような、力のない言葉だった。
「全てを飲み込む底のなさは〈奈落〉それでいて何度も読み返す事を、厭わなくさせる中毒性……ゼノムはこれを通っている」
ルシュフェルはゼノムの前世界を想定した。魔法が無く、種族も狭く、それでいて創作が進み行く星。ふざけている。魔法やスキルがないただの物が、この世界に持ち込まれるだけで一級品な世界は。
「何なのだ、奴の存在した世界は」
「分からないさ。『創作は創世』だの『それが創れるのであれば、既に存在していたのでは?』だのと、可能性でしかないモノを追い続ける事に、楽しさを覚えさせる世界なんて」
神の試練にしても何か腑に落ちない。越えたところで旨味がある訳が。
「修練場……若しくは実験場か?」
人の身でやれることを、更に制限された世界に見出だせる最高評価をルシュフェルが出す。
「宗教でも、学問でも似たような説が流れているらしいね」
「……成る程、超制限なせいで全素材は既出か」
メタトロンの賛同により、ゼノムがいた世界の一端を理解した気になる。身の上を当てた理由もそうだと。
「しかしこの本は危険だな。規制はかけてあるのか?」
「……僕としたことが……流出済みで………」
出まくる杭を打ち続ける作業となったのを、ルシュフェルは察し〈疑似万象庫〉を後にした。
次に彼女が向かったのは〈原初球〉の〈グーバス王国〉冒険者ギルドである。視線が殺到するのを意にせず、依頼板の前に立つ。
「やぁ〈救国者〉。名前がルとシしか伝わってないから『ルーシー』とかで呼ばれているよ?」
絡んだのは比較的強者だった存在〈天烈〉のケイである。純粋な強者であると見抜き、会話からであろうと力の片鱗さえ見えれば……そんな思考から彼は話かけた。
「愛称なんぞ好きにするが良い。後々から相応しいものが出るまでな」
と言うもののゼノムが名付けの際に言った『堕ちてもなお輝きを持つ星』の派生しかあり得ないのである。
そしてケイは、年季のある自信家であると思い、深入りを躊躇う。
「そうなるように、ご活躍を期待しております」
消極的な言葉で立ち去ろうとする。しかしルシュフェルが呼び止めた。
「力は要らんのか?」
単純な誘い。不足を感じる者に充当が可能であるが、どうする気なのかと。ケイは足を止め、ルシュフェルに背を向けたまま考える。
次の依頼の時に集合と言われ、数日の空きがある。自分だけ、進んでしまっていいのだろうか。パワーバランスを圧倒的に崩しそうな、訓練をして後悔しないだろうか。そもそもこの女性は何者なのか。しかし疑念は全て。
「…逃さない………要ります! ご師事を!!」
この機を逃す訳にはいかないと、ルシュフェルを前に膝を付く。
「良い良い……しかし、余に耐えるには足りんな……付いて参れ」
ケイの限界を伸ばすべく、ルシュフェルは〈転移門〉を出す。
追随したケイは一瞬、魔導の深層を観じる。空間収納とは別の亜空間、何の要素が詰まっているのか解明仕切れないそれを通っているのだと。
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いきなり古の魔王が復活するかのような穴が開く。身構えるまでもなく、滅びを受け入れる準備をしたが出てきたのは。
「鍛えてやってくれ」
「ゼノムとは違う……何なんだ……?!」
尊大な堕天使と〈天烈〉の頭脳とされているが、現在は興奮した変人なケイと呼ばれる男だった。
「じゃあ、また今度ね」
そそくさとマーシャは退室した。クソっ!折角の幸せが!!悪魔の祖とは理不尽に、偶然のように奪う悪であった。
「余が直にしてやっても良いが、その前に壊れそうでな」
アポ無しの極悪さを感じつつ、ルシュフェルの狙いを考える。普通に考えれば『堕天使に耐えられそうな器にしてやれ』なのだが、騙されていると一旦、疑うべきである。
「本当なんですか? 〈原初球〉人類の中では上からの方が早い人なのに」
「今?!! 何と?!」
ケイの目が血走る。機密情報の流出を犯してしまった。確かゼノム式対応マニュアルという、謎な物では記憶の切り取りが必要であると出ている。
「すいません。記憶を飛ばして貰えます?」
「仕方ないの」
まだ他人を弄るのが難しい俺には、無茶な行動なのでルシュフェルに任せる。
ケイが糸の切れた操り人形のように、床に伏す。駄賃として魔力を吸ったなこいつ。
「起き上がればこれを使え」
スノードームのような物を渡され、色々の可能性が浮かび。
「時間加速式圧縮空間ですかね?」
「シュアとゼノムの協同初作だ。壊すでないぞ?」
違うと言われてないので、そういう物と言うことだ。あいつら……月行ってから差が広がるばかりである。
【パワー】
【パワー】
【パワ【パワ】パワ】
聞き流すことしか許されない地獄を体感しつつ、訓練内容の見直しに取り掛かった。
久々の視点変更進行
そろそろサブタイもキツくなる頃である。語を増やさなきゃ……
いや毎回の筋を通せば適切な言葉を探せるか。
勇者「ま~た日頃の妄想外か」




